校正・校閲の人材不足の解消:求人募集からその取り組みまで

校正・校閲の人材不足は、将来もずっと続く

労働人口が不足してゆく中で、慢性的に人材不足が続いている仕事は多いです。将来の展望よりも、現状の生産性を維持することに頭を悩ませていることもあります。

人材不足が原因で倒産する企業もある中、生産工程の下流にある校正にとっては非常に厳しい状況が待っていると言えます。これまでは、何とか校正者を確保できていた企業も校正者不足に陥る可能性は十分あります。

たとえ、優秀な校正者に出会えたとしても、企業側にも採用計画があるため他の職種を優先的に補充しなければいけないというジレンマがあります。また、採用にはそれなりの人件費もかかるため、ある程度の仕事量の見込計画も立てなければいけません。これは、校正側だけで解決できる問題でもなく企業全体の取り組みになってきます。

金融関係では、AIの導入が進み業務の省力化が進んでいます。ですが、校正の属する業界の多くでは、AIの導入はまだまだです。AIやデジタル校正ツールでの効率化が、校正の人材不足を補うというには困難な状況です。

校正側に要求されること

他の職種が人材不足に直面する中で、校正側からも可能な限り人材確保の道を考えていく必要があります。そのためには、まず校正という仕事の「認知度の向上」と「対応領域の拡大」が必要です。

校正の重要性は理解されているが、その価値が認知されにくいのは、対外的な問題でなく校正内部の問題に起因することも大きいです。

校正は、仕事内容が個人の属性によるところが大きく、ブラックボックス化されやすいです。校正という仕事の現場を知ることや校正者がどんな作業をしているのか、どうしたら校正者になれるかなどといった過程が不明瞭です。これは、校正側からの発信力が乏しいということです。

オープンにすることで、校正のノウハウが流出しないか心配に思うかもしれませんが、人の目に頼る部分が大きい作業であるアナログな校正は、大抵どこの企業でも同じようなやり方に行き着きます。

独自にシステムを組んでいる部分などはオープンにできないですが、アナログ校正の部分で『当社の校正は、他社にない革新的なやり方をしています』という会社は、まず存在しないでしょう。

校正・校閲に限っては媒体や現場が違えども、コアな作業の部分では大して技術の差に開きはありません。オープンにするメリットはあっても、デメリットは考えにくいです。

オープンにすることで校正の仕事の重要性を発信し、それと同時に時代に応じたデジタル系の校正スキルを身に付けていく必要があります。

人材不足解消の3つの取り組み

人材不足を解消するためには、3つの取り組みが必要になってきます。

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[1]人材募集窓口の拡大
[2]働き方の多様化(人・時間・場所)
[3]人材教育/育成
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[1]人材募集窓口の拡大

人材募集の窓口の拡大は、多様な経路で広く人材を募集する手段を持つということです。まず、ここを押さえておかないと、人材不足の解消はありえません。見込みの薄いのが、自社ホームページでの求人募集です。余程認知度のある企業以外はほぼ期待できません。

1-1:紹介予定派遣/派遣社員

正社員・契約社員採用向け

派遣会社から将来の社員候補として、派遣社員に来てもらうというやり方です。紹介予定派遣は、一定期間、職場環境が合うかどうか見定めることできます。何十年も経験のある校正者でも、得意不得意な分野があります。企業や媒体との相性が悪いと、能力を十分に発揮できないということもあります。

紹介予定派遣は、雇用する側/される側にとってミスマッチを生じにくくさせるため有効です。

また、紹介予定派遣でなく、正社員・契約社員を即雇用したいという考えなら、派遣会社を通じてオーダーを出せば、グループ会社のエージェントを紹介してくれます。

良好な関係を築いてゆける派遣会社を最低でも1社は確保しておきたいところです。

-2:日本エディタースクール

正社員・契約社員・アルバイト・フリーランスの求人募集

校正の学校で有名な日本エディタースクールから校正者の求人募集ができます。編集や校正の技能を学んだエディタースクールの修了生が常時150名ほど登録されています。在学中の方から、修了生の方、修了して実務経験をされている方など、幅広い層への募集が可能です。


【公式サイト】> 採用をお考えの方へ

1-3:日本校正者クラブ

日本校正者クラブとは?

