校正・校閲の将来性

校正・校閲という仕事の将来性

印刷・出版などの紙媒体の市場は右肩下がりが続き、
それにともない校正・校閲の仕事量も減少している…

と言いたいところですが、むしろ校正・校閲の需要は高まってきています。

求人サイトを見てみればわかると思いますが、今まで校正とは無縁だと思われていた業界が、校正の重要性を認識してきています。校正の需要は、紙媒体だけではもう計れません。

少し視野を広げてみれば、優秀な校正者は、IT系やWeb、動画、ゲームなどどこの業界でも活躍しています。

校正・校閲の役割

本来の校正・校閲の役割である、正しい文字情報を伝えることの重要性が色々な業界にも浸透してきています。

紙媒体であろうがWebであろうが、正しい情報を伝えることに変わりありません。

文字情報をコミュニケーションの手段とするなら、そこに校正校閲の需要は生まれてきます。

文字情報自体が無くなることは考えられないので、それを正確に伝える役割を担う校正・校閲の働きは、これからも形を変えながらも必要とされていくでしょう。

【量より質へ】
情報配信のインターネットメディアは多く、芸能・ニュースなどの情報だけでもWebサイトやスマホの専用のアプリでも配信され、一日ずっと見ていても到底消化できないぐらいの情報量です。

インターネットメディアは、シェア拡大のために「量」を重視にスピード展開してきましたが、数年前からのネットリテラシーの意識も高まったことで、品質の悪いものは見向きもされなくなります。

言葉で情報を伝える以上、響きやすい・わかりやすい文章が求められるのは当然で、その時に些細な間違いでも目に付くと、スムーズな情報伝達ができません。

誰でも知っている大手サイトのニュース記事などは、一日見ていれば、目につく誤字脱字は1つや2つで収まらないくらいです。

たとえば、「~います」と入力したかったところが、「~いmす」となっている記事を見たときは、「ちゃんと見直してるの?」と、その記事自体の信憑性が疑われます。

人の手が介在するものには、必ずヒューマンエラーがついてまわります。

そのため、IT系やデジタルでの情報配信をメインにしている会社、Web制作会社でも、昔とは違って社内に専任の校正者が配属されていたり、校正作業は外部の専門会社に委託していたりしています。

校正・校閲もマインドの変化を

校正・校閲が必要とされているからといって、校正者自身がアナログな考え方では、これからの時代についていけなくなるかもしれません。

自分の頭と少しの文房具で、校正作業が完結する時代ではもうありません。これは、紙もWebも関係ありません。

Web媒体の校正者がデジタルスキルがあるかというとそうでもなく、アナログな校正している方は意外と多いです。

どんなに個人の校正スキルが高くても、成長している業界にいても、アナログな校正のマインドであり続けるなら、その人個人の仕事は、先細りになっていくに違いありません。

何が必要かを考える

【今、実践すること】
最低限でも、デジタル校正ソフトで『できること・できないこと』を理解しておく必要があります。

フリーの校正ソフト、市販の校正支援ソフトなどを試しに使ってみることです。市販の校正ソフトでも無料で体験版を試すこともできます。HPで機能説明が紹介されていますので、それを見るだけでもある程度はわかります。

ただ、紹介されているソフトの効果はかなり盛って記載されていることが多いので鵜呑みにしないことです。ソフトのすべての機能をフルに使いこなせることはまずないです。

≪知っておきたいこと≫
・フリーの校正ソフトの精度
・市販の校正支援ソフトの精度
・両方の精度の違い
・それぞれで、できること
・それぞれで、できないこと

※フリーの校正ソフトや市販の校正ソフトだけでなくても、身近なソフトのWordでも文章校正ができます。


【ソフトが「できること・できないこと」をなぜ知る必要があるのか?】


これから身に付けていくべき必要なスキルを見極めるためです。

ソフトでできることは、わざわざやらなくてもソフトに任せられるように工夫すれば、自分の仕事の効率化できます。そこから新たな仕事の取り込みも考えられます。

また、ソフトでできないこと(=人にしかできないこと)が、自分が伸ばすべきスキルであることがわかります。ソフトで代替できるスキルを、これから磨いていっても得策だとはいえません。

