「ほとんど」と「大部分」の違いとは? 意味・使い分け・例文を簡単解説

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「ほとんど」と「大部分」の違いとは? 意味・使い分け・例文を簡単解説

「今日の仕事はほとんど終わった」と「今日の仕事の大部分は終わった」。
どちらもかなり進んでいる状況を伝えますが、受け手が思い浮かべる完了までの距離感は微妙に違ってきます。

この記事では、主要な国語辞典の定義を踏まえ、日常会話からビジネス文書まで誤解のない使い分けのポイントを紹介します。

[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]

『明鏡国語辞典』(大修館書店)
『広辞苑』(岩波書店)
『大辞林』(三省堂)
『新明解国語辞典』(三省堂)
『デジタル大辞泉』(小学館)

1. 辞書での意味

■ほとんど【殆ど】
定義:全部ではないが、それにごく近い数量・程度。「ほぼ」「おおよそ」。
焦点:「完了(100%)」までの距離が極めて近いこと。
補足:打ち消しの語を伴って「まったく」「少しも」に近い意味も表す。(例:ほとんどない)

■大部分
定義:全体をいくつかに分けたうちの、いちばん大きい部分。「大半」「過半」。
焦点:全体の中で最も大きな比率を占めているという客観的事実。

つまり、「ほとんど」は全部にごく近いこと、「大部分」は全体の中で大きな割合を占めることに重点があります。

2.「ほとんど」⇒ あと少しで全部

ほとんど」は、わずかな例外を除いてほぼ全部という状態を表します。残りの要素が「誤差」や「例外」と言える程度であり、話し手の中に「残りはごくわずかだ」「もう終わったと言ってもいい」という実感があるときに自然に使われます。

<使い方の特徴>
副詞として動詞・形容詞にかかるのが基本
(例)準備はほとんどできた/ほとんど同じだ

「〜ない」と組み合わせると「ゼロとは言い切れないが限りなくゼロに近い」状態を表せます。
(例)可能性はほとんどない

<例文>
・修理はほとんど完了した。(仕上げが少し残るだけ)
・応募者のほとんどが出席した。(欠席者はほんの数名程度)
・財布にお金がほとんどない。(小銭程度しか入っていない)

ほとんどの犬が笑っている。

3.「大部分」⇒ 全体の中で多くを占めるところ

大部分」は、全体を構成する要素のうち、量的に大きい部分を指します。「完了直前」である必要はなく、「多数派」であることを冷静かつ論理的に示す言葉です。

<使い方の特徴>
名詞として主語や目的語になり、全体の中で何が多くを占めているかを示します。
(例)費用の大部分を広告費が占める/参加者の大部分が賛成した

<例文>
・レポートの大部分を書き終えた。(主要な章は完成したが、結論や細部の調整は残る)
・参加者の大部分が賛成した。(全員ではないが、圧倒的多数)
・火災で建物の大部分が焼失した。(致命的な被害だが、焼け残った区画もある)

大部分の犬が笑っている。

4.「ほとんど」と「大部分」の伝わり方の違い

同じ事象を伝える場合でも、選ぶ語によって完了度や残量の印象は変わります。

<作業の進捗>
「作業はほとんど終わりました」もうすぐ完了する。残務はごくわずか。
「作業の大部分は終わりました」大きな山場は越えた。仕上げ等の残作業はまだある。

<人数の把握>
ほとんどの人が来ました」全員揃ったに近い。欠席は例外的な少数。
大部分の人が来ました」過半数は集まっている。まだ来ていない人も一定数いる。

5. 文法から見る誤用しないポイント

① 品詞の違い(副詞か名詞か)

ほとんど」は副詞的な性質が強く、動詞や形容詞にかかる使い方が基本です。ただし「ほとんどの〜」「〜のほとんど」の形では名詞的にも使えます。
・クラスの人はほとんど来た。(副詞)
ほとんどの人が来た。(名詞的)

大部分」は名詞なので、「〜の大部分」「大部分は(が)〜」とそのまま組み込めます。
・クラスの大部分が来た。
・参加者の大部分はクラスの生徒だ。

② 否定文での使い分け

「ゼロではないが、ごくわずか」と言いたいときは「ほとんど」一択です。
水がほとんどない。
× 水が大部分ない。(不自然)

6. 迷ったときの選び方

ほとんど」を選ぶべきとき
「ほぼ100%」という達成度や、残量の少なさを強調したいとき
「もう少しで全部」という実感を込めたいとき
「〜ない」を伴い、限りなくゼロに近い状態を表したいと
類義語:ほぼ/あらかた

大部分」を選ぶべきとき
全体における「構成比の大きさ(過半数や主要部分)」を客観的に伝えたいとき
ビジネス文書などで、主観を交えず事実関係を明確に示したいとき
類義語:大半/過半

ひとことで言うと
ほとんど…全部に近い(残りは誤差レベル)
大部分…全体の中で大きい部分(残りの量は文脈による)

おわりに

「ほとんど」と「大部分」は、どちらも「多い」ことを表しますが、伝える焦点は異なります。  進捗や達成度を伝えるなら「ほとんど」、構成比や多数派を客観的に示すなら「大部分」が自然です。