デジタルとアナログの融合は、これからの校正に必要条件

デジタルとアナログの融合は、これからの校正に必要条件

校正をしたことがある人なら、誰もが一度や二度は経験したことがある「見落とし」。

これは、誰もが必ずいつかどこかで出会う苦い経験です。

聞きたくもない言葉ですが、「見落とし」とどう向き合うかで、自分の成長にもつながってきます。

時間を置いてから、自分が見落としたカ所を見ると、
『どうして、これに気付かなかったのか…』と、つくづく落ち込むものです。

時間が経った後に見てみれば、何でもない間違いが、その時は見つけらなかったということは、誰にでもあることだと思います。

学生の頃、試験でケアレスミスの経験したことがある人も多いのではないでしょうか。

例えばこの例。

"ありがとうございます"
     ↓
"ありがとうごさいます" 


単純な濁点の抜けですが、これが文章中の一部分に、他に幾つもの間違いがある中に混在していると気づきづらいものです。
特に見慣れた言葉ほど、さらっと読み流しがちなものです。

この場合、脳が濁点を補完して、"ありがとうごいます"と読ませているわけです。

どうして補完してしまうのかは、『思い込み』が多分に影響しているのでしょう。文字を見た際に、脳が瞬時に普段見慣れている"ありがとうございます"と認識し、そう読ませています。

目に映るものを脳が処理して、映像として見せているのは周知の事実でしょう。
その際に思い込みがフィルターとなり、錯覚して間違いを生みます。

この脳の仕組みが、校正時には厄介です。
人間である以上、思い込みをなくすというのは不可能に近いです。

人の脳の曖昧検索

目に映るもの全てをそのまま正確に記憶していたら、脳の処理能力と記憶が追い付かず、脳がパンクしてしまいます。

認識できるある程度の情報をパッケージ化して、記憶させることにより、負荷を軽減さています。

例えば、友人の顔のパーツを寸分の狂いもなく覚えている人はいないでしょう。でも、完全に覚えていなくても、大勢の中からその友人をピンポイントで認識できるはずです。

脳は、まず曖昧検索を行い一致点を探り、ある程度一致すれば記憶の引き出しから、それに関するより細かな情報を引き出してきます。

仮に、完全一致検索で、大勢の中から友人を見つけるとしたら、膨大な情報量を必要とし、脳が疲労困憊で耐えられないでしょう。

デジタルツールへの期待

人の思い込みを正すものとして期待できるデジタルツールですが、いい面も悪い面もあります。

前回作った製作物のデータが無い…ということがあります。この場合、昔は手入力で一から同じデータを作っていました。

しかし、最近では便利になり、データとして残っていない文字情報をスキャンしてPDFに変換すると、それをソフトが読み込んで文字情報をデータ化してくれます。

グラフなども再現できるソフトもあり、年々精度も上がっています。

ただ、英数字に対しては抜群の精度を示すのですが、日本語になるとなかなか厳しいものがあります。

ひらがなや漢字は、似たような文字が多いのでソフトが誤変換してしまいます。

たとえば、
「は」「ほ」
「な」「た」
漢数字の「一(いち)」「音引き」「ダーシ」
などに、誤変換される可能性が高いです。

ただでさえ、分かりづらいのに非常に意地悪な間違いです。

また、ひらがなの濁点も抜けやすく、漢字に至っては、中国語の簡体字に誤変換される場合も多々あります。非常に似た文字に変換されるため、校正も見つけるのに苦労します。

似たような文字に置き換えられるため、かえって誤認識が増え、間違いが増えるということが起きやすいです。

デジタルとアナログの融合

現状では、デジタルツールも、一見正確だと思われますが、意外なところに落とし穴があったりします。まだまだ信頼がおけるほど精度が高いとはいえない状態です。

また、人間にもヒューマンエラーがつきものですので、頼りきるのも得策だといえません。

この対策として現段階で考えられるのは、
・ダブルチェックをかける(他者の目を借りる)
・デジタルツールを使用する(機械の目を借りる)
ということぐらいでしょう。

デジタルとアナログの両方の視点で、チェックをすれば間違いも軽減できるはずです。
今後の校正には、デジタルとアナログの両方が欠かせないものとなってくるに違いありません。