目の前の仕事からスキルアップを考えていくのと、
磨くべきスキルを頭に描いてスキルアップしていくのでは、大きな差です。

校正ソフトも少しずつですが進歩しています。校正・校閲という仕事自体は必要とされ、これから仕事量が増えていったとしても、人がする校正の仕事が減少していくことは、普通に考えても妥当だと思われます。

連携発信

実際に、いつくか校正ソフトを使用してみて、全く役に立たないと思った人も多いと思います。校正する媒体は山のようにあるわけですから、合う・合わないが出てくるのは当然です。

このとき、
『これから何をすればいいのか?』
『自分達に何ができるのか?』を考えると思います。

そういうときは、今、目の前にある仕事から探っていくことです。

校正・校閲をしていて、
・この作業が負担だ
・この部分にいつも時間がかかる
・この間違いがよく起こる
など、普段の業務に焦点をあてて、そこを改善できないかを探っていくことです。

≪ここで重要なこと≫
校正単体で効率化できることは限られてきます。周りの職種と連携することが大切です。特にDTPとの連携は必須です。

たとえば、身近で何度も起こるような間違いなら、それらをピックアップして解説とともに発信するのも手です。何度も起こる間違いに対処し続けることは、誰も得しませんので非常に効果的です。

校正者の中では、
・こんなの知ってて当然だろう
・当たり前のこと
と、思っていても校正をしない方にとっては新鮮で有益な情報ということはあります。

≪実際によくある間違いを配信したもの≫
社内で用語の使い分けができていなくて、間違いが多かったものを集めて配信したものの一部です。校正者にとっては基本的な使いわけですが、他の職種の人にとってはそうでないことも多いです。

・ポイントとして
デバイス環境を選ばないようにpdfにして、文字量は5分程度で読み終えるようにまとめることです。1回ですべてを伝えきる必要もないので、何度かに分けて発信するのもありです。

具体的に、どの校正物でこの間違いがよく起こるのかを明記した方が、実感が湧き記憶にも定着しやすいです。

【例文】

≪社内報◎◎◎:●月号≫


(1)「追求」「追究」「追及」
「追求」→ 目的を達するために追い求める
      ・目的を追求 ・利潤の追求
「追究」→ 明らかにするために研究し、調べきわめる
      ・真理の追究
「追及」→ 問いつめる。犯罪や責任などを追いつめる
      ・責任を追及 ・犯人を追及

※「追求」は、もとめるものが利益や幸福など、「追究」は、真実や本質などの場合。この二つの使い分けは、明確でない場合があります。ただし、「追究」は、主に学問的な対象に関して使われることが多い。

(3)「良く」と「よく」
「良く」→ 良し悪しを言う場合
      ・良く描けている
「よく」→ 頻度回数を表す場合
      ・よく使う

※どちらにでも意味がとれる場合は、ひらがなにしておく。

(7)「分かれる」と「別れる」
「分かれる」 → 一つのものが離れて、二つ以上になること
「別れる 」 → 一緒になっていた人の間が、離れること

※「分かれる」は、送りが「分れる」となっているものがありますが、本則ではないので「分かれる」としておく。

etc.

≪注意点≫
※実際に身近でよく起こる間違いの情報の発信です。市販されている用語の使い分け辞典などを買ってきて、それをコピーして配るなどということは、効果が薄い(ほぼない)のでやめた方がいいです。

枠を設けない

【校正者の価値向上】
前述しましたが、校正者の中では当然と思っている情報でも、校正の実務をしていない編集や進行管理・デザイナー・ライター・オペレータ・営業などにとっては、目から鱗という情報もあります。

校正者が、自分たちのノウハウを発信し周りと情報を共有することは、校正者の価値をさらに広げる機会でもあります。

この効果は、校正者が思っている以上に大きいものです。

自分の仕事の基盤を盤石にしていくためには、
・必要とされるスキルを磨いていく
・他の職種と連携していく
・自分達の価値を発信していく
など、色々できることはあります。

そのためには、今の業務範囲にこだわらないことが大切です。あらかじめ制限を設けていると、できることもできなくなってきます。