製造業の仕事の流れから学ぶ、これからの校正の方向性

製造業の仕事の流れから学ぶ、これからの校正の方向性

校正・校閲は、受注産業であるといえます。

発注者からのオーダーがあって初めて仕事が発生します。発注者に仕事を割り振る権限があるので、発注依頼先が状況によって変更されることはよくあります。継続的に発注が続くという保証はどこにもありません。

受注産業
生産者(メーカー)が需要先から注文を受けて初めて生産を始める,造船,建設,産業機械などの産業をいう。見込み生産を前提とする市況産業などに対する用語。受注産業では,注文主の要求する仕様の個別性が強いため,標準品を見込み生産しても売れない。

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また、校正は、非生産的な仕事であるといえます。品質管理は、その価値を数値で測りづらく見えづらい面があります。そのため、合理化の対象になりやすく人員削減のメスが入りやすい仕事です。クレームが発生して、その実損額を知りやっとその存在が評価されることが多くあります。ですが、平時においてはその価値は気づかれにくいものです。

このような状況では、仕事の計画性が立てにくくなるだけでなく、仕事がいつなくなるかわからないという不安との戦いになってきます。

ですが、仕事の流れを理解すれば、必然と進むべき方向性は見えてきます。

製造業の仕事の流れから学ぶ

校正と同じく受注産業である製造業では、仕事の流れが数十年前と比べ変化してきています。もちろん、すべてではありませんが、業態を変えたり業務範囲を広げている企業は多くあります。中には、事業の縮小、廃業といった道をたどった企業もあります。

受注産業の色が強い製造業ですが、その中には仕事を「待つ」から「取りに行く」にシフトしている企業もあります。取りに行くと言っても、営業をかけまくり取りに行くというより、発注者の懐に入り込むことによって仕事の流れを誘導していると言ったほうが適切かもしれません。

そのようにシフトした製造業の流れを見ていくと、
これまでは、発注元であるメーカーが企画・開発を行い、その指示に従って製造するというのが仕事の流れでした。

▼これまでの仕事の流れ

「これ作ってくれますか?」「はい。分かりました」の関係です。
しかし、この関係はよほどの太いパイプがない限り危ういものです。

製造拠点を海外に移したり、国内他社に乗り換えられる可能性もあります。
現にそれで苦しんできた製造業は多いでしょう。

この矢印の方向を常に自社に向けていく戦略としては、
独自の技術力を高める、価格競争力を付けるなど、他社と比べて優位性を示さないといけません。それによりメーカーとの繋がりを強固にしていく必要があります。

また、別の戦略として、今の仕事に新たな付加価値をプラスし、仕事を取り込んでいくということもあります。
これは、製造の前段階の工程に食い込んでいくということです。すなわち、メーカーが必要としているものを自分達が先回りして企画・開発していくということです。

▼企画・開発力を新たに加え、

▼提案し、

▼メーカーが行なってきた企画・開発に食い込んでいきます。

▼そうなれば、企画・開発が一つの工程となり、仕事の流れを強固なものとします。

図で示すと簡単に見えますが、この過程にいたるには大変な企業努力が必要になってきます。

企画・開発力を身に付けてメーカーの懐に飛び込むと、もう矢印は関係なくなります。一工程としてのフローができあがります。
企画・開発で、「メーカー」と「製造」の繋がりを強固にし、切っても切れない関係を作り上げていきます。

ここで、仕事を「待つ」という状況から抜けだせます。
理想のように見えますが、数十年前から円高や製造拠点の海外シフトで苦しめられた製造業の中には、この流れで成功している企業もあります。

たとえば、ある金型製作の現場では、それまでメーカーからの完全受注の状況でした(※金型とは、樹脂を流し込んで成形品をつくるための型です)。メーカーからの指示があって仕事が発生していたので、生産計画が立てられない、確かな技術力はあるが仕事が先細りするといった不安な状況に置かれていました。

そこで、自分達で企画・開発・デザイン力まで身に付けて、メーカー側へ提案できる体制を築いたわけです。自分達でできないことは、技術を持った企業を吸収し、人材を採用し理想の体制を構築していきます。

そうしたことによって、メーカーからの「こういう製品を作りたいから、こういう金型を作ってください」という受け手の立場から、逆に「こういう製品はどうですか?」と提案できる立場に逆転したわけです。

製品を作るという提案によって、その製品を製作するのに使用する金型製作の仕事もセットで受注できるわけです。

このような流れは、大なり小なりの違いはあれど、どこの企業でも行なっていることです。

企業の仕組みを個人の仕組みに応用する

(1)モノづくりを極めて、自社独自の技術力で成功する
(2)前工程に組み込み仕事の流れを強固にする

戦略はこの2つだけではないですが、ただ仕事を待つ企業は自社の将来像を描くことは難しくなるでしょう。

この仕組みを個人(校正者)に置き換えて考えてみると。
(1)を選択する校正者は、仕事を極めるのも重要ですが、それを発信できる能力を身に付ける必要があります。どんなにスキルが高くても、自分のスキルの優位性を知ってもらわないと待っているだけでは仕事は来ません。

(2)を選択する場合、校正者として何ができるか?
前工程への対応力が問われてきます。
校正の前工程はある程度絞られてくるので、それらに応じた+αの能力を身に付けておくべきでしょう。

校正者の前工程と言えば、以下のようなものがあげれます。
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・編集
・進行管理
・原稿作成
・原稿整理
・ライティング
・データ整理
・テキスト入力
・DTP
・Web etc.…
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サポート要員としても食い込めるチャンスはあります。
早めに+αの能力を身に付けて磨いておく必要があるでしょう。

情報収集

校正は、職種のカテゴリーとしてクリエイティブ系に属されることが非常に多いです。
そこに違和感を持つ人も多いかと思います。

「では、どの職種に近いか?」

その役割や仕事内容、仕事の流れからすると製造系に近いように思われます。
大きな括りで考えると、校正も品質管理である以上はやはり製造関係に近いと言ってもおかしくはありません。
製造業では浸透している「トヨタ生産方式」のマインドや手法は、まさに校正で実践していることそのものです。

同業にフォーカスするのもいいですが、他業種から得られる知識はたくさんあります。特に校正に近しい職種からは、自分の仕事に還元できる部分も多くあるので知っておくと、これからの仕事の獲得に役立つに違いありません。