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振替休日は祝日じゃない!?[文章内での振替休日の書き方いろいろ]
カレンダーやスケジュールなどで日付を書く際、『振替休日』に当たる日があれば、「どのような表記にすればいいのか?」「略して書くときには何が適切なのか?」
この記事では、振替休日の意味や表記方法、注意すべきポイントについて詳しく紹介します。文章内で振替休日をどのように書くかで悩んだ際に参考にしてみてください。
[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]
・『「国民の祝日」について』(内閣府)
・『2024年の祝日は?知ってそうで知らない「国民の祝日」とその趣旨や経緯』(政府広報オンライン)
・『新明解国語辞典 第八版』(三省堂)
振替休日と祝日の違い
振替休日の前にまず祝日について知っておく必要があります。「祝日」は、法律で定められた公的な休みの日のことをいいます。『国民の祝日に関する法律』に基づいて、国民的な行事や歴史的な記念日を祝うための日として祝日が設けられています。現在、年に16日の祝日が「国民の祝日」として定められています。「成人の日」「こどもの日」「敬老の日」などがあります。
「振替休日」は、上記の祝日が日曜日に重なった場合に適用される制度です。『国民の祝日に関する法律』によれば、振替休日について以下のように定められています。
" 『国民の祝日』が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い『国民の祝日』でない日を休日とする。"
すなわち「国民の祝日」が日曜日と重なった場合、その日の後の最も近い平日を休日とするものです。ゴールデンウィークなどの祝日が連続する場合をのぞけば、性質上ほぼ月曜日に振替休日が発生することになります。
以上のように「祝日」と「振替休日」は別のものとして法律上定められています。そのため、振替休日に当たる日に「祝日」や「祝」などを併記するのは誤りとなります。
振替休日の表記について
振替休日を正式名称で記載する場合には問題ありませんが、略して記載する場合にはどういう表記があるのか?
表記の仕方は、公的機関、企業、教育現場などによって様々です。媒体や読者層によって独自の表記ルールを設けている場合もあります。
振替休日だけでなく表記全般に言えることですが、表記に関しては、こうすべきという明確な決まりがあるわけではありません。何が正しいかという観点ではなく、読み手に誤解を与えないもの、文体にあったもの、見やすいものを基準に最適なものを選ぶようにします。また、一つの文書内で複数の表記の混在を避けることも重要です。
振替休日の書き方いろいろ
■ 正式名称を記載
略称表記せず正式名称で書くパターンは、身近な例で言うとカレンダーでよく見られます。他にも公的な文書やビジネス文書などのフォーマルな状況では、略さず正式名称で表記するのが基本です。
<左> <右>
11月3日(日)文化の日 11月3日(日・文化の日)
11月4日(月)振替休日 11月4日(月・振替休日)
※左と右は、カッコの位置や中黒の有無が違うだけです。どちらを選択しても大丈夫です。
■ 略称で記載
振替休日の略は、一般的に「振休」と表記します。法律上は「休日」とされているため、「休日」や「休」と表記としても問題ありません。
振替休日の略称 → 「振休」or「休日」or「休」
1.「祝日」の2文字と振替休日の組み合わせ
①「文化の日 ⇒ 祝日」・「振替休日 ⇒ 振休」に略
11月3日(日)祝日 11月3日(日・祝日)
11月4日(月)振休 11月4日(月・振休)
②「文化の日 ⇒ 祝日」・「振替休日 ⇒ 休日」に略
11月3日(日)祝日 11月3日(日・祝日)
11月4日(月)休日 11月4日(月・休日)
③「文化の日 ⇒ 祝日」・「振替休日 ⇒ 休」に略
11月3日(日)祝日 11月3日(日・祝日)
11月4日(月)休 11月4日(月・休)
③の場合、①や②と比べて上下の文字数が異なるためバランスがよくありません。文字にした場合、正確性が第一ですが、見やすさ・見た目も大切になってきます。
