校正記号:行を詰める・前の行に送る・一行あける

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行を詰める・前の行に送る・一行あける

1. 行を詰める赤字

行を詰めたい場合は、「ツメ」の指示を使用します。一行分詰める場合でも、二行分詰める場合でも「ツメ」の指示だけで、すべてのアキが詰まります。

【赤字例】

【結果

2. 前の行に送る赤字

前の行に送る指示は、改行を取る場合に使用されることが多いです。校正指示は、文と文を線で繋げるだけです。

【赤字例】

【結果】

3. 一行あける赤字

一行あけたい場合は、「一行アキ」と指示します。 行間をもっとあけたい場合には「二行アキ」「三行アキ」というように指示します。

【赤字例】

【結果】

4. 応用編:前の行に送る + 行を詰める

【A】を【B】のようにしたい場合

【A】
行間を詰める

【B】
行間を詰める

この場合の赤字の入れ方は、前の行に送る指示だけを使うことがあります。

行間を詰める

ただ、前の行に送る指示だけでは、次のような修正結果になる可能性もあります。

行間を詰める

  → 文は繋がったが、一行アキはそのままという状態です。

そのため、赤字の入れ方を少し工夫する必要があります。

・行を詰める指示()を一緒に入れる
・「行をツメル」 と文を添える
 など、入れ方は何通りかあります。

次のように「上げる」指示を入れてあげてもわかりやすいです。

行間を詰める

5. 応用編:一行あける


【出典:『InRed』2020年3月号(宝島社)P.132より】

コピー部分に「一行アキ」の指示があります。ここでは「一行アキ」だけだと言葉足らずになってしまう可能性があります。

一行分のアキが入ったことで、
・Aのアキで調整するのか?
・Bのアキで調整するのか?
 といったことも考える必要があります。

「Aのアキ」をツメて調整する場合、すぐ上にあるロゴに注意しなければいけません。

企業ロゴには、ほぼすべてにレギュレーション(規定/ルール/決まり)が存在します。レギュレーションには、ロゴ周りの余白・配置位置・大きさ・色・フォントなどロゴの使用方法が詳細に記載されています。大抵ロゴ周りのスペースは余白を確保する必要があるため、スペースがあっても使えないことがほとんどです。

ロゴ周りに一定のアキを確保する規定があるのなら「Aのアキ」で調整することはできません。「Bのアキ」で調整するしかありません。ですが「Bのアキ」で調整すると、Bの左下部分の画像と下げた文字が重なる恐れがあります。

普通の文章なら「一行アキ」の指示を入れるだけで大丈夫ですが、このようなレイアウトの場合は、「一行アキ」の指示を入れるときに、もう一歩踏み込んで考えなくてはいけません。

デザインを変更する(コピーの級数を変える、画像を小さくするなど)こともあるので、そこは担当者と相談しましょう。

おわりに

行を詰める指示も一行あける指示も、その指示によってスペースが生まれたり無くなったりすることになります。そのため、単に指示を入れるだけでなく、その後の仕上がりもイメージして赤字を入れるようにしましょう。

※文章中の校正記号は『JIS Z 8208:2007(印刷校正記号)』を参考にしています。
※校正記号の例文は、青空文庫:谷崎潤一郎の『細雪』の一文を使用いたしました。