
校正・校閲向け練習問題
宝島社 InRed(インレッド)より一部内容を改変しての出題になります(※宝島社様のご厚意により練習問題の素材としてのみ使用許可をいただいております)。
『InRed』2020年11月号(宝島社)
2020年10月7日 (月) 発売
【公式サイト】≫ InRed
1:練習問題 問題
※宝島社 InRed(インレッド)11月号_P.61の一部を改変しての出題になります。
[上]フロントに大きく配したスヌーピーは、スパンコールの刺しゅうで象られたデザイン。ボトムスをファーブーツに入れて、アクティブながら街に着映えるコーディネイトの完成。[下]キッズ用のワンピースは、ポシェット風デザインのふわふわのスヌーピーが可愛い。
2:練習問題 解答
[上]フロントに大きく配したスヌーピーは、スパンコールの刺しゅうで象られたデザイン。ボトムスをファーブーツに入れて、アクティブながら街に着映えるコーディネイトの完成。[下]キッズ用のワンピースは、ポシェット風デザインのふわふわのスヌーピーが可愛い。
[キッズ画像]
(1) 画像の欠け(ワンピースのフード上部)
(2) [上][下]→[左][右]or[左から]
[バッグ画像]
(1) INFOMATION → INFORMATION
(2) 下線が足りていない
(3) ロゴの欠け(右上のTM)
3:練習問題 解説
[キッズ画像]
(1)画像の欠け(ワンピースのフード上部)
切り抜き画像の周りが欠けていることはよくあります。そのため、画像(イラストなども)は、パッと見て入っていたらOKではなく周りも注意しないといけません。他にも、画像の影の有り無しが混在していることもあります。
(2)[上][下]→[左][右]or[左から]
「上・下」でもわからなくもないですが、この場合は「左・右」などにする方が読者には親切です。
画像が入れ替わったり、レイアウトが大幅に変更したりしたときは、コピーとの対応関係がおかしくなることが多いです。
[バッグ画像]
(1)INFOMATION → INFORMATION
見慣れた簡単な英単語ほど、気の緩みからか間違っていることが多いの注意が必要です。
【例】 × Wintar ⇒ ○ Winter
(2)下線が足りていない
文字を追加した場合など、修正したときに起こることが多い間違いです。文字ばかりに集中しているとうっかり見落としてしまいます。
(3)ロゴの欠け(右上のTM)
バッグ画像のロゴだけ見るとわかりませんが、キッズ画像にも同じロゴがあるのでそこから判断できます。
ロゴは小さく配置されていることが多いので、欠けることがよくあります。小さいため誰も気づかずに、そのまま印刷されているものもたまに見かけます。
■ 今回の練習問題では、文章に集中していると見逃す恐れのある間違いをピックアップしてみました。校正を始めたばかりの頃は、文字だけに目が行きがちです。一歩引いて俯瞰しないと気付けない間違いはたくさんあります。この練習問題では、スペルミス以外はデジタル校正でも見つけられない間違いです。
4:補足
(1)キッズ画像のキャプション
基本的に、文章は読者を想定してわかりやすく伝わりやすく書くものです。なるべく難しい漢字は使わず、くどい言い回しも避けます。このキャプション内で「刺繍」を「刺しゅう」としているものその一つの例です。
・『スパンコールの刺しゅうで象られたデザイン。』
「刺しゅう」に続く「象(かたど)られた」も読み方が難しいです。
ここもひらがなにしたいところですが、
『スパンコールの刺しゅうでかたどられたデザイン。』
とすると、ひらがなが続くので却って読みにくくなります。
パターンとしては、以下の4つが考えられます。
----------------------------------------------------
1.刺しゅうで象られたデザイン(掲載文)
2.刺しゅうでかたどられたデザイン
3.刺繍で象られたデザイン
4.刺繍でかたどられたデザイン
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見た目的には「1」がスッキリしています。「2」だと読みにくく、「3」だと文が硬くなります。特にキッズに関する画像のキャプションなので、なるべく柔らかい印象にしたいはずです。
で、「4」はどうかというと、おそらく「InRed」のようなファッション誌には「刺しゅう」の単語はよく出てくるはずです。そのため、表記ルールで「刺繍」は「刺しゅう」にするという決まりがあるのではないかと思います。そこで、「1」の文を選択しているのだと考えています。
「象(かたど)られた」は比較的読みが難しいものですが、この言い回しにしているのは、InRedの想定読者層が30代を中心とした女性であることも要因だと思います。おそらく、中高生向けの雑誌なら「象られた」という言葉は使わないでしょう。級数の小さいキャプションにルビを振ることはまずないので、コピー自体をリライトしているはずです。
※(1)に関しては個人的な推測です。
(2)ロゴ下のホームページアドレス
ロゴ下に小さくてわかりにくいですが、ホームページアドレスが入っています。この文が前号からの流用・既に印刷されている別媒体から流用されているものなら、それとの照合で大丈夫です。
ただ、新規で追加されたものであるなら、ホームページアドレスの確認が必要になってきます。パソコンでURLを入力してリンク先が正しいかどうかチェックします。ホームページアドレスは意外なところに入っている場合があるので注意が必要です。
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