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校正未経験者・初心者の勉強方法[表組でパターン化された間違いを学ぶ]
※TOP画像の「アレイからすこじまのバス時刻表」は、呉観光協会様のご厚意によりいただいたものです。
▼ 様々な表組
このように、表組には様々なデザインのものがあります。
製品のスペック情報をまとめたものもあれば、文字情報をわかりやすく伝えるために表組にして見せることもあります。
表組のデザインは色々ですが、起こる間違いは共通するところがあります。校正では、意外とあるある的な間違いは多いです。わざわざ経験を積んで覚えなくとも、知識として持っておくだけで活かせるパターン化された間違いはあります。
いつどこで表組の校正をするかわかりませんので、起こりやすい間違いだけでも知っておくと役に立つ日がくると思います。
※以下の例は、紙媒体で起こりやすい間違いです。
※例として使用している表組の情報はすべてダミーです。
1:一つの赤字が複数の箇所に影響する
下のような見積もり金額を表組にしたものは、BtoBのメーカーカタログではよく見られます。
このような表は、一つの項目に赤字が入るだけでも、
・小計
・合計金額(税抜)
・消費税価格
・合計金額(税込)
などに影響してきます。
多くに影響するため、クライアントの赤字の入れモレも多いです。そのため、校正としては、原稿に入ってきた赤字の確認だけでなく、他に影響してくるところがないかの確認もします。また、電卓で計算し直す必要もあります。かなり手間のかかる作業です。
▼ この例では、一つの項目に赤字が入るだけで、他の4か所にも影響してきます。
表組が大量にあるなら、クライアントに原稿へ一つ一つ赤字を入れてもらうよりも、完成データを支給してもらい、一から作り直した方が時間短縮につながることがあります。
これは、クライアントとの関係性・修正量にもよりますので、現場を仕切る人の裁量に大きく左右されてきます。
再度一から作り直しのは手間だと思われがちですが、細かな修正を繰り返すよりも、トータルで見れば大幅に時間と労力を削減できることも多いです。
2:色の付け忘れ
▼ 行が削除された場合
【修正結果】
・指示通りに行は削除されたが、行の着色までは修整されていない間違いです。
▼ 行が追加された場合
【修正結果】
上の例は行でしたが、列でも同様なことが起こりえます。
校正側で、行の削除や追加の赤字を入れるときは「色アミも(交互に)修正スル」など補足しておくとこのような間違いを防ぐことができます。
3:体裁の間違い
▼ 新しく表組が追加された場合
・下の赤枠で囲まれた表組が新規で追加されたものです。
上の表は既存のものです。
【相違点】
新たに追加された表組が、既存のものと体裁が違ってくることはよくあります。これは表だけでなく、文章でもそうです。
新規で追加の指示があった場合 『入っていたらOK』ではなく、既存のものと見比べるクセを付けておくことが大事です。
文章でも、新規で追加されたものと既存のものとで、表記がバラつくていることはよくあります。
4:表組周りの不具合
▼ 行が削除された場合
【修正結果】
▼ 行が追加された場合
【修正結果】
ここで覚えておきたいことは、表とそれに付随する文は、それぞれが独立して作られているということです。そのため、表を移動しても文がセットで付いてくることはありません(※画像とキャプションの関係と同じです)。
表組と注釈のアキが広がるのは、まだ文字が読めるだけマシですが、表と文字との重なりは完全にアウトです。
このような間違いは、表組だけではありません。文字が増えたり何かが追加されたりした場合は、どこかに不具合が起きていないか入念に確認する必要があります。
文字の重なり以外にも、修正前は均等アキだったものが、修正後はアキが不揃いになっているというケースもよくあります。
5:予期せぬ不具合
▼ セルが結合された表組で見られる予期せぬ間違い
【修正結果】
【原因】
「トル」の赤字によって「B4 1P」の行が一行分で収まるようになり、セルの結合を解除した結果、起きた不具合の可能性が考えられます。
ここではセルの結合を解除した結果として起きた不具合の例ですが、他にも文字の追加や削除によって文字の位置がズレるということもよくあります。
6:罫線のズレ
【修正結果】
この例は、罫線が表組からハミ出しているのでわかりやすいですが、罫線が短すぎる場合は気づきにくいので注意が必要です。
7:余分なスペース
【修正結果】
修正によってできた余分なスペースは、必ずツメルということではありません。他の表組とのバランスや見た目などから、そのままにすることもあります。
仮に、上の【修正結果】の余分なスペースをツメルとしたらこのようになります。
おわりに
表組では何が起こるかわからないと思っていた方がよいです。一か所の赤字でも気を抜かず、周りをよく見て、全体をパタパタ(めくり合わせ)で入念に確認することです。
『こういう間違いは起こらないだろう』という思い込みをすべて捨てることが大切です。
【冒頭の表組画像は、以下の書籍・雑誌・HPより引用】
・『InRed』2020年6月号増刊(宝島社):「貯め体質」になれるマネーブック
・厚生労働省:新型コロナウイルス対策「手洗い方法」
・日本エディタースクール出版部:校正記号の使い方
・呉観光協会HP:「呉海自カレー」
・厚生労働省:新型コロナウイルス対策「次亜塩素酸ナトリウム液の作り方」
・呉観光協会HP:「アレイからすこじま」