校正・校閲という仕事の目的と必要性

校正・校閲という仕事の目的と必要性

1:校正・校閲という仕事の目的と必要性

校正・校閲の仕事は、間違いを見つけることと思われがちですが、それは単に校正・校閲の作業を指しているだけです。ここで考えが止まってしまうと校正・校閲の本来の目的が見えてきません。

多くの企業が、有形無形にかかわらず何らかの形で情報を発信しています。直接的な発信もあれば商品を通して発信している場合もあります。当然ながら、その情報は信用に値するものでなければいけません。ここでの「信用」は「品質」と置き換えてもいいかもしれません。

誤った情報が掲載されていたり、誤植・誤字脱字が多かったりすれば、その情報に対しての信用度や価値は低下してしまいます。仮に、その情報が商品情報であれば商品の売れ行きにも影響してきます。また、情報のみを提供している場合は、誤った情報を通して企業自体の信憑性が疑われることになります。

この企業が発信する情報の信用を保証する(支える)目的のため、その手段として校正・校閲という業務が必要になってきます。その業務のおかげで、時には情報の精度を高めブラッシュアップされることもあります。

「校正・校閲の目的は?」と問われれば、情報の信用を保証すると答えるほうが適切かもしれません。発信する情報の信用を保証するということは、信頼を得ることに繋がってきます。

2:必ず起こるミス

クレームに繋がるような大きなミスは、どの企業や業種においても付きものです。どれだけ細心の注意を払ってもいつか必ず起こるものです。そのため、企業レベルでも個人レベルでも、事前・事後の対策や対処方法を考えています。

その手段として、マニュアルやチェックリストなどの運用が一般的ですが、いくらマニュアルやチェックリストがあろうとも、人が介在する仕事には100%ヒューマンエラーがあるためミスを無くすことはできません。

マニュアルやチェックリストの作成は、皆が会議室で冷静に意見を出し合って時間をかけて練って作られたものです。

イレギュラー時の状況で作られたものでないため正常時には機能しますが、目の前の仕事に忙殺されているときや体調不良などのときは、本人は出来ていると思っていても、実際はケアレスミスや抜けモレが目立ち、手順も疎かになります。また、業務が輻輳しているとどこかに穴が出ていきます。

校正者に依頼したからといって完全にミスを防ぐことは不可能ですが、たとえ100%は不可能であっても100%を目指す努力はしていく必要があります。

3:ミスやクレームの影響

ミスの大小、損害の大きさにより、クレーム内容は様々です。

紙媒体であれば、印刷されて製本された状態の後に発覚したミスの対応として、
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・間違いの部分に訂正シールを貼る
・正誤表や詫び状を添える
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などがあります。

一番実損の大きいものは、間違いを修正し一から印刷し製本し直すということです。これはかなりの金額に膨れ上がります。

金額の問題だけで済むならまだ救いようもありますが、信用を失い次回から仕事を受注できない可能性もあります。大きなクレームだけでなく、些細なミスでも積もり積もれば不信感が増してきます。

また、クライアントの担当者と制作側の現場サイドの当人達は丸く収めようとしても、クライアントの上層部が納得いかないケースもあります。こういうものは、後々のしこりとなって、原因はどうであれミスがあったという事実だけが印象に残ることがあります。

さらに、B to Cなどの業界であれば、消費者にまで影響が及ぶリスクは高くなります。企業同士の問題ではなくなる場合もあります。

4:校正・校閲ができない言い訳

校正・校閲の重要性はわかってはいるけど、制作の過程で校正を通さないということはよくあることです。

原稿の赤字を修正後、デザイナーやオペレーターがセルフチェックで終わらせることや、第三者に依頼する場合もあります(この第三者は専任の校正者ではないです)。

厳密には、校正に出さないというよりも、出せないといった状況が多いかもしれません。紙媒体が隆盛の頃とは違い、今ではコスト的な問題で社内に専任の校正者がいないということも多いです。

ですが、その状況は今では珍しいこともありません。校正を重視している企業は、外部の校正プロダクションやフリーランスに依頼しています。昔と違い、今では直接的なやり取りは必要とせず、オンライン上だけでペーパレスで完結できる場面も多いです。

5:校正・校閲の目的を見失う危険な考え

校正・校閲の本来の目的を見失ってしまう一番危険なことが、多分大丈夫だろうという根拠のない自信です。

危険度が高い(仕事に忙殺されている・時間がない)ときほど、0か100で考えたほうが賢明です。曖昧な考えは消去しておくことです。

多分ミスはないだろうという考えでなく、必ずミスはあるという気持ちです。

ミスやクレームの実損額や対応にかかる時間を考慮すれば、現段階でもっともコストパフォーマンスが高いリスクマネジメントは「専門の校正者に依頼する」に尽きます。現状では、デジタルツールやAIに頼るのはまだまだ難しい状況です。

信用保証料だと考えれば、決して高いものではありません。

校正に依頼するということは、単に目の前にある間違いを取り除くということではなく、情報の信用を保証し信頼を得ることに繋がります。逆にいえば、校正者に依頼しないということは、情報の信憑性を疎かにし信用を失いかねないということです。