校正者になるには[未経験者へ仕事内容から資格・求人まで解説]

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校正者になるには[未経験者へ仕事内容から資格・求人まで解説

校正という仕事は、自転車に乗るように誰でも慣れれば簡単にできるように思われがちです。

ですが、実際は自動車を運転するように、きちんと学科(知識)を学び、適切な実技(演習)が必要になってきます。見よう見まねでできるものではなく、『習うより慣れよ』というものではありません。

教わらなければわからないことがたくさんあります。

この記事では、校正者になるための必要な情報を集めています。これから校正者を目指そうという方、校正の仕事に興味のある方、実際に校正の仕事を始めたばかりという方のお役に立てれば幸いです。

より詳しい情報を知りたいという方は、各項目の最後の関連記事もあわせてご覧ください。

1. 校正の仕事

校正とは、原稿や赤字の指示通りに正しく制作されているかを、ゲラで確認する作業のことです。

ゲラは、原稿をもとにDTPオペレーターが誌面に仕上げた出力紙です。その校正用のゲラに赤字や疑問出しを入れていきます。

赤入れ
⇒ 赤字は明らかな間違いに対して赤ペンで記入したものです。

疑問出し(鉛筆出し)】
⇒ 明らかな間違いとは言えない違和感を感じたりおかしなものへの指摘です。疑問出しは、校正側では判断できないので赤ペンと違い鉛筆で記入します。

具体例

原稿があり、それをもとにオペレーターが作成した校正ゲラ(校正紙)があるとします。 

校正の未経験者

校正は、原稿とゲラを見比べて相違がないかを確認していきます。原稿とゲラとで文末の「お」と「あ」が違っています。そこで次のようにゲラに「お」に正す赤字を入れます。

校正の未経験者

”「あいうお」が「あいうお」じゃないの? ”

という指摘は、厳密に言えば校閲の仕事になってきます。
校正は、あくまでも原稿との相違を指摘する作業になります。

次のゲラはプロの校正者が赤字や疑問出しを実際に書き入れたゲラです。参考にしてみてください。

プロの校正者の赤字や疑問出しの入れ方

 >赤入れのやり方・赤字の書き方の参考に
 >校正の赤字の使い方・入れ方の参考に

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2. 校閲の仕事

校閲とは、文章の内容が正しいかを見極めることです。

そのため校正とは違い基本原稿を見ることはありません。ゲラだけで作業が完結できる場合もあります。

例えば、次の文を校閲するときのポイントを考えてみたいと思います。

『2020年7月24日(金)に、東京でオリンピックが開催されます』

校閲で見るポイントしては、

  • 開催の年月日が正しいか?
  • 2020年の7月24日は、本当に金曜日か?
  • マラソンは北海道で行われるけど「東京で」と限定していてもいいのか?
  • 「オリンピック」の文字だけ体裁が違っているけど意図的なのか?

などなど、色々な角度から文章の内容や体裁が正しいかを確認していきます。
もちろん文章を読んで誤字脱字・言い回しなどが適切なのかのチェックもしていきます。

校閲は、誤字脱字・表記統一・適切な文章表現・事実確認(ファクトチェック)などに加えて、会社によっては表記ルールなどもあります。

作業項目を掘り下げていけば幾つもあり、非常に時間を要する作業になってきます。

校正は原稿とゲラのセットがないと作業ができませんが、校閲はゲラさえあればどこでもできます。そのため、在宅でやられている方も多くいます。

3. 校正と校閲の違い

校正と校閲は、前述したように定義上は違う作業になりますが、実際の現場レベルでは明確に作業内容が区別されているわけではありません。

校正と校閲作業の線引きは、扱う媒体や会社によって異なってきます。校正の作業範囲を、原稿との引き合わせのみとする現場もあれば、文章を読み込む校閲作業まで含める現場もあります。

どこまでを校正の作業範囲とするかに正解はありませんが、自分なりの基準は持っておく必要があります。もしくは、現場の基準に合わせます。

ちなみに、校正と校閲の作業者は一括りに「校正者」と呼ばれます。「校閲者」とされる方もいますが、作業内容は「校正者」と変わりありません。どちらが上でも下でもありません。

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4. 校正・校閲にはどんな人が向いている?

