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校正記号:センター(中央揃え・センタリング)の使い方
揃えの指示として使用される「センター」には、同じような指示が多くあります。次のように色々な呼び方があるため、どれを使えばいいか迷うと思います。
- センター
- 中央揃え
- 中央寄せ
- センター揃え
- センター合わせ
- センタリング
どれが正しいか、自分だけが言葉の意味を理解していても、相手(修正する側)に伝わらなければ意味がありません。そのため、どの言葉を選択して使うかより、相手にどう伝えるかに重点をおいて校正記号の使い方を紹介していきたいと思います。
この記事では、校正記号表にならい「センター」の指示を使用しています。また、訂正内容は簡潔に中央に配置するものとしています。
※校正記号表では、揃えの指示には「センター」や「中央」が使われます。
1. センターの赤字の入れ方
▼ 天地左右ともにセンターに収めたい場合
次の図は「■■■■■」が、天地左右センターに配置されている状態です。この状態にしたい場合の赤字の入れ方を紹介したいと思います。※「天地」は「上下」と置き換えても大丈夫です。
■ 赤字の入れ方
1. 左右センター(左右中央)にする
次に説明する赤字の入れ方は、既に天地だけセンターで収まっている状態です。
この場合は「センター」の赤字だけで、左右センターのことだとわかります。
ただ、赤字を入れるときは「センター」だけでなく、「左右」も補足しておくほうがよいです。どの位置でセンターに収めるかを、常に癖付けしておくことで赤字の入れ忘れを防ぐことができます。
・例1
・例2
・例3
例3は、右へ移動すると位置が明確なので「センター」だけでも伝わります。「左右」を入れても問題ありません。
2. 天地センター(上下センター = 上下中央)にする
次に説明する例は、既に左右だけセンターで収まっている状態です。
赤字は、1の左右センターの場合と同様です。
・例1
・例2
・例3
3. 天地左右センター
・天地左右ともにセンターにしたい場合は、丸囲みで指示するのが一番わかりやすいです。
※「天地」が聞きなれないようであれば、「上下左右」としても大丈夫です。
・例
2. センターの指示で気を付けたいこと 1
▼ 画像のキャプションを左右センターにしたい場合
次のセンターの赤字は、画像2に対してキャプションを左右センターに収めることだとわかります。
一方、次のような赤字の入れ方では他の解釈もできます。
「左右センター」の指示だけでは、両方の画像に掛かるようにキャプションを移動させるとも考えられます。
移動の校正記号を使わなければ、どこに対して左右センターにするのかを伝えなければいけません。
※画像2としていますが、実際には「上の画像」「右側の画像」などに置き換えてください。
センターの指示だけではありませんが、何かを移動させる場合は、移動量を指定するか、どこまで移動するかを明示しないといけません。そうでないと修正側が迷うことになり、意図と違う修正結果になる可能性があります。
3. センターの指示で気を付けたいこと 2
▼【例文】を【結果1】もしくは【結果2】にしたい場合の赤字の使い分け例です。
【例 文】
【結果1】
【結果2】
▼【結果1】にする赤字の入れ方
・例1
・例2
※「左ソロエのママ」と付け加えます。
▼【結果2】にする赤字の入れ方
・例1
※「各行」と付け加えます。また、修正側が丸囲みの指示につられて、そのままの状態で移動してしまうことも考えられます。そのため、あえて「各行」の下に鉛筆で波線を入れて指示を強調しています。
・例2
少しくどいですが、確実なのは次の指示です。
4. 指定の行内でセンターにする
本文の見出しなどでよく使われる指示として「○行ドリ中央」という指示があります。
これは、指定した行内で文をセンターに収めるという指示です。
誌面のフォーマットが決められている媒体などでは有効な指示の入れ方です。
・2行ドリ中央
・3行ドリ中央
おわりに
「センター揃え」や「センター合わせ」など、微妙な表現の違いで仕上がりを区別している校正の現場はかなり少ないはずです。
そのためセンターや中央揃え、センタリングなどの指示を使うときは、修正側に仕上がりのイメージが明確に伝わるように赤字を入れる必要があります。
文字で伝えきれない場合は、仕上がりイメージを図で書いて伝えることも効果的な手段です。
単に「センター」の指示だけでは、【3】の項目の【結果1】と【結果2】のように2パターンの解釈ができる場合もあります。
仮に、校正者が【結果1】をイメージして「センター」の赤字を入れて、その赤字を見た修正側が【結果2】で仕上げてきた場合は、校正者の指示不足となる可能性が高いです。
そのため、センターの指示を使う場合は、どの範囲でセンターにするのかをちゃんと指示しておく必要があります。