「ソフト」と「ツール」の意味と使い分け[適切な使い方は?]
今まで「ソフト」と「ツール」の言葉を何となくの感覚で使用していましたが、いざ誰かに説明するときになり迷うことがあったのでまとめてみました。
結論からいうと、「ソフト」と「ツール」の意味を完全にわけることは難しいですが、ある程度の線引きはできるといった感じです。
▼ コンピューター用語からみた「ソフト」と「ツール」の意味は次のようになります。
コンピューターを動作させるためのプログラムや命令を記述したデータのまとまり / コンピュータの処理の手順を示すプログラムの総称 / 機械を操作する技術。特に、コンピューターにおいてそれが持つ能力を効果的に利用する技術。具体的には、自動プログラムに関するシステムサービスのこと
特定の機能を持った簡素なアプリケーション。作業を効率化するためのアプリケーション開発ソフトなどを指す場合が多い / プログラミングなどに使用する単機能の小プログラム / コンピューターを効率的に利用するためのソフトウェア。ユーティリティーやアプリケーション開発のためのものなど
意味だけ並べてもピンとこないと思います。
なので、これらの意味を踏まえつつ、より実用的な説明をしていきたいと思います。
1. ソフトとツールの基本
前述の「ソフト」と「ツール」の意味から、ソフトはツールの一部となります。
次のような関係です。
そのため、ツールをソフトに置き換えて使うことは可能です。
・「ツール」→「ソフト」に置き換え 〇
一方、ソフトをツールに置き換えることも可能ですが、違和感のある場合があります。
・「ソフト」→「ツール」に置き換え △
よりわかりやすくするために「ソフト」と「ツール」を、
「デジタル校正ソフト」と「デジタル校正ツール」に落とし込んで考えていきたいと思います。
ソフトとツールの関係性は変わらないので次のようになります。
2. ソフトとツールの目的と役割
デジタル校正ソフトもデジタル校正ツールも、用途や目的は同じです。
コンピューター機器、主にパソコンを使用して校正作業の効率化を図るものです。
現段階では、人が行う校正作業をすべて機械に置き換えることができません。そのため、両者とも次の役割を担うものになります。
・校正作業の一部を軽減
・校正作業の大部分を軽減
・校正者の作業をサポートするもの
デジタル校正ソフトとデジタル校正ツールの用途や目的は同じです。その違いは、役割がどこにまで及ぶかになります。広範か限定的かです。
3. ソフトとツールの使い分けの基準
・デジタル校正ソフト → 広範囲
・デジタル校正ツール → 限定的
広範と限定の境界は主観になるので、明確にラインを引くことはできませんが、おおよその線引きは可能です。
たとえば、校正の作業を次の項目のみと想定した場合。
1. 誤字・脱字
2. 表記ゆれ
3. 文体
4. スペル
5. 固有名詞
この場合、作業項目の1~5のすべて、もしくは半数以上に対応しているのが「ソフト」、
項目の1つ、もしくは2~3つのみにしか対応していないのが「ツール」というようになります。
▼ おおよそのイメージは次のようになります。
■ 他のイメージをあげるなら、
OfficeのWordはソフトであり、Wordの機能の一部である文章校正機能はツールといったイメージです。
■ また範囲だけでなく、拡張性の有り無しも一つの基準にすることができます。
拡張性のあるものをソフト、
拡張性のないものをツールと区別します。
たとえば、他の辞書アプリなどを加えることでより利便性が向上するものを「デジタル校正ソフト」、本来の機能のみしか使えないなら「デジタル校正ツール」とみなすことができます。
まとめ
ソフトとツールは、密接な関係にあるので切り離して使いわけることが困難な場面も多いです。
ソフト単体の意味だけを考えてもかなり深いものになってきます。そのため、どこかに基準を設けて線引きをするしかありません。
その境界としては、
・広範か? 限定か?
・拡張性があるか? ないか?
この辺りのを基準を持っておくとおおよその使い分けができてきます。
ただ、唯一明確に使い分けが必要なときは固有名詞の場合です。
デジタル校正の提供元の名称が、「デジタル校正ソフト」ならソフトと呼ぶ必要があります。「ツール」も同様です。
「ツール」には、道具や工具という意味もあります。
この意味で使うなら、コンピューター用語であるソフトとは別の分類になります。
ツールを道具の意味で捉えて考えた場合のソフトとツールの違いは次のようになります。
デジタル校正ソフトは、デジタル校正をするためのソフトウェア
デジタル校正ツールは、デジタル校正をするための道具(ソフトを含む)
意味の捉え方によっては、色々な解釈が可能になってきます。
【ソフトウェアとツールの意味は以下の辞書を参考にしています】
・ASCII.jpデジタル用語辞典
・精選版 日本国語大辞典_小学館
・広辞苑_岩波書店
・新辞林_三省堂