文章を読むコツとやり方

頭のいい人が文章を読めない理由

頭のいい人でも、文章を読むのが苦手という方は意外と多いです。特に、長文になるといまいち内容が頭にしっくり入ってこないという方がいます。


ここで言う頭のいい人とは、「周りがよく見える」「(物理的に)視野が広い」という人を指しています。良い特性ですが、色々な情報が見える反面、余計な情報も入ってくることがあります。

文章を読んでいて、いまいち内容が理解できないのは、その視野の広さがデメリットになっている可能性があります。頭が良すぎるせいで、余計な情報まで無意識に見ているかもしれません。


これまでたくさんの校正者の方々とお仕事をしてきた
経験から、頭がいいのに文章を読めない人の理由と改善策を考えてみました。

1:文章を読むときの視野

文章を読むときの視野のイメージ(※一般的な見え方を想定しています)


1.
次の赤線の文を読んでいるとき

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2.
大抵は前後の行も視野に入っています。特に下の行(読む方向)への意識は強いです。

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3.
視野の広さには個人差があるので、前後だけでなくもっと広い範囲(青い点線)で捉えている方もいるはずです。

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4.
結果、文章を読むのに集中していると、視野が絞られてくるので次のようなイメージになると思います。

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読んでいる行(赤線)の付近ははっきり見えて、離れていくにつれてぼやけて見える(視野の端で捉える)といったイメージです。

自分では一行だけ読んでいるつもりでいても、付近の行も無意識に視野に入っています。

そのせいで、次の行の文字が目に映ってしまい読み間違えてしまうことが起こります。また、数行先の単語がふいに目に飛び込んくることもあります。

本を読んでいるときに、そのような経験をしたことは誰でもあると思います。

一方で、 頭のいい人の視野のイメージは次のように考えられます。

頭のいい人は視野が広いので、通常の見え方とは違い、無意識に文章全体を見ている(見えてしまっている)可能性があります。

極端な例ですが、次のような見え方です。

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このようなことは、注意力が散漫な状態のときにも起こります。また、知らない言語(外国語)を見たときにも同じような見え方になりがちです。

視野を制限する効果

前述の解決方法としては、視野を制限することです。
視野を絞って対象物に集中します。


イメージとしては次のような感じです。

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この視野を制限して目の前の対象に集中させるという効果は、
競走馬のブリンカーでも証明されています。

馬の目の周りに付いている青いものがブリンカーと呼ばれるものです。
視界を部分的に遮ることで集中力を高める効果があります。

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ブリンカーとは?

ブリンカーは「遮眼革」ともいい、視界の一部を直接遮ることにより馬の意識を競走や調教に集中させ、周囲からの影響に惑わされずに走らせるために用いられる。フードの目穴部分に合成ゴムやプラスチック製のカップを取り付けたものが一般的で、カップのつくりやサイズによって遮る視界の広さを変えることができる。

【出典:JRA(画像・本文)

他にも、身近な例として、指を差して確認する方法があります。差した指先に視線を向かわせることで、その対象物への注意を促すという方法です。(※詳しくは、安全衛生キーワード参照)

文章を読むときに、ペン先で文字を追いながら読むのも、指差し確認と同じ効果が期待できます。ペン先が視点を集中させる補助の役割をしています。

視覚ではありませんが、耳から入る情報に敏感な方が、耳栓で音を制限することにより集中力が増す効果はよく知られています。

視野を制限する方法

視野を制限するにはどうするかというと、仕事中にブリンカーなどを付けるわけにはいかないので、視野を物理的に制限することはできません。

なので、入ってくる情報のほうを制限します。


具体的には?

やり方は非常に簡単です。
1.物差しで隠す
2.紙で隠す
などの方法をとります。

校正作業の一つに素読みという原稿も何も見ずに文章だけを読むという作業があります。そのときに、のやり方を実践している校正者はよく見かけます。

誰にでもできて非常にシンプルです。シンプルがゆえにハマれば効果は大きいです。

一応、動画にしてますが、単純に物差しや紙を動かしてるだけです。
イメージできる方は再生せずに飛ばしてください。

左:1.物差しで隠す  右:2.紙で隠す
  

物差しは透明のものがやりやすいです。紙で隠すのは、読んでいる次の行を隠すというよりも、読んでいる数行先を隠すといった感じがいいと思います。

紙を常に動かさなくても、段落単位やある程度の固まりで隠すやり方も読みやすいです。

段落単位で紙で隠す

1.上段

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2.中段

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3.下段

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その他に、次のようなやり方もあります。

線を引いてブロック単位にわける

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段落単位や文の区切りのいい箇所に鉛筆で線を引き、ブロックにわけます。
(※自分はこのパターンです。実際には、鉛筆で薄く線を入れるぐらいです。)

情報の制限ということではありませんが、線を引くことでブロック単位で見る意識づけをして、その部分に集中できるようにします。

ちなみに、学生時代、英語の長文を読むときはいつも線を引いて段落ごとにわけて読んでいました。

おわりに

文章を集中して見る方法は他にも色々とあると思います。

記事内で紹介している方法は、特殊な例でもなく既にやられている方も多いです。やったことがないという方はぜひ一度試してみてください。

ただ、他人のやり方を真似してもうまく行かないこともあります。試してみて違和感があるようなら、そのやり方に固執せずに他の方法を探すほうがいいです。

「自分は文章を読むのが苦手だ……」と決めつけずに、自分にあったやり方を見つける努力も大切です。

それを見つけるのには試行錯誤が必要ですが、自分だけで考えなくても、周りの方のやり方を観察してみたり、どんなやり方をしているのか直接聞いてみたりするのも一つの方法です。

※記事内の「視野」と「視界」は同義としています。
※記事内で使用している例文は、青空文庫:谷崎潤一郎の『細雪』の一文を使用いたしました。