文章校正のコツ:定規の効果的な使い方[実例解説]

校正する前に定規で線を引くのがいい理由[効果的な誌面の見方]

校正作業に入る前に、まずやっておきたいことが定規で線を引くことです。単純なことですが必須と言えるぐらい重要なことです。

ゲラに鉛筆で線を引いて、誌面内の要素(画像・文字など)がちゃんと縦のライン・横のラインで揃っているかを確認します。

これは、校正の初心者だから線を引くというわけではありません。ベテラン校正者でも線を引くことは普通にあります。線を引くことに慣れてくると、様々な良い効果をもたらしてくれます。

実際に線を引いたものです。
(※印刷された誌面に線を引いたものなので線は薄いですが、通常の校正ゲラに引けばもっとハッキリ見えます)


【宝島社『InRed』6月号より

1:定規で線を引く効果

線を引くことで得られる効果

1.線を引くことで、誌面内のパーツ同士が揃っているかの正確な確認ができます。

目視では目の錯覚で揃っているように見えても、実際に線を引いて確認すると揃っていないことがあります。特に、レイアウト変更や修正が多いときに、文字やパーツのズレが頻繁に起こります。逆に、ズレているように見えても、線を引くと揃っていることがあります。

2.線を引くのに慣れてくると、線を引かなくても次のようなことに敏感になってきます。

・誌面内でのパーツのバランス(全体のバランス)
・文章の文頭・文末のソロエ
・文字や図表・画像とのアキ

これらに対する意識が、単純に線を引くという行為を通して養われてきます。

はっきりと意識できなくても「何かおかしい……」という違和感を強めることができます。

校正者になるための最初の研修段階で、文章を読むことから教わってしまった校正者が、俯瞰したらわかるようなアキの不揃い・パーツの重なりなどに気づけないのは、このような全体を見る訓練をしてこなかったせいです。

2:変わってくる誌面の見え方

線を引くのに慣れてくると、誌面を見るだけでグリッド線(もしくは補助線)のようなものがイメージできます。

グリッド線とはこのようなものです。

(※実際には、こんなにはっきりと意識できませんが)

イメージとしては、次のような感じです。
マス目も大きく、ぼやけた感じで何となくです。

これは、特別なことでもなく慣れれば誰でもイメージできます。
線を引くか引かないかで、確実に誌面を見たときの見え方は変わってきます。

この感覚は、規定により誌面のフォーマットが決められている媒体の校正経験がある方ならわかると思います。

最初のうちは目が慣れていないので、規定書で何度も何度も、書体や級数、アキなどを確認するはずです。ですが、徐々に規定書を確認しなくても、目視だけで書体や級数、アキがわかってくる感覚です。

例えば、画像とキャプションのアキが規定より1mm違うだけでもおかしく感じたり、級数も1Q違うだけで違和感を覚えたりするようになってきます。

これはあくまで反復による慣れです。
誰でも当たり前に身につくことです。

3:線を引くことによる副産物

校正の初心者にとっては、線を引くメリットが他にもあります。
基本的な文字組、レイアウト的な知識を学べます。

例えば、次のようなことです。

・句読点のぶら下げ処理
文末に線を引くことで、はみ出している句読点に気づくことができます。
そこで、ぶら下げ処理について学ぶことができます。

・和文/欧文の字幅の違い
文頭に出てくるカッコや中黒などの記号は、線を引くと揃って見えない場合があります。ですが、データ上では揃っていることがほとんどです。ここで、和文や欧文の字幅の違いなどを学習することができます。

和文のかぎかっこ

【見た目】
 半角分ズレているように見えます。

 

【データ上】
 上下の文字と文字幅を示す四角の枠が揃っています。

 
※この場合、見た目を重視して左ソロエにすることも可能です。もしくは、データ上では問題ないためママで行く場合もあります。

欧文のかぎかっこ

・和文と違い、文字幅が違うので揃って見えます。

 

※和文と欧文のカッコは文字幅以外は同じように見えますが、フォントによっては全く違う形状になってしまうので混在は注意しておきましょう。

以上のような基本的なことも、線を引くことから学習できます。

4:線を引く効果 具体例

実際の誌面に線を引いたもので見ていきたいと思います。
使用している雑誌は、宝島社『InRed』の誌面です。

例1

索引や目次などのページ

このようなページは、媒体問わず色々なところで見られます。テキスト情報を流し込んでいるため、何らかの不具合で文字がズレてしまうことがよくあります。文字の級数が小さいため、ズレていても気づかないことも多いです。

特に、半角分だけしかズレていない場合は見つけるのに苦労します。
ですが、たった一本、線を引くことで簡単に見つけることができます。


※こういう作りのものは、ピンクのアルファベットの文字もズレやすいので、そこにも縦の線を引いて確認しておいたほうがいいです。

例2

文章/画像など色々な要素が組み合わさったページ

このページでは、縦のライン・横のラインがきっちり揃っています。それにより、見た目に統一感が生まれてきます。特に右側の縦のライン。現状は、揃っているので何もおかしく感じませんが、仮に少しでも揃っていないところがあれば違和感が起こります。そのため、ちゃんと線を引いて確認する必要があります。

気になるところがあれば、とりあえず全部線を引いて確認してみることです。

例3

店舗名や住所、電話番号の情報

店舗情報が掲載しているページは多いです。商業印刷物ならほとんどで記載されています。会社概要のページなどでもそのような情報があります。

テキストを流し込んだときもそうですが、削除や追加の訂正指示によってズレることが非常に多いです。

店舗名や電話番号に修正の赤字が入ると、そこばかりに気を取られてしまい、ズレていることに気づきにくくなります。

・ページ下部の店舗一覧

・ページ左下のSHOP LIST

例4

離れた要素

ページ上部の見出しの左右幅と、左下の商品説明のコピー・右側の英字部分がきれいに縦のラインで揃っています。パーツが離れていると、目の錯覚で揃っているように見えてしまいます。

こういうときこそ、線を引いて確認するのが効果的です。

例5

文字のセンター

中心にも線を引いて確認します。センターソロエのものが部分的にそうなっていないことは多いです。これも、赤字修正後に不揃いになってくるケースが多いです。

下の2つの例では、文字情報が少ないので線を引かなくてもわかるように思えます。ですが、たぶん大丈夫だろうという考えが、校正では一番危険です。線を引かなくても、定規を当てるだけでも確認しておいたほうがいいです。

おわりに

わざわざ線を引かなくても、目視で大丈夫だと思う人も多いかもしれません。

ですが、自分の手で実際に線を引いて確認するだけで、その効果の表れ方は違ってきます。校正をやり始めであればあるほど効果てき面です。

線を引くことは、特に媒体を問いません。文章がメインの媒体でも引いたほうがいいです。

これから校正者を目指す人・レイアウトが多様な媒体をしている人・新人研修をする人などは、校正する際に、ゲラに定規で線を引くことを取り入れてみてはいかがでしょうか。