校正の仕事

校正の現場

校正のイメージとして、白の用紙に、黒い文字の羅列、赤いペンの3色のイメージを持たれている方は多いかもしれません。これは、書籍校正の影響を強く受けているせいだと思います。

ですが、校正の仕事は書籍だけではありません。様々な場面で、校正者は活躍しています。今では紙媒体だけでなく、Webや動画の校正は当たり前となっており、校正の仕事に対して書籍校正のイメージだけを持っている方は、実際の校正の現場を見られると驚くかもしれません。

 Webサイトや動画はもちろん、テレビのテロップ、ペットボトルのラベル、お菓子箱のパッケージ、表彰状の氏名、ポスター、名刺の校正など、文字情報がある至るところに、校正の仕事が発生するといってもいいぐらいです。

それらは、専任の校正者でなくとも、誰かが必ず校正しています。

新聞の折り込み広告

身近な校正物として新聞の折り込み広告があります。新聞の広告だけでなく、街中で配布される家電量販店やスーパーなどのチラシなどもそうです。

チラシが配布される場合、大抵は目玉商品や特価商品がクローズアップされることが多く、そこには大々的に特売価格の金額が表示されています。

金額は、店の売上に大きく左右するので絶対に間違えるわけにもいきません。そのため、校正は必須となってきます。

チラシは、一般的に短納期だと言われ、短期集中型の校正です。他社に先駆けて商品を売るためには、スピード勝負だからです。

短納期で、かつ金額を絶対に間違えられないということは、校正者にとってはかなりのプレッシャーですが、さらに厄介なのが、チラシは手に取る人の目を引くように、インパクトのある色(黄色や赤色)が多用されていることがほとんどです。

そのせいで、校正していると目がチカチカして非常に疲れます。しかも、情報量が豊富で、使われる文字の級数も多く、校正者にとっては非常にハードといえる部類のお仕事だといえます。

利点としては、チラシ校正の経験しておくと、スピード感や対応力は半端なく身につくということです。

ファッション誌のコーディネートスペック情報

ファッション雑誌を見ていると、モデル画像の付近に下のようなモデルの洋服のスペック情報が記載されているのを見かけると思います。
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トップス  ブラック:ブランド〇〇 25,000
パンツ   ネイビー:ブランド△△ 15,000
シューズ  ホワイト:ブランド□□ 38,000
ネックレス 参考商品
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これらを確認するのも、校正の仕事です。

モデルが着ている服と、その情報が対応しているかを照合していきます。モデルが着ている洋服のブランドや金額は、最新の情報であることが多く、ネットで調べても出てきません。

そのため、クライアント支給の原稿に頼るしかありません。ですが、カラー名は、モデル画像と見比べることが出来るので対応しているかを確認できます。

モデルがブラウンのトップスを来ているのに、スペック情報で、『トップス ブラック』などになっている場合がありますので要注意です。

単純に、オペレータが打ち間違えたという可能性もありますが、モデル画像が差し変わって対応しなくなったというケースもあります。

昔と違い、カラーバリエーションのある洋服は、わざわざ一枚一枚撮影しなくとも、画像を一枚撮影し、あとはPhotoshopなどで色変更をすることも容易ですので、この手の間違いはよくあります。

住宅関係

この住宅関係の校正は、業界独特の用語があったり、細かな校正も多数あるので神経を使うものです。最近では、フリーペーパーなどで住宅情報関係の雑誌を手に取ることもできますので、あまり見たことがないという方は、勉強のためにどういうものか一度ご覧になってみてください。

・間取り図
戸建てやマンションなど住宅の間取り図は、オペレータが描き起こすことが多く、しかも細かな作業になるため、非常に煩わしい校正になります。

例えば、間取り図内のドアの部分が壁になっていたり、階段がなかったり、お風呂とトイレの位置が逆だったり、色んなパターンの間違いがあります。


・購入者のインタビュー記事
新築の戸建てなどの住み心地を、実際の購入者にインタビューしている記事などがあります。インタビュー内では「渋谷区在住のNさん」のように仮名が使われ、個人が特定されるのを避けます。

他にも、外観撮影の写真では、表札の名前、車のナンバープレートなども全て画像加工で消されます。また、家の内部では、飾られている表彰状の氏名なども消されます。

これは、家の内部まで撮影し間取りも紹介しているため、泥棒のターゲットになりやすいので、その被害を避けるためです。

そのため、校正者は、文字だけでなく写真の細部にまで目を配る必要があります。

料理のレシピ

料理のレシピは、料理本だけでなく、新聞や雑誌などのちょっとしたコーナーでもよく見かけます。【材料】と【調理方法】は必ず記載されており、完成写真やイラストが掲載されている場合もあったりします。

━この場合、何を校正するかというと?
実際にその【材料】を用いて、記載された【調理方法】で、料理がちゃんと完成するかです。
・足りない材料はないか?
・調理方法が、抜けていないか?
・この手順通りで、ちゃんと料理が作られるか?
・材料を全部使用しているか?
・完成写真やイラストがあれば、材料と対応しているか?
などです。

例えば、カレーなら、材料としては、ニンジン、玉ねぎ、じゃがいも、お肉などですが、イラストに茄子が載っているのに、材料に記載されていなかったりすることがあります。

また、玉ねぎを切る手順が抜けていて、いきなりカットされた玉ねぎが登場してくることもあります。

これらは、実際に料理するわけにもいかないので、校正者は、頭の中で料理しています。

地図

企業や店舗などの地図は、どの媒体にも必ずといっていいほど掲載されています。

紙媒体での地図の作製は、Googleマップなどを利用して作成することが多いですが、例えば、隠れ家的なレストランや入り組んだ場所にある店舗などは、Googleマップですら道が簡略化されていることがあります。

その場合は、本の地図に頼るしかありません。校正者としては、簡略された道を探し出すため紙の地図との睨めっこです。

地図は、全ての道路を載せる必要もなく、分かりやすい目標物(最寄り駅とか)からその企業や店舗に到達するまでの最短のルートになるよう、不要な道は削除し見やすくします。その不要な道を省いたりするのも校正の仕事になる場合もあります。

また、駅から徒歩10分(徒歩1分=80m)と記載されているのに、あきらかに1km以上あるなどの間違いもあります。

おわりに

校正業務のほんの一部を紹介しましたが、校正の仕事はまだまだ山のようにあります。Webや動画がどんどん発展する中で、新たに校正者が活躍できる場面が増えてくる可能性は多いに考えれます。

そのためにも、色々な媒体の校正を経験しておくことをオススメします。

新しい仕事が舞い込んできて、対応力が試される日がくるかもしれません。

色々な校正を知っておくことは、将来の自分への投資になります。