Q数(級数=ポイント)・H(歯)・ℓ(Line=行)の意味

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Q(級数=ポイント)・H(歯)・ℓ(Line=行)の意味

※文章中の校正記号は『JIS Z 8208:2007(印刷校正記号)』を参考にしています。

1. Q(級数)=ポ(ポイント)

 Qとは?

Q 」は級数のことをいい、文字の大きさの単位のことです。同じように、文字の大きさの単位を表すものに、ポイントがあります。ポイントは、校正指示では「」と略されます。

2つとも文字の大きさの単位を表すものとしては同じですが、サイズは違ってきます。

・1Qは、0.25mm
・1ポイントは、DTPでは 0.3528 mm(JISでは 0.3514mm)

(※1Qの0.25mmは、1mmの四分の一。四分の一は英語でQuarter。「Q」は「Quarter」の頭文字からきています)

級数とポイントのサイズを比較すると、約1.4倍、ポイントのほうが級数より大きくなります。

級数とポイントの大きさのイメージ

 校正記号の級数ポイント

1. 赤字の入れ方(基本形)

校正記号の級数ポイント

2. 赤字の入れ方(実践編)

校正しているものに規定書があるなら、級数の間違いには数値で指示します。

規定書(フォーマット)があり、級数がわかっているなら
    10Q or 7ポ というように正すべき数値で赤字を入れます。

ですが、すべての媒体で規定書が存在していることもありません。

級数がわからない場合は、級数表で測るのも一つの手ですが、フォントや太字の影響で文字が大きく見えることがあります。級数表をあまり使い慣れていない人は、測り間違いがあるかもしれないので避けたほうがいいです。

また実際の現場では、わざわざ級数表で測って指示を入れることもあまりないです。(※規定書がない場合)

文字の級数がわからない場合の赤字の入れ方

1. 級数がすべて同じ場合

他にも「上の行と同Qに」など入れ方はいくつかあります。誌面内の級数がすべて同じであるなら、合わせるべき級数は1つしかないので「Q正ス」でも問題ありません。

2. 異なる級数が複数混在している場合

上の行と同Qに」「Telの行とQアワセル」などの入れ方でも大丈夫です。異なる級数が混在する場合は、どこと同じにするのかを明確に指示しないと、修正する側が迷うことになります。

【注意点】
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の例の場合は「Q正ス」でも通じますが、級数が複数混在しているときは、どこと級数を合わせるかの指示もしておいたほうが修正する側に対して親切です。

2. H(歯)

 Hとは?

「 H 」は、歯(は)の簡易表記で、字送りや行送り、字間、行間の単位のことです。

・1H=0.25mmで、1Qと同じです。

1. 字送りと字間

字送りと字間

字送りと字間は混同されがちですが、計測する基準点が違います。

校正記号の字間と字送り

・字送りベタから、H(歯)の数値を高くしていったものです。一番上が字送りベタです。字間を広げても同じような動きになります。

校正記号の字送り

2. 行送りと行間

行送りと行間

行送りと行間も同じものと誤解されがちですが、計測する基準点が違います。

校正記号の行送りと行間

※ Wordの行間は、DTPでの行送りのことを示しています。混同しないようご注意ください。「Wordの行間 = DTPの字送り」です。

・行送りベタから、H(歯)の数値を高くしていったものです。一番上が行送りベタです。行間を広げても同じような動きになります。

校正記号の行間

級数やポイント、字送りや行送りについては、校正者よりもオペレーターやデザイナーのほうが詳しいです。もっと詳しく知りたいという方は、オペレーターやデザイナーに聞いたほうが詳しく教えてくれると思います。

3. ℓ(Line

「 ℓ 」は、「Line」の頭文字を取ったもので「行」のことをいいます。
「行」と書くのが手間なので「ℓ」で代用します。

【赤字例】

校正記号のアケル

「ℓ」と同じようなものに「w」があります。
1wアケル」というような赤字をたまに見かけます。

この「w」は、
「w」⇒「word」⇒「文字」⇒「全角」となります。
1wアケル」の指示は、「全角アキ」と同じ意味になります。

この「ℓ」や「w」の指示ですが、周りでこの記号を誰も使っていないのであれば、使用するのは避けたほうがいいです。

あまり一般的でないのと、筆記体を習っていない世代もこれからは増えてくると思うので、単に書くのがラクだからという理由での使用はおすすめしません。

※校正記号表では「ℓ」の使用も許容とされていますが、「行」としておくほうが誰が見ても迷わずにすみます。