校正は、誰でも経験を積めば一定の技術水準に達します。そこから真面目に取り込めば、いずれはベテランといわれるレベルに達するのも可能です。

ただ校閲は、その人が今まで培ったすべての要素、知識・読解力、バックボーンなどが試されます。初心者でも既に校閲に関しては一定のレベルに達しているという方もいます。

また校閲作業は覚えることが多く、一人前になるには非常に時間を要します。そのため人によって向き不向きが如実に現れてきます。

校正と校閲両方に言えることですが、伸びる人の共通点として2点あげられます。

 ✔よく質問する
 ✔常にメモを取る

よく質問するのは、それだけ気づく点が多いということの証拠であり、メモを取ることで知識の固定・作業の振り返り・ノウハウの蓄積ができます。

校正も校閲も目の前にある間違いを見つけるということだけではなく、そこから派生するであろう間違いも考えられる人が伸びていく傾向にあります。

校正を実際にやり始めたら、疑問に思うことは些細なことでも何でも聞いて自分のノウハウとして吸収していくことが大切です。

校正・校閲は、一人で黙々と作業するイメージを持たれている方も多いですが、意外とコミュニケーションが必要とされます。

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5. 校正記号の使い方

校正するにあたって、まず覚えるべきものに校正記号があります。

校正記号は、見つけた間違いを修正する相手(オペレーターなど)に、簡潔・明瞭に伝える手段として生まれたものです。

最初のうちは、校正記号表を見て赤字の入れ方を覚えていくしかありませんが、校正記号はあくまでも修正指示を相手に伝える手段にすぎません。

校正記号には使用頻度の少ないものもあります。現在では、形骸化されているものも多いです。そのため、すべての校正記号を実際の仕事で使っている校正者はまずいません。

会社や扱う媒体(書籍・カタログ・雑誌・広告など)によって、校正のルールも変わってくるので現場に応じた使用方法が必要になってきます。

校正記号だけでなく文字で指示する場合も多いです。現場に応じたハウスルールがあるため、それを優先させることが大切になってきます。

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6. 校正・校閲にはどんな仕事がある?

校正・校閲の仕事は書籍のイメージが強いかもしれませんが、様々な場面で校正者は活躍しています。

カタログ、雑誌、パンフレット、DM、参考書、新聞の折込チラシ、テレビのテロップ、映画の字幕、ペットボトルのラベル、お菓子箱のパッケージ、ポスター、名刺、地図など、文字情報があるところに校正の仕事が発生すると言ってもいいぐらいです。

出版・印刷業界の紙媒体は、Webに押されて右肩下がりにあると言われています。紙媒体だけを見ていれば、校正の仕事がなくなるかも……、と不安に思う方もいるかもしれません。ですが、文字情報のあるところには、必ず何らかの形で校正作業が発生します。専任の校正者でなくとも誰かが必ず校正をしています。

現在では、紙媒体の校正が減った以上に、Web校正の需要が増えているといった状況です。Webや動画の校正も一般的になっています。Webや動画を専門とする校正者も今では珍しくもありません。

前述した校正の仕事はほんの一部です。校正の仕事はまだまだあります。校正のスキルを活かせる仕事も多くあります。Webや動画が発展する中で、新たに校正者が活躍できる場面が増えていく可能性は大いにあります。

7. 校正・校閲の生の声を聴くには?

校正現場の生の声を聴きたいという方は、セミナーや研修に参加されることをおすすめします。多くは開催されていませんが、2か月に一度ぐらいの頻度で東京や大阪なら開催されています。

今ではオンライン講座も多くなってきています。少人数での勉強会程度のものでしたら、探せば結構見つかります。

講師の方から現場の話しを聴くことができます。セミナー参加者の中には現役の校正者もいるため、その方々の話を聴く機会もあります。またセミナーでは、実際の校正現場に則した練習問題なども体験できるので役に立つことは多いです。

セミナーは校正未経験者でも歓迎のところがほとんどなので、より校正に対して具体的なイメージが湧くはずです。

ちなみに、ライターや編集者の方が開催されている文章を書くための講座なども結構勉強になることが多いです。校正作業の大切さややり方などを一歩俯瞰して教えてもらうことができます。

