校正のやり方を基礎から学ぶ。文章を読む前にまず知っておくべきこと

文章を読む前にまず知っておくべきこと

校正者として、用語の使い分けや文章表現、間違えやすい漢字などを覚えることは大切です。

ですが、校正者として知っておくべき基礎が疎かだとせっかくのそのスキルも台無しです。

ここでは、文字の意味や使い分けの間違いでなく、文字の組まれ方・見栄えなどに注意して校正の基礎の基礎を学んでいきたいと思います。

1:泣き別れ(なきわかれ)

「泣き別れ」とは、改行により一つの単語が二行にまたがって別れてしまうことです。


泣き別れにならないようにするもの
--------------
・人名
・企業名
・製品名
・数字
--------------
などがあげられます。

これらの語は、文字が別れてしまうと
・縁起が悪い
・意味が理解しづらい
・読みづらい
などの理由で、二行に別れないようにすることが多いです。

絶対に一行に収めなくてはいけないというルールはありませんが、校正者としては泣き別れを見つけることは基本的なことかもしれません。

【例文】

この文章の「泣き別れ」の箇所を見ていきたいと思います。

校正の泣き別れ

【答え】

人名が1つ、作品名が2つ泣き別れになっています。

校正の泣き別れ

 
【補足】

青字の「東京帝国大学文科大学国文科」について。

校正の泣き別れ

ここも「東京帝国大学文」と「科大学国文科」に別れていて区切りが悪く読みづらいです。
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東京帝国大学文
科大学国文科

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東京帝国大学文科大学」で区切ると読みやすくなります。
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東京帝国大学文科大学
国文科

--------------------------

そうすると「科大学」の三文字が上の行に送られるので、後ろの3つの泣き別もキレイに収まります。

国文科」までを一行にしたいところですが、この三文字まで上の行に送ると、一行目がかなり詰まって見えるのでおすすめしません。

理想的な赤字の入れ方としては、名前と作品名の3つの泣き別れをなくすため、「科大学」の三文字で調整するよう字送りの指示も一緒に入れてあげることです。

ですが、実際はそこまで踏み込んで指示する校正者も少なくなってきています。


【修正結果】

区切りもよく、読みやすくなります。

校正の泣き別れ

2:均等配置(=ジャスティファイ)

次の例文のように、段落の最後の行が均等配置になっている場合がよく見られます。

これは、文字修正などがあった場合、最後の行に均等配置の設定が残ったままになり起こるケースが多いです。
※均等配置は、「行頭行末揃え」や「左右均等割り付け」とも言われます。


【例文】

校正の泣き別れ


【修正結果】

校正の泣き別れ

3:文字間隔

例文2行目の文字間が広く、文字がスカスカのように見えます。

見栄えが悪いように見えますが、これは主観に左右されることが大きいので、直すか直さないかの判断は校正者には難しいところです。


【例文】

校正の泣き別れ


【ここで注意すること】

仮に、文字間を調整することになった場合、文字間だけに目が行っていると痛い目にあいます。

二行目の文字間を調整するとなると、下に泣き別れになりそうな語が複数あるため、そこも注意しなければいけません。


校正の泣き別れ


「文字間が空いている!」
「直そう!」
という単純な思考では無く、

『文字間が空いている理由は何かあるんじゃないか……』
と、まず先に考えることです。

その行の前後で何かを調整した結果、やむを得なく文字間が空いている可能性もあるので、周りの文字にも注意が必要です。

文字間を調整した結果、泣き別れが発生してしまうということはよくあります……。

4:見栄え

ここでの例は間違いではありませんが、見た目が悪く嫌う人がいるので原稿で赤字が入ってくる可能性があります。

この文では、すぐ上の行に余裕があるので「た。」を上の行に送っても問題ありません。


【例文】

校正の泣き別れ

仮にこの文の後にも文章が続くなら、「た。」を上の行に送ることによって、それ以降の文も全体に一行分上へあがります。

一つの修正が全体に影響してくる可能性があるなら、ママにしておくということもあります。

5:々(繰り返し符号 or 踊り字 )

繰り返し符号 (もしくは踊り字)とは、同一文字を繰り返すときに使用される記号のことを言います。
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・人々
・様々
・次々
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などの「々」のことです。

この繰り返し符号(踊り字)が含まれる語が改行されて、「々」が文頭にきたときは、直前の文字に置き換えます。


次のようになります。

文庫判も含め様々な版が刊行。
   
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文庫判も含め
な版が刊行。
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ただ、『潤一郎新々訳源氏物語』ような固有名詞が別れてしまう場合は置き換えません。

潤一郎新々訳源氏物語
   
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潤一郎
 々訳源氏物語
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※そもそも、固有名詞は泣き別れないようにすべきですが。

6:ハイフネーション機能

ハイフネーションは、1つの英単語が行内に収まらず、行末で2行に別れてしまう場合に使います。

その場合は、ハイフンでつないで次の行に送るようにします。このハイフネーションを設定しないと、文字間が、極端に空いたり詰まったりしてしまうことがあります。

英語の場合や多言語校正の場合は注意です。


ハイフネーションの設定なし

校正の泣き別れ


ハイフネーションの設定あり

校正の泣き別れ


これがハイフネーションです。収まりきらない単語をハイフンで繋ぎ、1つの語であるということを示しています。ここでは、「privacy」が「pr-ivacy」となっています。

ただし、この場合はハイフンを付けてはいけません。
よく起こる間違いです。

単語の前後をよく見れば、この単語はホームページアドレスの一部だとわかります。ホームページアドレスやメールアドレスは、一文字でも違ったら機能しません。

そのため、この場合はハイフンは取らなければいけません。
※ハイフネーションは、自動/手動があるので手動で削除できます。

おわりに

これから校正者を目指そうという方、まだ校正の実務をされていない方にとっては、校正作業は用字用語の使い分けや文章表現にのみ注力しているように思われがちです。ですが、実際には、こういう文字の体裁もすべて確認しているわけです。

【例文の出典:Wikipedia:谷崎潤一郎