
目 次
原稿や校正ゲラの管理・保管の仕方
仕事をしていて、日々溜まってくる原稿や校正ゲラ。
いつか整理しようと思いつつも、先延ばしになり、うずたかく積まれ、結局は整理されることもなく年末の大掃除のタイミングで廃棄されていくパターンに……。
原稿やゲラは、編集者や進行管理が管理することも多いですが、校正者でも独自に管理しておくと業務に活かせることが多いです。
日々溜まる原稿やゲラは、資産かゴミか?
原稿や校正で使用したゲラを資産かゴミのどちらに変えるかは、管理や保管の仕方次第です。どのように管理・保管するかで、得られる効果も変わってきます。
使い終わった校正ゲラは、その仕事が終わった後の振り返りに活かされます。
1.気づき
作業中は気づかなかったが、時間を置いてから見直すことで見えてくること
2.改めて再認識させられること
注意事項やクライアントが気にしていたことなど
3.記憶の定着
作業内容や進行フローなど
4.マニュアル作成の材料
原稿や校正ゲラには、色々な用途があり貴重な材料になります。きちんと管理・保管しておいたに越したことはありません。
最初は、面倒でどこから手をつければいいか戸惑うかもしれません。ですが、それをルーチンワークに変えることで、むしろやらないほうが何かムズムズしておかしく感じるようになってきます。
また、原稿や校正ゲラの保管は、万一のクレームなどに備えての控えとなります。ミスは、制作過程で起こったものだけでなく、クライアントの指示が間違っていたということもあります。そのため、責任の所在がどこにあるのかを見極めるためにも保管をしておく必要があります。
そのためには、どのように管理・保管するかが肝心です。
そこで、自身の事例も踏まえて説明していきたいと思います。
管理の方法はツリー思考で
この階層構造の図は、思考整理や情報整理に用いられるものです。この図を参考に、原稿や校正ゲラをどのように分類していくかを考えていきます。
ご自身が携わる仕事の役割や媒体によって分類の仕方も違ってくると思います。最初に分類する大項目としては、以下のようなものがあります。
1:分類(大項目)
・業界別
(例)教育系、医療系、アパレル系…
・媒体別
(例)カタログ、月刊誌、週刊誌、社内報、パンフレット…
・クライアント別
(例)A社、B社、C社…
・制作担当者別
(例)営業担当A、編集担当B、デザイナー担当C…
・五十音別
(例)あ行、か行、さ行…
2:心得
1.最初から、細かく分類しない
2.無理に、分類しようとしない
「これはどこに分類すればいいのかなぁ」と悩むぐらいなら【その他】の分類項目を作る。
3.自分がやりすいように徐々に調整していく(トライ&エラー)
初めから完璧にできる人なんてまずいません。意気込みも大事ですが、肩の力を抜いて徐々に浸透させていくという気持ちが大切です。
原稿や校正ゲラの管理・保管の事例紹介
自分の場合、最初は五十音順にしていましたが、かなり細分化されるため途中で挫折しました……。
そこで、とりあえず整理されず山積みの校正ゲラには手を付けず、これから来るものだけに絞って整理していくことにしました。その後は、紆余曲折あり、今では次のような分類で管理・保管しています。
基本的には、用途別(?)に近いのかなと思います。
① 勉強会用
これは、主に校正者間で共有するためのものです。新人研修用にも流用できます。日々校正をしていて、気を付けておきたい赤字や疑問出し、よく起こる間違いなどを蓄積していきます。
② 定期案件
週・月単位のものです。これは、校正前に前回校正したものを見直すことがあるので、作業場の近くにおいておきます。
さらに、紙媒体とWebにわけています。最初は、紙もWebも同じ分類でしたが、数年前からWebの定期更新ものが増えたため、紙とわけて管理するようにしています。
③ 新規案件
新規案件は、社内でのノウハウ蓄積や、次回の校正に備えて注意事項の作成が必要になってきます。そのため別枠にしています。
これは一時保存的な役割を果たしており、2~3度校正回数を重ねれば【2.定期案件】か【4.保管】のどちらかに移行します。
④ 保菅
これは、1~3に当てはまらいものです。「その他」のような扱いです。一番物量が多いです。これを整理していくとなると、かなり時間がかかるのでひとまとめにするようにしています。
業務に必要なものは管理を徹底し、それ以外のものは一括りといった感じです。
4までも管理・保管を徹底すると業務を圧迫するため、とりあえずは物件終了ごとにダンボールへ整理していきます。
あとは、ダンボールが一杯になったら『2020年8月分』のように記入し、大体一年後を保管期限とし、その期限がきたら廃棄します。廃棄予定の年月も記入しておくとわかりやすいです。
運用は5Sの思考で
5Sは、誰でも聞いたことがある活動だと思います。運用は、基本この5Sの考えにもとづいて実践しています。これを全てやるとかなり面倒なので、最初の段階は、1と2の2Sぐらいで十分です。
1.整理
いらないものを捨てる
2.整頓
決められた物を決められた場所に置き、いつでも取り出せる状態にしておく
3.清掃
常に掃除をする
4.清潔
3S(上の整理・整頓・清掃)を維持し職場の衛生を保つ
5.躾
決められたルール・手順を正しく守る習慣をつける
【出典:Wikipedia_5S】
長続きさせるための心得
上手くいくコツは、変に気合を入れずに徐々に浸透させていくことです。業務の負担にならないようにです。
「今日からやるんだ!」「今月中にやるんだ!」
などと意気込んでいると、必ず途中で挫折します。
また、管理にこだわりすぎてしまうとかえって業務効率が悪くなります。細かく分類しすぎてしまうと、後々自分で自分を追い込むことになります。過剰な管理にはご注意ください。