「日本校正者クラブ」は、日本エディタースクールの実施する校正技能検定中級(旧四級)以上の有志による親睦団体です。 2019年4月1日現在、会員数は232人、首都圏を中心に、全国にひろく会員を擁しています。 当クラブは、校正者としての知識・技能を高め、また校正者の職能の確立とそれによる社会的地位の向上をはかることにより、出版文化等に貢献することを目的としています。

出典:日本校正者クラブ公式ウェブサイト

正社員・契約社員・アルバイト・フリーランスの求人募集

日本校正者クラブでは、校正者の募集だけでなくイベントや親睦会などもやっています。校正・校閲に関する情報収集にも最適です。


【公式サイト】> 校正者をお探しの方へ

[2]働き方の多様化

現在では、働き方の多様性が重視されつつあることを実感されている方は多いと思います。

働く「人・場所・時間」に制約を持たず、柔軟に対応していくということが重要になってきます。

テレワークやサテライト勤務、オンライン上でのやり取り、デジタルツールが普及する中で、フルタイムで出社して働くという考えにとらわれていると人材不足の解消に遅れをとります。

-1:人

シルバー世代の雇用促進

この課題は、働き方改革の取り組みにも掲げられています。現役世代にも引けを取らないシルバー世代の方は非常に多いです。そういう方々は非常に貴重な戦力です。特に校閲系では、年齢を重ねた方でも現役バリバリで働いている方もいます。

この募集は、最寄りのハローワークに相談するのが一番です。ハローワーク経由でしたら、無料で募集が可能です。

子育て中の方

子どもが大きくなれば、仕事に戻りたいという方は多くいます。また、自分のスキルが鈍らないように、育児の合間に数時間でも働きたいという方もいます。

この求人募集の相談は、派遣会社へ相談してみるか、主婦の方が多く登録されているママワークスの「掲載検討の企業様」から募集してみるのが最適です。


【公式サイト】> ママワークス

学生

学生だと春夏冬の休みが長期間あるので、その期間だけでも働いてもらえれば貴重な戦力となります。校正系でスピードを要するものは、若者の方が適性があるため戦力としては申し分ないです。

また、4年生なら比較的時間の融通も利きます。最近では、インターンシップの制度(就業体験)を活用する学生も増えているため、仕事に対する意識は非常に高いです。

学生の募集方法は、各学校により異なります。直接学校の就職課などに問い合わせしてみるのがよいです。ただ、手当たり次第に色々な学校へ募集を掛けるのも効率がよくありません。以下のサイトで紹介されている学校を中心に声を掛けてみることです。

【スタディサプリ公式】> 校正者を目指せる学校

また、キャリアバイト HPの「採用ご担当者」から募集してみるのも効果的です。

【公式サイト】> キャリアバイト

-2:時間

フルタイムの校正者ばかりで仕事を回しているという会社は戸惑うかもしれませんが、働く時間への柔軟な対応が一番重要になってきます。前述した「働く人」の面でも、時間に対して柔軟に対応しなければ、雇用の窓口を広げることができません。

これまで通りのやり方でなく、業務の分割・細かな作業項目の設定・段取りの調整での慣れが必要です。要は、仕事をタスク単位に分け、それを作業者に割り振っていくという考えです。

「午前中のみ」「午後から」「3時間だけ」「週2日」といった異なる働き方をする人たちをいかにスケジューリングしていくかのスキルが問われてきます。

人材不足を解消したいなら、作業項目の分割とスキルに応じた仕事の割り振りは、これからの校正管理者には身に付けなければならない必須の能力です。

-3:場所

校正の仕事の発注元は大都市圏に集中しているため、その近郊に校正者も多くいます。ですが、地方にも優秀な校正者は存在します。地方に移り住むことになって、校正の仕事から離れたという人は少なからずいます。

そういう方との校正のやり取りのために、リモートワークができる環境を整えておく必要があります。場所にこだわらない校正のフローです。

特に校閲は、ゲラ一つで作業が可能です。校正のゲラをPDFで送るだけで済みます。また、社内に専用のサーバーがあるなら、サーバーを介したやり取りも可能です。セキュリティの問題もクリアされます。データを送るのも、サーバーにアップするだけですので非常にスムーズに仕事が進みます。

[3]人材教育と育成

[1]人材募集窓口の拡大と[2]働き方の多様化の取り組みが上手くいき、人材が集まったとしても社内に教育できる人材がいないと元も子もありません。校正の経験者採用でも多少の教育は必要になってきます。

新人の校正者なら尚更です。社内の教育体制が整っていないと人材が育たないばかりか、すぐに見切りを付けられて辞めてしまうということもあります。そうなると無駄なコストが増すばかりです。

逆に、校正者の教育制度が整っていて人材育成のノウハウがある会社は、これまでの努力が報われるところです。

おわりに

[1]の人材募集窓口の拡大は、どの会社でもすぐにできます。

[2」の働き方の多様化は、校正の管理者にその能力が備わっているかによります。

[3]の人材教育/育成は、長年のノウハウと教育者が必要になってきます。

校正者の人材不足は、そう遠くない日に必ずやってきます。AIやデジタル校正に期待するよりも、今からできることに対して早めに行動に移すほうが賢明です。