
実践で役立つ校正・校閲が見るポイント解説
校正者が校正する際に見るポイントは、人によって多少の違いはありますが、ある程度は決まってくるものです。
そこで、校正者は「どこに気を付けて校正をしているのか?」を少し紹介したいと思います。人によって、目の付け所ややり方は違ってきますので、必ずしも正解は一つではありません。
見るポイント[例題]
▼ 次のような情報が、校正ゲラにあればどこを見ていきますか?」
※ 宝島社 InRed(インレッド)3月号_P.44の一部を改変
見るポイント【目の付け所とやり方】
▼ この例題に対しての校正のやり方
いきなり『素読みから入る』というのは避けたほうがいいです。まずは、体裁面やお決まりの確認項目から潰していきます。それから素読みに入ります。
なぜなら、素読みから先に入ると、文章以外の間違い(体裁など)があったときに、そこに気を取られてしまい集中力が削がれるからです。極力、素読みは最後にします。
▼ 目の付け所
(1)人名の確認(赤枠)
人名は、公式のプロフィールページなどで漢字が正しいかを調べます。ネット検索で上位表示されていたり検索のヒット数が多いからといって、その情報が正しいとは限りません。確認元は公式のサイトなど信頼のおけるものでチェックします。
(2)QRコードの読み込みチェック(青枠)
QRコードは、どの媒体問わず多く見られるものです。複数のQRコードが入ることも珍しくなく、入れ間違いもよくあります。小さすぎたり適度な余白が周りになかったりすると読み込めない場合があります。また、2つのQRコードが近くにあると、互いが干渉して読み込めないこともあります。昔と違い、今の校閲ではスマホも必須の道具です。
(3)リンクチェック(緑枠)
リンク項目が多いなら、校正ゲラのPDFをもらい、それで検索したほうが早いです。リンク切れはソフトで見つけることができますが、リンク先が正しい内容の箇所に飛んでいるかは人の目での確認が必要です。
(4)次号の内容がこれでいいのか(担当者などに)確認(紫枠)
ここは人によって大きく分かれるかもしれません。
・ここに入っている文章を正とするのか?
・次号の内容を確認できる材料を用意してもらうのか?
基本は、次号の情報を確認できるものとちゃんと照合することです。そのため、この部分の校正をどうするのかは担当者に確認しておくべきところです。
(5)体裁の確認(バランス・色・ファントなど)
・パッと見て、見出し系の文字は赤色になっていることが分かります。
文字色もちゃんと区別されているので問題ありません。
・フォントの一部は明朝系ですが、それ以外はゴシック系で統一されています。
・級数や太字の設定も違和感のあるものは特にありません。
・左の段と右の段で、高さ(位置)も揃っています。
・文も左ソロエで統一されています。
左右の段の高さや文頭文末の揃えは、定規をあてて確認します。目視だと揃っているようにみえても、定規をあててみると1~2mmズレていることがあります。レイアウトされる要素によっては、目の錯覚で揃っているように見えることや、ズレて見えることがよくあります。
最後に、素読みに入ります。
誤字脱字、適切な用字用語の使用、表記統一などです。素読みの範囲は、各媒体によって違ってきます。どこまで素読みで確認するかは、担当者と事前に決めておく必要があります。
無限に予算と時間があるわけではないため、できる範囲は限られてきます。良かれと思って何でもやっていると、いずれ自分で自分の首を絞めることになりかねません。
校正校閲では、作業項目の明確な線引きは難しいところですが、自分なりの基準を持っておかないとズルズルと言われたままに流されていくだけです。
※タイトルの「NEXT ISSUE」は簡単な英単語ですが、辞書でのチェックを忘れずにしましょう。簡単な単語ほどスペルミスが多く、誰にも気づかれずスルーされていくことは多いです。
応用編
実際には、このような内容の校正は前述した校正項目をすべてやる必要はありません。文章を読めば分かると思いますが、次月号の説明で定型文だと分かります。
ということは、過去号にも同じ文章が掲載されているはずです。
定期物件だと、過去号からの流用ということはよくあります。なので、過去号を入手して、それと照合するほうが効率がいいです。
校正を依頼されたら、そのまますぐに校正に入るということではなく、内容をサラっとみて、過去号などから参考にできるものがあれなら、それらもちゃんと手配してもらうようにしましょう。
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