
Q(級数=ポイント)・H(歯)・ℓ(Line=行)の意味
文章中の校正記号は『JIS Z 8208:2007(印刷校正記号)』を参考にしています。
1.Q(級数)= ポ(ポイント)
▼ Qとは?
「 Q 」は、級数のことをいい、文字の大きさの単位のことです。同じように、文字の大きさの単位を表すものに、ポ(ポイント)があります。
2つとも文字の大きさの単位のことですが、サイズは違ってきます。
・1Qは、0.25mm
・1ポイントは、DTPでは 0.3528 mm(JISでは 0.3514mm)
(※1Qの0.25mmは、1mmの四分の一。四分の一は英語でQuarter。「Q」は「Quarter」の頭文字からきています)
級数とポイントのサイズを比較すると、約1.4倍、ポイントの方が級数より大きくなります。
▼ 級数とポイントの大きさのイメージ
▼ 赤字の入れ方
【例】
▼ 赤字の入れ方 ~実践編~
校正しているものに規定書があるなら、級数の間違いには数値で指示します。
・規定書(フォーマット)があり、級数がわかっているなら
10Q or 7ポ というように正すべき数値で赤字を入れます。
ですが、すべての媒体で規定書が存在していることもありません。
級数がわからない場合、級数表で測るのも一つの手ですが、フォントや太字の影響で文字が大きく見えたりすることがあります。級数表をあまり使い慣れていない人は、測り間違いがあるかもしれないので避けたほうがいいです。
また、実際の現場では、わざわざ級数表で測って正確に指示を入れようなんてことはあまりないです。(※規定書がない場合)
■ 文字の級数がわからない場合の赤字の入れ方
▼ 誌面内の級数がすべて同じ場合
【例】
他にも「上の行と同Qに」など入れ方はいくつかあります。誌面内の級数がすべて同じであるなら、合わせるべき級数は1つしかないので「Q正ス」でも問題ありません。
▼ 誌面内に異なる級数が複数混在している場合
【例】
「上の行と同Qに」「Telの行とQアワセル」などの入れ方でも大丈夫です。異なる級数が混在する場合は、どこと同じにするのかを明確に指示してあげないと、修正する側は迷う可能性があります。
【注意点】
この例の場合なら「Q正ス」でも通じますが、級数が複数混在しているときは、どこと級数をソロエルかの指示をしてあげた方が、修正する側に対して親切です。
2.H(歯)
▼ Hとは?
「 H 」は、歯(は)の簡易表記で、字送り・行送りのことをいいます。
・1H=0.25㎜で、1Qと同じです。
▼ 字送り(→)
字送りは、字間と混同されがちですが、字間とは計測する基準点が違います。
【例】
【例】
字送りベタから、H(歯)の数値を高くしていったもの。一番上が字送りベタ。
▼ 行送り(↓)
行送りは、行間と同じと誤解されがちですが、計測する基準点が違います。
【例】
※ Wordの行間は、DTPでの行送りのことを示しています。混同しないようご注意ください。「Wordの行間 = DTPの字送り」
【例】
行送りベタから、H(歯)の数値を高くしていったもの。一番上が行送りベタ。
ちなみに、級数やポイント、字送り・行送りについては、オペレータやデザイナーが詳しいです。もっと知りたいという方は、校正者よりオペレータやデザイナーに聞いたほうが詳しく教えてくれます。
3.ℓ(Line=行)
「 ℓ 」は、「Line」の頭文字を取ったもので、「行」のことをいいます。
「行」と書くのが手間なので「ℓ」で代用しているだけです。
【例】
「 ℓ 」と同じようなものに、「 w 」があります。
「1wアケル」というような赤字をたまに見かけます。
この「w」は、「 w 」⇒「 word 」⇒「文字」⇒「全角」となります。
「1wアケル」の指示は、「全角アキ」と同じ意味になります。
「 ℓ 」や「 w 」の指示ですが、周りでこの記号を誰も使っていないのであれば、使用するのは避けたほうがいいでしょう。
あまり一般的でないのと、筆記体を習っていない世代もこれからは増えてくると思うので、単に書くのがラクだからという理由での使用はおすすめしません。
・校正記号のまとめ ≫ 使いたい赤字を五十音検索
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