文章のセルフチェックで押さえておきたいポイント解説[ビジネス文書編]

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文章のセルフチェックで押さえておきたいポイント解説[ビジネス文書編]

ビジネスの中では、文書やメールを通して情報を伝える場面が多くあります。時には「この文章で本当に伝わるだろうか?」「誤字脱字などのミスはないだろうか?」と不安になることもあると思います。

重要な場面では、誰かに文章を見てもらいたい、添削してほしいと思うこともあるかもしれませんが、必ずしもすぐに添削をしてくれる人が見つかるとも限りません。忙しい上司や同僚に「頼みにくい」と感じることもあるでしょう。

この記事は、添削を受けられないときに、自分自身でビジネス文書を見直す観点を紹介しています。セルフチェックリストとして、是非ご活用ください。

ビジネス文書を見直す観点

自分の書いた文章を客観的に見直すのはなかなか難しいものですが、「チェックポイント」を明確にして、ポイントを一つずつ見直すことで、不備に気付くことができます。

おすすめは、大きく「構成面」「内容面」「表記面」の3つにわけて、順番にチェックすることです。

以下より、それぞれの観点について具体的に解説します。

1.「構成面」のチェック

ビジネスの場面では読み手が多忙であり「最初から最後まですべて読んでくれるとは限らない」という前提のもとに、できるだけ早いタイミングで、重要な情報が読み手の目に入るような構成で文章を書くことが望ましいです。

文章のセルフチェックの際には、下記の3点を守れているか確認しましょう。

ポイント① 結論から述べる構成になっているか

結論が最後まで出てこない文章では、読み手が結論部分に行き着く前に読むのをやめてしまった場合、肝心なことが伝わりません。まずは簡潔な結論を冒頭に置き、経緯の説明や詳細な内容についてはその後で補足するようにします。

ポイント② 重要な情報から順に提示できているか

結論を初めに述べた後も、情報を書く順番は、重要な順とします。「何が重要な情報か」は場面によって変わります。

例えばイベントの案内文であれば、イベントの日時や内容は重要度が高いですが、開催背景・目的や諸注意は重要度が低い情報といえます。一方で費用を使う承認を得ることを目的とした稟議書であれば、「なぜそれをやるのか」「なぜその費用がかかるのか」を説明する背景・目的の説明は重要度が高くなります。

ポイント③ 適切な見出しをつけられているか

ビジネス文書の場合、多忙な読み手が情報を素早くつかむうえで「見出し」は大いに助けになります。ビジネスメールの場合は、日々多数のメールを受信する中で、開かなくても内容を想像して重要度を判断できる「件名」のつけ方が非常に重要です。また、内容によっては適宜箇条書きを活用することもおすすめです。

例文で見る <悪い例>と<改善例>

上記の3つのポイントについて、例文を用いて再確認してみましょう。

<悪い例>

Self-checkpoints in writing 

件名:新管理職向けのコミュニケーション研修の件

マネージャー各位
この度、新たに管理職になる方へ向けて「コミュニケーション研修」を実施します。

 2024年2月16日(金)10:00~12:00 本社第二会議室
 「組織の心理的安全性を高める声掛けとは」

 2024年2月28日(水)10:00~12:00 本社第一会議室
 「部下を導くコーチング&メンタリングスキル」

マネージャーの皆様はすでに一度研修を受講されていますが、
「もう一度受けたい」というお声を多数頂戴しており、希望があれば再受講できるようにいたしました。任意ではございますが、ご希望があればご連絡ください。

「悪い例」の文章は最後まで読むと「任意参加」の案内であることがわかるのですが、それを伝えぬまま先に一通りの案内を書いてしまっています。この程度の長さであればそこまで問題にはならないかもしれませんが、文章が長くなるほどこの構成では不親切です。

また件名からはこのメールが「相談」や「承認依頼」なのか「案内」なのか、まったく見当がつかないため、忙しい読み手に対しての配慮に欠けると言わざるを得ません。

<改善例>

Self-checkpoints in writing

件名:【ご案内:任意参加】新管理職向けのコミュニケーション研修

マネージャー各位
この度、新たに管理職になる方へ向けて「コミュニケーション研修」を実施します。マネージャーの皆様はすでに一度研修を受講されていますのでご参加は【任意】ですが、ご希望があればご連絡ください。

■第一回
日時:2024年2月16日(金)10:00~12:00
場所:本社第二会議室
テーマ:「組織の心理的安全性を高める声掛けとは」

■第二回
日時:2024年2月28日(水)10:00~12:00
場所:本社第一会議室
テーマ:「部下を導くコーチング&メンタリングスキル」

マネージャーの皆様から「もう一度受けたい」というお声を多数頂戴しており、
希望があれば再受講できるようにいたしました。よろしくお願いいたします。

2.「内容面」のチェック

伝えたい情報の内容そのものは正しかったとしても、伝え方によってそれが読み手にうまく伝わらないことがあります。「伝え方」については、最低でも次の2点をセルフチェックするようにしましょう。

