文字サイズと送りの測り方[級数表と歯送り表の使い方解説]

文字サイズと送りの測り方[級数表と歯送り表の使い方解説]

級数表は文字スケールとも呼ばれ、文字の大きさを測るものです。便宜上、級数表といっていますが、級数だけでなくポイントや号数も測ることができます。

歯送り表は、字送りや行送りを測るものです。文字と文字、行と行とに特定の基準点を設けてアキの量を測ります。字送りや行送りは、字間や行間と混同されがちですが計測する基準点が違います。

この級数表や歯送り表の使い方を実例を交えて紹介していきます。

・1級(Q):0.25mm  ・1ポイント:0.3514mm(JIS)
・1歯(H):0.25mm

 字間や行間、字送りや行送りを知りたい方は以下の記事を参照ください。

級数表(文字スケール)・歯送り表とは?

級数表・歯送り表とは次のようなもです。

級数表と印刷文字スケール

級数表と印刷文字スケール 級数表と印刷文字スケール 

こちらは、GE企画センターの「写植割付スケール」です。
級数表が2枚、歯送り表が1枚の3枚セットです。

昔は何十種類とありましたが、現在では購入できる級数表の種類は限られています。

級数表について

・GE企画センター:写植割付スケール(3枚組)> Amazonで詳しく見る
・日本エディタースクール > 印刷文字スケール
・鴎来堂 > 級数表

級数表の拡大

文字サイズの測り方

左側に「号数」「ポイント」「級数」が表示されています。
※号数は、5号(=10.5ポイント)を基準としています。

黒の正方形の四角が、正体の文字サイズを測るのに使われます。ベタ組の状態で配置されています。オレンジの四角は、変形サイズを測るのに使用します。

級数を使用するかポイントを使用するかは、制作環境によります。
校正の勉強中という方なら、級数で測る練習をしておけば大丈夫です。
1級(Q)=0.25㎜とキリがいいので計算がしやすいです。

歯送り表の拡大

文字サイズの測り方

歯送り表1つで「字送り」と「行送り」を測ることができます。
縦組み、横組みによって、歯送り表の向きを変えて使用します。

字間と行間について

歯送り表の左右についている歯数目盛りで、送りや字間、行間を測ることもできます。※歯数の目盛りは、一目盛り1.25mmです。

また、級数と送りから字間や行間を導きだすこともできます。
・字間=字送り-文字サイズ

・行間=行送り-文字サイズ

級数表と歯送り表の比較

級数表と歯送り表の比較

・級数表と歯送り表の拡大です(横組みでの例です)。


(※歯送り表は横向きにした状態です)

・級数表と歯送り表では、測る大きさが異なります。級数表のほうが若干小さくなります。

  

級数表は、文字の実ボディ(字面)を測るために作られています。
一方、歯送り表は、文字の周りのアキまで含めたサイズ(仮想ボディ)まで測るものです。

そのため、両者の大きさが少し異なります。

歯送り(横組み・字送りの例)

・以下は字送りを広げていった状態を表しています。

一番上は、文字サイズと字送りが同じです(級数=字送り)。
この状態を「字送りベタ」といいます。「ベタ送り」とも呼ばれます。

例えば、文字サイズが12Qで字送りが12Hなら、字送りベタとなります。

行送りも同じ考え方です。

文字サイズが12Qで行送り12Hなら、行送りベタとなります。ただ、行送りベタの状態では可読性を損なう(文章が読みづらくなる)ので一般的な書籍には見られません。

級数表の使い方

測り方

1.級数表の四角の枠を測りたい文字にあてます。四角の枠に文字がピッタリおさまればOKです。その四角の級数が文字の級数となります。

文字と四角の枠にゆとりがあったり、枠から文字がはみ出している場合は違う級数となります。

【例】

3つあるうちの左側の字は、文字と四角の枠の間に少しゆとりがあります。Q数が小さいということになります。中央は、四角の枠に文字がピッタリ収まっています。これが正しい状態です。右側は、文字が四角の枠からハミ出しています。Q数が大きいということになります。

2.測りやすそうな文字を見つける。

文字の字形が正方形に近いものが測りやすいものになります。漢字の「正」やひらがなの「た」などです。

また、文字の横幅よりも、縦幅ではかるほうがわかりやすいときが多いです。特に、見慣れないフォントの場合は、正方形に近い文字の縦幅を基準にして測るとわかりやすいです。

