
目次
よく使う基本的な校正記号と使い方
基本的な校正記号をイラスト付きでまとめています。
校正記号は、第三者に修正内容を簡潔明瞭に伝えるために生まれたものです。その使用のルールとして定められているのが「JIS印刷校正記号」です。
ここでは、そのJIS印刷校正記号を踏まえつつ、伝わりやすさ・使いやすさを考慮して、一部アレンジしています。
1:文字の修正
▼ 修正指示
■ 訂正の指示は、最もよく使う校正記号です。
他の校正記号にも共通しますが、使用で気を付けておきたいことは次の3点です。
・どこを修正するのか?
⇒ 修正範囲を明確にする
・どうするのか?
⇒ 修正結果をイメージする
※その指示だけでイメージした修正結果になるか? 指示に不足がないか?
・指示は丁寧に書く
⇒ 相手に誤解を与えないような乱雑な字や略字などは使わない
2:文字の挿入(追加)
▼ 挿入指示
■ 訂正の指示と似ていますが、挿入指示は、挿入したい文字を2股の線で挟むのがポイントです。また、引き出し線の先端に「∧」を付けて、挿入位置を明確にします。
2股の線にしなくても意味は通じますが、挿入指示だとハッキリさせるために「∧」は付けておきましょう。
3:文字の削除(トル・トルアキ)
▼ 削除指示
・「トル=トルツメ」
⇒ 文字を取ってツメル
・「トルアキ=トルママ」
⇒ 文字を取って空いたママにしておく
■「トル」に関する指示は4つあるように思えますが、実質は2つだけです。
校正記号表では、基本「トル」と「トルアキ」を使用し、「トルツメ」と「トルアキ」は許容とされています。ですが、「トルツメ」と「トルアキ」の方が、「ツメ」と「アキ」が対比の関係にあるので覚えやすいかもしれません。
どの赤字を使うかは自由ですが、使う赤字は周りの校正者と統一しておきましょう。
4:赤字の取り消し(イキ・ママ)
▼ 赤字を取り消す指示
■ 「イキ」の文字は、生かしたい元の文章の近くに書きます。
・間違った使い方
※イキを入れるのは、赤字の近くではありません。
「ママ」「モトイキ」「モトママ」も同じように使われますが、簡潔・明瞭を基準とするなら「イキ」や「ママ」のどちらかを使用しましょう。
5:改行する + 改行をやめる
▼ 改行指示
■ 改行指示は、『改行後、文頭を一字下げするという指示』です。ですが、この意味を知らない方も多いです。
そのため、改行指示を使うときは、改行後に文頭をどうするか文字を添えておくことです。そうすれば、修正側に誤解を与えることもありません。
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・改行後、一字下げするなら、
「改行記号」+「一字下ゲ」
・改行後、一字下げしないなら、
「改行記号」+「一字下ゲズ」
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※校正記号だけでは伝えきれないことも多いので、誤解を与えそうだと思ったら文字で補足しておくことです。補足の指示は鉛筆でします(青ペンでも大丈夫です)。
▼ 改行をやめる指示
6:文字の入れ替え
▼ 入れ替え指示
・隣接する文字
■ 入れ替え指示の記号は、S字でも逆S字でもどちらでも大丈夫です。
・離れた文字
7:字下げ + 文字の移動
▼ 字下げの指示
■ 段落の文頭を一字下げするときに使用にします。どこまで下げるかの記号は不要です。
▼ 文字の移動の指示
■ どの位置まで下げるかは、明確に指示しなければいけません。
8:アキ + ツメ
▼ アキとツメの指示
校正記号表から少しアレンジした指示になります。わかりやすく簡潔な使い方を紹介します。
・アキ
■ アケル場合は、どれだけアケルのかを指示します。
・ツメ
■ アケル指示とは違い「ツメ」の指示だけで、アキがどれだけあってもすべて詰まります。
※校正記号表では「ツメ」でなく「ベタ」ですが、意味が伝わりやすいので「ツメ」を使用しています。
仮に、全角アキを半角分だけツメたいなら「アト半角ツメ」という指示があります。ですが、これも下の指示の方がわかりやすいです。どの状態にするか結果を述べた指示です。これは校正記号表通りの指示です。
※「アキニ」の指示につられて、アケル記号「∨」にしないように注意しましょう。
おわりに
校正の現場で起こるすべての間違いを、校正記号だけでは伝えきれません。そのため、校正記号だけでなく相手に伝わるように、文字で補足して伝える工夫も必要になってきます。
校正記号の第一は、相手に修正内容を明確に伝えることです。くれぐれも、校正記号表に載っているからという理由で、あまり知られていない校正記号を使うのは避けましょう。
・校正記号のまとめ ≫ 使いたい赤字を五十音検索
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