【マネジメント】誰もが陥る、手段が目的化する状況

誰もが陥る、手段が目的化する状況

手段が目的化する」ということは、ビジネスではよく聞く言葉だと思います。

目的達成のために設定したはずの手段を、目的と錯覚し、手段だけで満足したり、手段にこだわりすぎたりし、本来の目的を見失い、目的達成に至らない』という負の状態です。

手段が目的化してしまう経緯

とある会社の営業部門では、ここ数年売上が伸び悩んでいました。
その問題を探っていくと、原因の一つに、営業メンバーの個々の活動情報がノウハウとして共有されていないことが分かりました。

そこで、個々の営業が、訪問した業界、会社、部署、なぜ受注できたか、どこに引き合いがあったのか、何が必要とされたのか、逆になぜ断られたのか、何が不足していたのかなど、個々の営業が蓄積していたノウハウを、全員で共有することにしました。

そのノウハウを集約するために、一日の営業活動内容をクラウドで共有することになりました。オンライン日報です。日報をつけるという手段によって、個々のノウハウを全体の営業活動に活かし、会社の売上をあげるという目的です。

この制度により、日報を通して他の営業メンバーの活動情報が参考にでき、『こういうアプローチ方法があるのか』『今度プレゼンするあそこの会社さんに活用してみよう』と順調に行っていました。

やがて、日報をつけることにも慣れ、仕事も忙しくなってきました。
そうなると、一日の営業活動を終え、日報を書く時間も切り詰められ、段々と書く内容も簡素化されてきます。『企業Aに訪問した。〇〇部署の○○様ににあった。△△の提案をしたが見込みはなさそうだった』といように、単なる一日の行動日記になってきました。

これまでは、「なぜ」を掘り下げて共有してきましたが、それが簡略化・省略化されていくことで、何を共有すべきで、何を目的としていたかを忘れてしまい、日報を書くという行為が、一つの仕事となり、それで終わってしまうのです。

日報をつけるという行為の先にある本来の目的を忘れて、日報を付けること自体が仕事(目的)となり、目的を達成したと勘違いしてしまうという例です。
このような事例は、どこにでもよくあることで誰でも陥る現象です。

やるべきことがたくさんあり、忙しくなってくると、目の前の仕事に没頭してしますのは当然で、それ自体を無くすということは不可能に近いでしょう。

でも、目的を忘れないようにする効果的な方法の一つに、いつも目的が目に入るように紙に書いて貼り出すということがあります。

例えば、工事現場では「安全第一」の標語が大きく書かれたりしています。
受験生なら、『〇〇大学合格』と勉強机の前に紙に貼り出し、それを見る度にその大学に入学しやりたいことを思い出し、勉強へのモチベーションを上げます。

ダイエット中なら、冷蔵庫の前に目標体重を貼り出し、その目標体重になったときの理想の自分を想像してみるというのも効果的です。

紙に貼り出すのが難しいという場合、会社なら、朝の朝礼や週一の会議の場で目的を共有するのも有効な手です。

目的が明確であると、今の自分の行動に躊躇することが無く、例え心がブレそうになっても軌道修正が容易にできることができます。

手段にこだわりすぎる

修正指示として用いられる校正記号。これは、修正の指示を誰が見ても分かるように生まれた統一規定です。

ここでの目的を設定すらなら、見つけた間違いを、修正側に明確に意図を伝え正しく修正してもうことです。

校正記号は、その手段でしかありません。ですが、決められた校正記号を入れることにこだわりすぎて、修正する側に意図が伝わらなければ、その校正記号は何の意味もなさず、本来の目的も達成できません。

例えば、大文字に修正する校正記号は、その文字の下に三重の赤線を引くだけです。

正直、これだけで伝わるオペレーターは少ないです。特に、若手のデザイナーやオペレーターに伝わる可能性は非常に少ないです。

それでも、この記号を使おうとする校正者は、本来の目的(相手に正しく修正してもらうこと)を忘れて、手段(校正記号)にこだわり過ぎているといえるでしょう。