料理のレシピの校閲[校正・校閲の練習問題]
今回の練習問題は、雑誌や新聞などでよく見られる『料理のレシピ』からです。
1:練習問題 <問題>
▼ 問題
RECIPI
ナッツ入りパウンドケーキ
材料(18cmパウンドケーキ形1本分)
無塩バター・・・・・・・・・・・100g
砂糖・・・・・・・・・・・・・・・・・100g
薄力粉・・・・・・・・・・・・・・・100g
ベーキングパウダー・・・2g
卵・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Mサイズ2個
ミックスナッツ・・・・・・・適量(ひとつかみ分)
バニラエッセンス・・・・・少々
【下準備】
・バターと卵を室温に戻しておく
・パウンドケーキ型にクッキングシートを引いておく
・薄力粉とぺーキングパウダーを合わせてふるいにかけておく
・オーブンを170℃に余熱しておく
【作り方】
1.ボールに卵を割り入れ、よくかき混ぜる。
2.別のボールに無塩バターを入れ、泡立て器で混ぜる。砂糖を数回に分けながら加えていく。加えた都度、しっかりと撹拌する。
3.(1)の卵液を少しずつ(2)に加え、その都度よく撹拌する。
4.荒く刻んだミックスナッツとバニラエッセンスを(3)に加えてさらに混ぜる。
5.ふるった粉を(4)に入れ、ゴムべらでさっくりと混ぜたら型に流し入れる。表面を慣らしたら中央に縦長のくぼみをゴムべらでつける。
6.オーブンに入れ、170℃で40分焼く。真ん中に竹串を指して生地がくっついてこなければ焼き上がり。
7.型から外して荒熱をさまし、クッキングシートをはがす。
2:練習問題 <解答>
▼ 解答
RECIPI
ナッツ入りパウンドケーキ
材料(18cmパウンドケーキ形1本分)
無塩バター・・・・・・・・・・・100g
砂糖・・・・・・・・・・・・・・・・・100g
薄力粉・・・・・・・・・・・・・・・100g
ベーキングパウダー・・・2g
卵・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Mサイズ2個
ミックスナッツ・・・・・・・適量(ひとつかみ分)
バニラエッセンス・・・・・少々
【下準備】
・バターと卵を室温に戻しておく
・パウンドケーキ型にクッキングシートを引いておく
・薄力粉とぺーキングパウダーを合わせてふるいにかけておく
・オーブンを170℃に余熱しておく
【作り方】
1.ボールに卵を割り入れ、よくかき混ぜる。
2.別のボールに無塩バターを入れ、泡立て器で混ぜる。砂糖を数回に分けながら加えていく。加えた都度、しっかりと撹拌する。
3.(1)の卵液を少しずつ(2)に加え、その都度よく撹拌する。
4.荒く刻んだミックスナッツとバニラエッセンスを(3)に加えてさらに混ぜる。
5.ふるった粉を(4)に入れ、ゴムべらでさっくりと混ぜたら型に流し入れる。表面を慣らしたら中央に縦長のくぼみをゴムべらでつける。
6.オーブンに入れ、170℃で40分焼く。真ん中に竹串を指して生地がくっついてこなければ焼き上がり。
7.型から外して荒熱をさまし、クッキングシートをはがす。
【解答一覧】
1. RECIPI → RECIPE
2. ケーキ形 → ケーキ型
3. 引いておく → 敷いておく
4. 余熱 → 予熱
5. ボール(2箇所)→ ボウル
6. 荒く刻んだ → 粗く刻んだ
7. 慣らしたら → 均す/平す
8. 竹串を指して → 竹串を刺して
9. 荒熱 → 粗熱
3:練習問題 <解説>
▼ 解説 ※解説文の一部は「コトバンク」を参照
特定の場面では、ある程度使用される用語がカテゴライズされてきます。料理のレシピでも、よく使用される用語というものがあります。そういったものは、個別に覚えていくよりもまとめて覚えたほうが効率がいいです。
1.RECIPI → RECIPE
スペルミスです。発音に惑わされないように注意しましょう。
2.ケーキ形 → ケーキ型
「形」と「型」の混同は非常に多いです。意味もよく似ているので間違えやすいです。
「形」… 物の姿や格好。形状。かたち。「洋服の―が崩れる」「髪の―をととのえる」。 名詞の下に付いて、その物に似たかたちをしていることを表す。「卵―」「ピラミッド―」。
「型」… ある物のかたちを作り出すためのもの。鋳型、型紙などの類。「石膏(せっこう)で義歯の―を取る」。名詞と形容詞の語幹の下に付いて、ある性質・特徴・形式をもっていることを表す。「最新―」「ハムレット―」。
4.余熱 → 予熱
「余熱」… 冷めきらない熱気
「予熱」… 前もって加熱
5.ボール(2か所)→ ボウル
読みに惑わされないように注意しましょう。
6.荒く刻んだ → 粗く刻んだ
「荒い」と「粗い」の混同も多いので、使い分けを整理しておきましょう。
「荒い」… 動きが大きく激しい。「波が―・い」「呼吸が―・い」。性格や言動にやさしさがなく粗暴である。激しい。「気性の―・い馬」「言葉が―・い」。
「粗い」… すきまが大きい。また、粒が大きくざらざらしている。細かでない。「目の―・い網」「粉のひき方が―・い」。手触りがなめらかでない。すべすべしていない。「きめの―・い肌」。
7.慣らしたら → 均す/平す
「たいらにする」「平均する」の意味の『ならす』の漢字は「均す/平す」になります。ですが、カタログや雑誌で使用するなら、読者のことを考えて漢字でなく『ならす』とひらがなで表記しておいたほうが親切です。
9.荒熱 → 粗熱
「粗熱」… 煮たり焼いたりした直後の、手でさわれない熱さ。素材を加熱調理した直後の熱い鍋やフライパンなどを、濡れ布巾の上に置く、氷水につける、そのまま放置するなどして、次の調理がしやすくなるよう、大ざっぱに素材を冷ます。
4:練習問題 <解説のポイント>
今回の料理レシピの問題は、漢字の使い分けや誤字などがメインでしたが、実際には【材料】や【調理方法】にも注意する必要があります。
その【材料】を使って、記載された【調理方法】で料理がちゃんと完成できるかどうかです。
・足りない材料はないか?
・用意された材料を全部使用しているか?
(余ったり不足していたりする材料はないか?)
・調理方法が抜けていないか?
・記載された調理手順通りで、ちゃんと料理が作られるか?
・完成写真やイラストがあれば、材料と対応しているか?
など。
たとえば、
カレーを作るなら、材料は、ニンジン、玉ねぎ、じゃがいも、お肉などですが、完成写真にじゃがいもが映っているのに、材料にじゃがいもが記載されていないということがあります。
また、材料をカットする手順が抜けていて、いきなりカットされた材料が登場してくることもあります。他にも、煮込む時間が記載されてあれば、その時間が適切かどうか調べる必要があります。
料理レシピの校閲は、実際に料理して確かめるわけにもいきません。頭の中で料理している様をイメージして確認していかなければいけません。こういった想像力も校正者には必要になってきます。