「関わる」と「係わる」の違いは?どっちの漢字を使うべき?

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「関わる」と「係わる」の違いは?どっちの漢字を使うべき?

「かかわる」の意味は、関係を持つ/関係する/影響が及ぶ/重大なつながりを持つ、などです。この「かかわる」を漢字で表記する場合、主に「関わる」と「係わる」の2つの表記があります。

両方とも文章中でよく見かけるため、使い分けで悩むことも多いと思います。どちらの使用がより適切か以下に詳しく紹介します。

「関わる」と「係わる」の違い

「関わる」と「係わる」は、「関係」という熟語があることからもイメージできるように、この2つの表記はほぼ同じ意味で使われます。

たとえば『広辞苑』(岩波書店)では見出し語として「関わる・係わる」と併記され、本文中でも使い分けについての記述はありません。『新明解国語辞典』(三省堂)でも、「関わる」を見出し語として、本文中に「係わるとも書く」との注釈があります。

このように意味の上ではほとんど違いがないので、使い分けに関しては常用漢字表に載っているかどうかを判断基準にするのがよいでしょう。

「関(かか)わる」は常用内の読みですが、「係(かか)わる」の読みは常用漢字表にはありません。

どうしても「係わる」を使いたいというこだわりがない限りは、「関わる」と表記したほうが読者に受け入れられやすいと言えます。新聞をはじめ、文章を書く際の表記の基準としてよく用いられる『記者ハンドブック 第14版』(共同通信社)でも、「関わる」の表記が採用されています。

「かかわる」の漢字表記としては、このほかに「拘(かか)わる」という書き方もありますが、こちらも常用漢字表にはない読みです。強いこだわりがなければ、やはり「関わる」とするのが無難でしょう。

 

「~にもかかわらず」の漢字表記は?

なお、「知っていたにもかかわらず黙っていた」というような「~に関係なく~であるのに」の意を表す「かかわらず」は、「拘わらず」と表記するのが本来的です。ただ、「拘(かか)わらず」が常用漢字表にはない読みであるためか、「関わらず」と表記されているケースも見られます。

しかし、「関わらず」という表記は、まだ完全に受け入れられたとは言いがたい状況です。2010年発行の『明鏡国語辞典 第二版』(大修館書店)には「今後は常用漢字表内訓の『関』が増えるだろう」とありました。それから約10年を経た2021年発行の『明鏡国語辞典 第三版』では「常用漢字表では『関』に『かかわる』の読みも認められている」とされており、許容に近づいてきたようにも感じられます。ただし第三版には「法令や新聞は『関』を用いず、かな書きとする」ともあり、『記者ハンドブック 第14版』でも「『(に・にも)かかわらず』は平仮名書き」とされています。

以上より、現時点では「かかわらず」とひらがなにする、もしくは「拘わらず」と表記してルビを振るのが無難と言えます。媒体や対象読者層、文章全体の雰囲気などを考慮して、どのように表記するか判断するとよいでしょう。

 

[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]

・『広辞苑』(岩波書店)
・『新明解国語辞典』(三省堂)
・『明鏡国語辞典』第二版、第三版(大修館書店)
・『記者ハンドブック 第14版』(共同通信社)