矢印の名称と赤字の入れ方[校正記号の使い方]

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矢印の名称と赤字の入れ方[校正記号の使い方]

1. 矢印の種類と名称

矢印は、約物の一つで「しるし物」に分類されます。

 約物の種類

  • くぎり記号 … 句読点、中黒など
  • つなぎ符号 … ダーシ、ハイフンなど
  • かっこ類  … パーレン、クォーテーションマークなど
  • アクセント … アキュートなど
  • しるし物  … 矢印、米印、丸印など

文章中でよく見られる矢印には以下のようなものがあります。
 (※【  】内は日本語の文字コードを定めたJIS X 0213での名称です)

1. 矢印

校正記号の矢印の名称と使い方

2. 白ぬき太矢  or  白矢

校正記号の矢印の名称と使い方

3. 二重矢印【ならば(合意)】

校正記号の矢印の名称と使い方

4. 両矢印【同等】

校正記号の矢印の名称と使い方

5. 二重両矢印【同値】

校正記号の矢印の名称と使い方

さらに矢印の向きによって名称も細分化されます。

矢印

校正記号の矢印の名称と使い方

「曲がり矢印上がる/下がる」は、くだけた文章などで気分の抑揚を表すときによく使用されます。

白ぬき太矢(白矢)

校正記号の矢印の名称と使い方

二重矢印

校正記号の矢印の名称と使い方

他にも、
リターン記号のような矢印、

  校正記号の矢印の名称と使い方 

正式名称は定かではありませんが次のような矢印もあります。

 校正記号の矢印の名称と使い方
※Unicodeの名称:Leftwards Arrow To Bar Over Rightwards Arrow To Bar

これらは環境依存文字ですが、「りたーん」や「やじるし」と入力して変換すると普通に出てくるものです。

矢印の種類をあげていけばキリがないですが、一般的な書籍では誌面に出てくる矢印の数は限られてきます。書籍に限らずこれはどんな媒体でもそうです。色々な矢印が多用されるということはまずありません。

そのため、校正するにあたってはよく使用されるものを中心に覚えておけば大丈夫です。

2. 矢印の赤字の入れ方

矢印は書き方にクセがあると、単なる横棒に見えてしまうことがあります。

通常の矢印だとダーシや音引きなどと誤解される恐れがあります。

校正記号の矢印の名称と使い方

また記号自体も小さいため、矢印同士で見間違えが起こりやすくなります。

校正記号の矢印の名称と使い方 

そのため赤字を入れる場合は、矢印だけでなく矢印の名称も補足しておく必要があります(これは約物全般にいえることです)。

校正記号の矢印の名称と使い方

矢印の記号自体も簡略化せずに大きくはっきりと書きます。
特に、先端部分を強調して書いておくとダーシなどとの見間違えも防げます。

1. 赤字を入れるときの名称

向き(右、左 etc.)と形状(二重、白、黒 etc.)を明記して『矢印』を付けます。

 校正記号の矢印の名称と使い方

※「矢印右」でも大丈夫ですが、「○矢印」or「矢印○」のように『矢印』の文字が付く位置は統一しておきましょう。

校正記号の矢印の名称と使い方

校正記号の矢印の名称と使い方

※「二重○矢印」or「○二重矢印」でも大丈夫です。

2. 矢印の挿入指示

【赤字例】

・記号と名称を入れます。

校正記号の矢印の名称と使い方

補足の名称は丸で囲む以外にも、かっこで括ったほうが見やすいこともあります。

校正記号の矢印の名称と使い方

3. 矢印の訂正指示

【赤字例】

・記号と名称を入れます(挿入指示と同じです)。

校正記号の矢印の名称と使い方

4. 矢印の向きを変える

・次のように左向きの矢印を右向きに変えたい場合

校正記号の矢印の名称と使い方

この場合の赤字の入れ方は複数あります。

【赤字例】

1. 正しい向きの矢印を入れる

校正記号の矢印の名称と使い方

2. 文字で向きを変える指示を入れる

指示としては、
矢印の向き右に」「矢印の向き逆にスル」「矢印右向きニ」「右向きにスル」「向き逆に」などです。

校正記号の矢印の名称と使い方

こちらの指示のほうが簡潔でわかりやすいと思います。

5. 矢印の訂正(矢印の名称がわからない場合

矢印の種類が混在している

校正記号の矢印の名称と使い方    

左側の矢印に統一したい

校正記号の矢印の名称と使い方

でも、矢印の名前がわからないので何て書いていいかわからない……

校正記号の矢印の名称と使い方

【赤字例】

校正記号の矢印の名称と使い方

この矢印の名称は、銛(もり)型矢印です。どちらかというと普通に使用されるものです。

ただ、銛型矢印と名称を補足しておけば大丈夫というわけではなく、名称が周囲に通じないようであれば矢印の記号自体を大きめに書いてその特徴を指示してあげる必要があります。

赤字を見る相手側の視点に立って、より伝わりやすい指示を選ぶように心掛けます。また、わからない矢印が何度も出てくるようであれば、ちゃんと名称を調べておくことも校正では大切です。