2.「 祝 」の1文字と振替休日の組み合わせ
①「祝日 ⇒ 祝」・「振替休日 ⇒ 振休」に略
11月3日(日)祝 11月3日(日・祝)
11月4日(月)振休 11月4日(月・振休)
②「祝日 ⇒ 祝」・「振替休日 ⇒ 休日」に略
11月3日(日)祝 11月3日(日・祝)
11月4日(月)休日 11月4日(月・休日)
③「祝日 ⇒ 祝」・「休日 ⇒ 休」に略
11月3日(日)祝 11月3日(日・祝)
11月4日(月)休 11月4日(月・休)
①や②はバランスがよくないため「祝」の1字に合わせて、③の「休」にすると見た目がよくなります。③の表記は簡潔でよく見られるものです。
④. ③の表記の曜日を後ろにした形式です。
11月3日(祝)日 △ 11月3日(祝・日)◯
11月4日(休)月 △ 11月4日(休・月)◯
※左側はあまり見かけませんが、右側はよく使用されます。
3. 振替休日を文で補足
略称の「休日」や「休」を使用する場合に、振替休日である旨を文で補足する方法です。適度な補足は読み手にとって親切です。
11月3日(日)祝日
11月4日(月)休日
※月曜日は振替休日となります。
11月3日(日・祝)
11月4日(月・休)
※11月4日は振替休日となります。
4. 振替休日の短縮形
中黒を省いて、さらに短縮させる形式もあります。
11月3日(日・祝)
11月4日(月・休)
↓
11月3日(日祝)
11月4日(月休)
ただし、次の表記は中黒がないと意味が変わるので使用できません。
11月3日(祝・日)
11月4日(休・月)
↓
11月3日(祝日)✕
11月4日(休月)✕
5. 振替休日の間違った表記
振替休日は、祝日ではないため以下の表記はすべて間違いです。
11月3日(日)祝日 11月3日(日・祝日)
11月4日(月)祝日 ✕ 11月4日(月・祝日)✕
11月3日(日)祝 11月3日(日・祝)
11月4日(月)祝 ✕ 11月4日(月・祝)✕
11月3日(日)文化の日
11月4日(月)振替休日
※両日とも祝日となります。 ✕
6. 略称「休」の使用で気を付けたいこと①
次の表記では、「(月・休)」にあえてしないパターンもあります。
11月3日(日・祝)文化の日
11月4日(月・休)振替休日
理由としては、同じ意味の漢字が連続しくどくなるためです。
そこで「休」をあえて省略する形式がとられます。
11月3日(日・祝)文化の日
11月4日(月・休)振替休日
↓
11月3日(日・祝)文化の日
11月4日(月)振替休日
7. 略称「休」の使用で気を付けたいこと②
次のように「休」の1字が使用される場合。
11月3日(日・祝)
11月4日(月・休)
書き手は「振替休日」の略で「休」と書いていても、読み手は違う解釈をすることがあります。
<誤解を招くかもしれない例>
■第5回校正・校閲セミナー
[各日17:30~19:00より開催]
・11月1日(金)
・11月2日(土)
・11月3日(日・祝)
・11月4日(月・休) ←「振休」でなく「休み」?
・11月5日(火)
日付において、「祝」は「祝日」の略だと広く認知されています。ただ、「休」は「振替休日」の略というよりも、「定休日」や「休み」のイメージのほうが強いです。特にサービス業(飲食店、美容院など)では月曜日を定休日とする店舗も多いため、「休み」と思われても不思議ではありません。
誤解されそうな場合は、「振休」の略称を使用するか、振替休日である旨の文を補足するといいでしょう。見た目よりも正確性を優先します。
文字数を少なくしたいために「休」の1字を使用しているのなら、略称にこだわって正確性が損なわれるよりも、「月日」を「/(スラッシュ)」に置き換えて文字数を削る方法もあります。
11月3日(日・祝)
11月4日(月・休)
↓
11/3(日・祝日)
11/4(月・振休)
おわりに
以上、振替休日のいろいろな表記の仕方を紹介しました。
ビジネスシーンや公的な文書では略称でなく正式な表記が推奨されます。一方で、カジュアルな文章や簡潔さを求められる文章、スペースが限られている誌面においては略式表記が好まれます。
表記は読み手や文体、または使用する場面に応じて適切なものを選択するようにしましょう。