基本は、一文字単位で測るのではなく数文字から数十文字単位で測ります。
これは、測り間違いを防ぐためです。

文字サイズの測り方

文字サイズの測り方1

以下は、実際に級数表を使って測った例です。

文字の大きさ見本で使い方を見ていきたいと思います。
・12級と18級(赤枠の2か所)を測ってみます。


【出典:日本エディタースクール出版部_実例 校正教室】

・級数表の12級の四角の枠を、測りたい文字にあてます。

文字サイズの測り方

・12級の場合

・18級の場合

級数表の四角の枠に、各文字がピッタリと当てはまっています。
文字と四角の枠にゆとりもなくハミ出してもいません。これがが正しく測れている状態です。

また、四角の枠の配置通りにすべての文字が収まっています。
この状態が字送りベタです。

よく勘違いされる例

文字サイズの測り方
各文字が四角の枠に収まっていても、文字周りにゆとりがある場合は正しく測れていません。
→ これは、級数が小さくて、字送りが広い状態です。

文字サイズの測り方
四角の枠通りの配置になっていますが、四角の枠から文字がはみ出しています(「数」や「測」など)。この場合も正しく級数が測れていません。
→ これは、級数が大きくて、詰め打ちの状態です。

級数表で注視すべきは、四角の枠に文字が適切に収まっているかどうかです。

一方、フォントによって見え方が大きく変わってくることがあります。

・「UD デジタル 教科書体 NK-R」の20Qベタ組みです。文字サイズの測り方

・「HGP行書体」の20Qベタ組みです。文字サイズの測り方

どちらも詰め打ちの状態に見えます。「HGP行書体」にいたっては級数が小さく見えます。
このように、フォントによって特徴が大きく異なります。

書体見本帳などあれば見てみるとわかりやすいです。

ただ、どのフォントも見ても文字の縦幅を見た場合に、測りやすい文字があります。この場合は「表」の字などです。それらに当たりをつけて級数を測ることもできます。

文字サイズの測り方2

実際の誌面の級数を測りたいと思います。


【出典:InRed 12月号(宝島社)】

測る箇所はどこでもいいですが、パッと見て数字や句読点が多い箇所は測りにくいので避けます。前述した通り測りやすそうな文字、字形が四角に近い文字がある箇所を選びます。

次の赤枠の2か所を測ってみたいと思います。

1つ目

組み合わせた」や「可愛」などの文字を見るとわかりやすいです。四角の枠に文字がピッタリとはまっています。ここから、文字サイズが12Qだとわかります。


すべての文字が四角の枠の通りに収まっているので、字送りもベタだとわかります。

2つ目

雰囲気」や「素敵」などがわかりやすいです。
この行からも文字サイズが12Qで字送りもベタだとわかります。

2つの行を測った結果、この文章は「12Q字送り12H」だとわかります。

前後の11Qや13Qでも測ってみて、測り間違えがないか確かめておくとより確実です。

行送りの測り方(縦組み)

縦組みの行送りの測り方

続いては、行送りの測り方を紹介したいと思います。
行送りを測るのは簡単です。

・青枠部分を測ります。

・歯送り表を使います。向きを変えて測ります。

文字サイズの測り方

・歯送り表を横向きにして、誌面に当てた状態です。

行送りの測り方

・文章の各行の縦のラインと、歯送り表のの目盛りが一致しています。
ここから、行送りが22Hだとわかります。

行送りの測り方 

部分的に測ったあとは、念のために他の行も目視でさらっと確認しておきます。

行送りの測り方(横組み)

横組みの行送りの測り方

・次のキャプションの行送りを測ります。

・歯送り表を重ねた状態です。

・各行の横のラインと、歯送り表のの目盛りが一致します。
これにより行送りが13Hだとわかります。

字送りの測り方(横組み)

字送りの測り方は、行送りと同様です。測り方自体は簡単ですが注意しておきたい点があります。

行送りの場合は、基本的に一つの文章内で変わることはありません。一定のアキ量です。

一方、字送りは文章内で変わることがあります。これは、泣き別れや禁則処理によって、文字が詰められたり広がったりするからです。

その場合は、測りやすい部分(文字が均等に配置されている部分)を探して測ります。

次の文章の字送りを測る場合

【出典:wikipedia_乃木坂

 の行は文字が詰まっています。逆に、は文字の間隔が広がっています。特に、 はかぎかっこや句読点が多いです。こういう行は測りづらいので避けます。

のあたりが測りやすい箇所になります。

・歯送り表をあてたイメージです。

  は、歯送りの目盛りと文字が所々ズレていますが、はピッタリ合っています。の前後の行を見ても、歯送りの目盛りに合っていることがわかります。

字送りを測るときは、測りやすそうな箇所を探して確認します。測り間違いがないように、他にも数箇所測って確認しておくと安心です。

おわりに

今では級数表を使う機会が少なくなった方も多いと思います。これから級数表を使う機会が増えるということも考えにくいです。

ただ、校正者を目指すなら初めのうちは級数表を使っておいたほうがいいです。これは、使い方に慣れておくということではなく、級数表を通して文字を見ることで、一文字に対する意識が変わってくるからです。

また、使い慣れてくると、頻繁に見る文字なら目視で級数がわかるようになってきます。
少しの差異にも敏感になることで、誤りを見つける目を養うことにもなります。