校正の赤字の使い方・入れ方の参考に[校正後のゲラ紹介]

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校正の赤字の使い方入れ方の参考に[校正後のゲラ紹介]

この記事では、現役の校正者が書き込んだ赤字や疑問出しを紹介しています。

赤字の入れ方や疑問の出し方は、書籍などで一例として紹介されていることもありますが、現役の校正者が校正したゲラを丸々見る機会は少ないと思います。

これから校正者になりたいという方は、是非参考にしてみてください。

他にも現役校正者が入れた赤字を紹介した記事があります。

1:校正の問題文(図表の校正)

今回は、図表の校正です。
図表とは、図や表、グラフのことをいいます。

図表はどんな媒体でも見られるものです。図表で情報を伝えるのは、文章で説明するよりも読者が理解しやすいためです。そのため情報も簡潔にまとめられています。

一見すると図表の校正は簡単そうに思えますが、校正の知識がフルに必要になってくる場面もあります。時には、校正的な知識だけでなく制作側の知識も必要になってくることがあります。

【問題】

校正・校閲の練習問題

【厚生労働省:次亜塩素酸ナトリウム液の作り方を一部改変しての出題】

 問題は次の記事から抜粋したものです。

2:校正完了後の校正ゲラ

校正・校閲の勉強は、実際に自分で問題を解いてみるのが一番ですが、他の校正者が入れた赤字や疑問出しを見て理解するだけでも十分勉強になります。

赤字の入れ方や疑問の出し方をそのまま真似したり、自分流にアレンジするのもスキルアップにつながります。

【校正済みゲラ】

・校正の依頼内容によって確認すべき範囲は変わってきます。これが正解というわけではないので参考程度にご覧ください。
・他にも赤字の出し方や疑問の出し方はあります。
・参考までに、校正に掛かった時間は約60分だそうです。

校正・校閲の練習問題

3:図表の校正での注意点

図表の校正では、確認すべきポイントがたくさんあります。文字情報だけでなく体裁の確認も必要になってきます。

1.図表の間違いは、校正デジタル校正ソフトでも見つけにくい

文字情報が表組にされてからでは、校正ソフトを使用しても間違いを発見するのが難しくなります。

場合によっては、校正ソフトが表自体を認識してくれないこともあります。校正ソフトを使用するなら、表にされる前の状態(文字情報のみの状態)で間違いを探すのが効果的です。

ある意味、表は校正ソフトでも手出しできない領域といえます。
人の目が頼りになってきます。

表の個数や表内の文字量が多いものは、大抵はエクセルで作成されると思います。

表には、数値や品番、金額などがまとめられていることが多いです。そうなると、英数字や約物、単位などの半角・全角が混在している間違いが予想されます。

問題では赤枠の部分です。

校正後の校正刷り見本 

和文パーレンと欧文パーレンの混在は、よくある間違いです。このような体裁系の間違いは、表組になる前ならデジタル校正ソフトで簡単に見つけられます。事前にデータ上で間違いを潰しておくと校正者の負担を減らすことができます。

2.表が修正されると体裁が崩れることがある

この記事の問題では、原稿がなく赤字もないので体裁が崩れるということはありませんが、表に赤字が入り修正された場合には、イレギュラーな間違いが発生しやすいです。

赤字で修正された表は、単純に赤字周りだけ確認してOKといかないことも多いです。簡単な赤字一つでも思わぬ箇所に影響を及ぼすということがあります。

表組でよくある間違いは次の記事で紹介しています。

3.罫線の間違い

校正後の校正刷り見本

罫線が抜けていたり実線が点線になっていたりするなどの間違いであれば、そのまま赤字を入れても問題ありません。ただ、罫線の太さの違いには注意が必要です。

表を作成する際、罫線の太さを縦と横などで意図的に変えていることはよくあります。

データ上では違う太さの罫線でも、プリントアウトしたゲラでは、罫線の太さが均一に見えるといったことや一部だけ細く見えたり太く見えたりすることがあります。

これはプリンターが原因です。例外なくどこの現場でも起こります。

校正者としては、罫線の太さが違って見えるものに対しては申し送りすべきですが、太さのバラついているものがたくさんあるようなら、間違いというよりもプリンターが原因ということも考えられます。

その場合は、担当者やオペレーターに相談したほうが賢明です。余計な赤字や疑問を出さなくてすむかもしれません。

おわりに

表やグラフなど図表の校正では、文字を読むことに集中しすぎて体裁の間違いに気づかないことがあります。

また、本文の補足説明として表が掲載されている場合は、本文と表とで内容に相違がないかも確認しないといけません。さらに、表には注釈がつく場合も多いので、それらとの対応も必要になってきます。

一見簡単そうに思える図表の校正ですが、「文字単位で見る視点」と「俯瞰する視点」の両方が必要になってきます。