校正

文章を読む前にまず知っておくべきこと

校正者として、用語の使い分けや文章表現、間違えやすい漢字などを覚えることは非常に大切です。

ですが、校正者として知っておくべき基礎が疎かだと、せっかくのそのスキルも台無しです。

ここでは、文字の意味や使い分けの間違いでなく、文字の組まれ方・見栄えなどに注意して基礎の基礎を学んでいきたいと思います。


1:泣き別れ(なきわかれ)

「泣き別れ」とは、改行により一つの単語が二行にまたがって別れてしまうことです。

泣き別れにならないようにするもの
-----------------------------
・人名
・企業名
・製品名
・数字   など
-----------------------------

上記に示す語は、文字が別れてしまうと
・縁起が悪い
・意味が理解しづらい
・読みづらい
などの理由で、二行に別れないようにするのが一般的です。

絶対に一行に収めなくてはいけないというルールはありませんが、校正者としては泣き別れを見つけることは当然のことかもしれません。

【例文で使用している文章はWikipedia:谷崎潤一郎より抜粋】

【例文】
この文章の「泣き別れ」の箇所を見ていきたいと思います。

【答え】
人名が、1つ。作品名が、2つあります。

 【補足】
青字の「東京帝国大学文科大学国文科」について。

(1)ここも「東京帝国大学文」と「科大学国文科」に別れていて区切りが悪く読みづらいです。
--------------------------
東京帝国大学文
科大学国文科

--------------------------

(2)ここは「東京帝国大学文科大学」で区切ると読みやすくなります。
--------------------------
東京帝国大学文科大学
国文科

--------------------------

そうすると「科大学」の三文字が上の行に送られるので、後ろの3つの泣き別もキレイに収まります。

国文科」までを一行にしたいところですが、この三文字まで上の行に送ると、一行目がかなり詰まって見えるのでおススメしません。

理想的な赤字の入れ方としては、名前と作品名の3つの泣き別れをなくすため、「科大学」の三文字で調整するよう字送りの指示も一緒に入れてあげることです。

ですが、実際はそこまで踏み込んで指示する校正者も少なくなってきています。

 【修正結果】
区切りもよく、読みやすくなります。

2:均等配置(=ジャスティファイ)

例文のように、段落の最後の行が、均等配置になっている場合がよく見られます。

これは、文字修正などがあった場合、最後の行に均等配置の設定が残ったままになり起こるケースが多いです。
※均等配置は、行頭行末揃え、左右均等割り付けともいわれます。


【例文】


【修正結果】

3:文字間

例文2行目の文字間が広く、文字がスカスカのように見えます。

見栄えが悪いように見えますが、これは主観に左右されることが大きいので、直すか直さないかの判断は校正者には難しいところです。


【例文】


【ここで注意すること】

仮に、文字間を調整することになった場合、文字間だけに目が行っていると痛い目にあいます。

二行目の文字間を調整するとなると、下に泣き別れになりそうな語が複数あるため、そこも注意しなければいけません。


「文字間が空いている!」
「直そう!」
という単純な思考では無く、

『文字間が空いている理由は何かあるんじゃないか…?』
と、まず先に考えることです。

その行の前後で何かを調整した結果、やむを得なく文字間が空いている可能性もあるので、周りの文字にも注意しましょう。

文字間を調整した結果、泣き別れが発生してしまうということはよくあります…。

4:見栄え

ここでの例は間違いではありませんが、見た目が悪く嫌う人がいますので原稿で赤字が入ってくる可能性があります。

この文では、すぐ上の行に余裕があるので「た。」を上の行に送っても問題ありません。
ただし、「この例では」です。


【例文】

仮にこの文章の後にも文が続くなら、「た。」を上の行に送ることによって、それ以降の文も全体に一行分上がります。

一つの修正が、全体に影響してくる可能性があるなら、ママにしておいた方が無難です。

5:々(繰り返し記号)

・人々
・様々
・次々 など

繰り返し記号が含まれる語が、改行され「々」が文頭にきたときは、前の字に置き換えます。

【例文1】
----------------------------
文庫判も含め
な版が刊行。
----------------------------


ただし、『潤一郎新々訳源氏物語』ような固有名詞が別れてしまう場合は置き換えません。

【例文2】
----------------------------
潤一郎
訳源氏物語
----------------------------
そもそも、固有名詞は泣き別れないようにすべきですが。

6:ハイフネーション機能

ハイフネーションは、1つの英単語が行内に収まらず、行末で2行に別れてしまう場合に使います。

その場合は、ハイフンでつないで次の行に送るようにします。このハイフネーションを設定しないと、文字間が、極端に空いたり詰まったりしてしまうことがあります。

英語の場合や多言語校正の場合は注意です。


ハイフネーションの設定なし




ハイフネーションの設定あり


これが、ハイフネーションです。収まりきらない単語をハイフンで繋ぎ、1つの語であるということを示しています。

ただ、この場合は、ハイフンを付けてはいけません。
よく見る間違いです。

単語の前後をよく見たら、この単語はホームページアドレスの一部の単語だと分かります。ホームページアドレスやメールアドレスは、一文字でも違ったら機能しません。

そのため、この場合はハイフンは取らなければいけません。
※ハイフネーションは、自動/手動がありますので手動で削除できます。

おわりに

これから校正者を目指す方や校正の実務をされていない方は、校正者は文字の使い分けや文章表現に特化しているように思われますが、実はこういう文字の体裁も全て見ているわけです。

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