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8. 校正・校閲の資格取得:学校/通信講座

校正者になるには独学でも十分可能ですが、まずは学校に通うという方も多いと思います。

校正・校閲の求人は、募集条件として有資格者のみとしている会社もあります。そのため資格を持っていると、校正者になるためのチャンスは多くなるので有利です。

必ずしも資格が実際の現場に役立つとは限りませんが、校正に関する知識を体系立てて学べます。まずは基礎からという方には最適だと思います。

校正の学校・編集の学校「日本エディタースクール」

校正の学校・日本エディタースクール
  > 日本エディタースクール
  ⇒ 通学(全日・夜間)と通信講座
  ■ 取得可能な資格:校正技能(初級・中級・上級)

定期的に説明会が実施されていたり、未経験者向けの校正体験ができる講座もあったりします。リアルタイムで情報を知りたい方は、エディタースクールのTwitterをフォローしておくと便利です。

かなり前ですが、エディタースクールのセミナーに参加した記事があるので興味のある方はご覧ください。

【関連記事】> 校正セミナーで勉強してきました[日本エディタースクール]

文部科学省認定社会通信教育「校正実務講座」


 > 実務教育研究所
 ⇒ 通信講座のみ
 ■取得可能な資格:校正士

大学・短大・専門学校・各種学校

学部のカリキュラムの一つとして校正に関する知識を学べます。中には、校正の資格取得までサポートしている学校もあります。

> 校正者を目指せる学校一覧 (スタディサプリHPより)
 ※ユーキャンの校正講座は終了しています。

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9. 校正・校閲の求人や仕事探し

校正・校閲の求人数は、次の順で多い傾向にあります。

フリーランス 派遣・アルバイト 在宅 契約社員 正社員
の順です。

未経験者には、いきなりフリーランスや在宅ワークは難しいですが、ある程度の経験があればフリーランスや契約社員・在宅ワークへの道は、比較的多く開かれているほうだと思います。

未経験者可能のアルバイトやパートを探して経験を積むのも一つの手です。また、派遣会社へ登録するのも何かと便利です。「マイナビスタッフ」では未経験者でも登録可能です。

派遣会社なら、校正を必要とする企業との取引実績もあります。自分にあった会社を紹介してくる可能性が高いです。派遣会社の担当が間に入ってくるので、色々と相談にも載ってくれます。他にも、校正の登録スタッフの年齢層や男女比、就業状況等、色々な派遣会社独自の情報も教えてくれるので、未経験者にとっては有難い情報です。

可能であれば、長期勤めをオススメします。数週間、根詰めて校正していると目が慣れてきて視野も広がり色々なことに気づけるようになってくるからです。

少し経験を積んで、慣れた頃にアルバイトへ移行するのもいい道だと思います。アルバイトだと、その就業先と直雇用の形になるのでパイプもできやすく、在宅でのお仕事の道も広がる可能性があります。

自分に適しているのであればどのような道を進んでもいいと思います。自分のキャリア形成をはっきりと描いておけば、それに応じたスキルアップを叶えるのは早いです。

校正・校閲の仕事探し

派遣・紹介予定派遣・フリーランス・契約社員・正社員

以下に紹介する会社は、出版・広告・印刷系のクリエイティブ職全般に強いとされる会社になります。校正の仕事も多く見つけることができます。まずは無料登録してみて、ご自身との相性をみてみるのもいいかもしれません。

クリエイティブ職の公開求人数日本最大級(未経験者の登録可能)

マイナビ

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おわりに

校正・校閲は「習うより慣れよ」という職種ではありません。しっかり基礎を身に付けて、それに経験が加わることで一人前の校正者になって行きます。

校正の学校に通うのでも、いきなり校正の現場で経験を積むのでも、自分に適しているのであればどれも正しい選択だといえます。

ただ校正の実務をする際は、ちゃんと基礎から教えてくれる人がいるかどうかで、それからの自分のキャリア形成に大きく影響してきます。

そのため最初の道は慎重に選ぶようにしましょう。


校正スキルを活かせる編集やライター、進行管理などの仕事探しは、次の記事をご覧ください。