クリスマスの表記は「Xmas」と「X’mas」のどっち?
この記事では、Christmasの略称として使用される「Xmas」と「X’mas」の2つの表記について、どちらが適切か紹介しています。
[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]
・『新明解国語辞典 第八版』(三省堂)
・『プログレッシブ英和中辞典 第五版』(小学館)
・『「クリスマス」の略表記は「Xmas」』(NHK放送文化研究所)
・『コトバンク』(https://kotobank.jp/)
1.「Xmas」と「X’mas」の表記について
結論から言うと、正式にはアポストロフィーなしの「Xmas」が正しい表記となります。
○ Xmas × X’mas
ただし、俗用としてなら「X’mas」の使用も問題ありません。
(※俗用 … 正式ではない世間一般の使い方・用法)
○ Xmas ○ X’mas
ちなみに、Wordの文章校正機能では辞書にない単語として「X’mas」の語に間違いのアラートが出ます。
2. アポストロフィーが不要な理由
省略を表すアポストロフィーがなぜ不要なのかは、英単語が省略されているかどうかがポイントです。
まず「Xmas」と「X’mas」で使用される「X」は、「キリスト」を表すギリシャ語が由来となっています。この「X」は、ギリシャ語で「キリスト」を意味する『ΧΡΙΣΤΟΣ(クリストス)』の頭文字を用いたものです。
「ΧΡΙΣΤΟΣ」→「Χ」
そして「Xmas」と「X’mas」の元の形であるChristmasは、
「Christ(キリスト)」と「mas(祭式)」が組み合わさったものです。
この「Christ」の部分を「X」に置きかえた場合。
Christ + mas
↓
X + mas
↓
Xmas
となります。
このように「Christ」を「X」に置き換えただけで何か英字を省略しているわけではありません。そのため省略のアポストロフィーは不要ということになります。
○ Xmas × X’mas
■同様の例(省略のピリオド)
省略のアポストロフィーと同様の考え方として、省略のピリオドがあります。身近な例でいうと、カレンダーの月の英語表記を先頭の3文字で省略することがあります。
たとえば、Decemberなら、Dec. のように省略されます。他の月も同様に次のようになります。
November → Nov.
October → Oct.
September → Sep.
ただし5月を表す「May」は、もともと3文字で何も省略されていないのでピリオドは不要です。「May.」とはなりません。他の月につられて「May.」とピリオドを入れてしまいがちですが、Mayは省略形ではないので省略を表すピリオドはいりません。
○ May × May.
おわりに
以上のようにChristmas の略称は、正式には アポストロフィーのない「Xmas」と表記します。ただし慣用としては、「X’mas」 の表記でも問題ありません。
新明解国語辞典(第八版)では、クリスマス[Christmas]について以下のように記載されています。
キリストの降誕を祝う祭日(=十二月二十五日) 。聖誕祭。表記:「Xmas」のXは、 Christのギリシャ語形の頭文字カイ。「X'mas」「Xマス」とも書く。