ポイント① 前提の説明を端折っていないか

読み手と自分がどの程度の背景・経緯や情報を共有できているのか考え、あまり共通認識がないと思われる場合は、前提の説明の部分を丁寧に説明する必要があります。

例えば同じプロジェクトを進めているメンバーには、プロジェクト概要をいちいち説明する必要はありませんが、上層部の役員に費用承認を依頼するとなると、プロジェクト概要やそれが始まった経緯・目的などをきちんと説明する必要があるでしょう。

ポイント② 相手に求めるアクションが明確か

ビジネスの場面で文章を書く目的は、ほとんどの場合で「読み手に自分の望むアクションを取らせるため」なのですが、自分の伝えたいことだけを「伝えて終わり」の文章になってしまうと、読み手に動いてもらいにくくなります。

例文で見る <悪い例>と<改善例>

<悪い例>

Self-checkpoints in writing

新しい営業用パンフレットの初稿が上がりました。ご確認いただけますようお願い申し上げます。

<改善例>

Self-checkpoints in writing

新しい営業用パンフレットの初稿が上がりました。デザイン・文面をご確認いただき、お気づきの点がありましたら2/15中にフィードバックをお願いいたします。

「悪い例」では「ご確認いただけますようお願い申し上げます。」とありますが、確認をするだけでよいのか返信が必要なのか、どこを確認すればよいのかが明示されておらず、読み手の解釈に委ねる部分が多くなっています。こうなると望むアクションを読み手が取ってくれるとは限りません。

「改善例」では、「デザインや文面を確認してほしい」「気付いた点は2/15中にフィードバックが欲しい」と読み手に望むアクションを明確に書いているため、読み手の解釈に委ねる余地がなくなっています。

3.「表記面」のチェック

構成・内容について確認をした後、総仕上げとして最後にまとめて表記面をチェックします。現在では文書作成ソフトやメールソフトに校正機能がついていることも多いため、セルフチェックの一助にするとよいでしょう。

ポイント① 誤字・脱字がないか

誤字・脱字の中でも、特に同音・同訓異義語は変換ミスを起こしやすいので注意して見直しましょう。

ポイント② 表記ゆれはないか

特に対外的に発表する文書の場合は慎重に確認します。「第3回」と「第三回」といった数字の表記、「ユーザー」と「ユーザ」、「ホームページ」と「ウェブサイト」などの呼称について、統一が取れているか確認します。

ポイント③ 長い一文がねじれていないか

一文が長くなるほど、主語と述語の不一致、受動と能動のねじれなどが起こりやすいので、注意して見直しましょう。

ポイント④ 敬語の間違いはないか

特に尊敬語と謙譲語の誤りはきちんと確認しましょう。(×添付資料を拝見してください 〇添付資料をご覧ください)また誤りとまでは言えなくても、「させていただきます」の多用は文章を冗長にするので控えます。

ポイント⑤ ら抜き言葉、重ね言葉はないか

ら抜き言葉は会話の中ではあまり気にならなくても、文面になると違和感を覚える人が多いので、意識的に直すようにします。(×ここから見れると思います 〇ここから見られると思います)また「重ね言葉」とは「まず初めに」「今の現状は・・・」など、同じ意味の言葉を重ねてしまい表現を冗長にしてしまうことを言います。わかりやすく簡潔な言い回しをすべき場面では回避したほうがよいものです。

ポイント⑥ 無くても意味が通じる言葉はないか

できる限り不要な表現を削ることで、伝えるべき情報を的確に伝えられます。「無くても意味が通じる言葉はないか」という視点でもご自身の文章を読み直してみてください。

例:食べられることがあります。⇒ 食べられます。

ポイント⑦ 修飾語の位置はわかりにくくないか

修飾語は、それがかかる言葉(被修飾語)にできるだけ近づけたほうが意味をとりやすくなります。

例)
言い方によってうまくそれが相手に通じないことがある。
   
言い方によってそれが相手にうまく通じないことがある。

ポイント⑧ 文末は単調になっていないか

誤りではありませんが、「~いただけますと幸いです。」「~申し上げます。」などが何度も連続してしまうと、不自然な文章になります。同じような意味をもつ複数の表現を使い分けて、同じ文末が連続するのを回避するようにしましょう。

 Self-checkpoints in writing

セルフチェックリスト

1. 構成面のチェック
  ▢ 結論から述べる構成になっているか
  ▢ 重要な情報から順に提示できているか
  ▢ 適切な見出しをつけられているか

2. 内容面のチェック
  ▢ 前提の説明を端折っていないか
  ▢ 相手に求めるアクションが明確か

3. 表記面のチェック
  ▢ 誤字・脱字がないか
  ▢ 表記ゆれはないか
  ▢ 長い一文がねじれていないか
  ▢ 敬語の間違いはないか
  ▢ ら抜き言葉、重ね言葉はないか
  ▢ 無くても意味が通じる言葉はないか
  ▢ 修飾語の位置はわかりにくくないか
  ▢ 文末は単調になっていないか

おわりに

せっかく入念に準備した文書でも、一つの伝え方、書き方の失敗によって、読み手に予期せずネガティブな印象を与えてしまうのは非常にもったいないことです。ぜひ文書が完成した後、セルフチェックリストを参考に見直しを行い、完成度の高い文書に仕上げていただけたらと思います。