校正の業務マニュアル(ルール作り)の効果と作成基準[具体例をあげて説明]

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校正の業務マニュアルの効果と作成基準

ここで紹介する校正の業務マニュアルは、「業務マニュアル」と「作業標準書」の中間に位置するもので、それらの簡易版と考えてください。

業務マニュアルとは?
・一定品質の業務を達成することを目的として、処理手順や判断基準、ルールなどを解説するもの。

作業標準書(作業手順書)とは?
業務を構成する個々の作業について、一連の動作や手順について解説するものである。

【出典:ナビゲート ビジネス基本用語集より抜粋】

 業務マニュアルを作成した校正物の内容は次のようなものです。

・校正内容
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 ページ数:約100ページ
 作業内容:原稿と校正ゲラとの照合のみ(素読みはなし)
 校正回数:2回
 校正期間:1回目の校正(2日)・2回目の校正(1日)
 不定期物件:年に2~3回
 予  算:厳しめ
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・DTP側の作業
 クライアントから支給されたテキスト原稿をフォーマット通りに流し込んでいくといったものです。
・校正の予算が厳しいので作業内容はかなり絞っています。

 作成した業務マニュアル

原稿やゲラはお見せできないため、マニュアルだけ見ても不明な点が多いかもしれません。大体のイメージだけでも掴んでみてください(※■■は固有名詞なので伏字にしています)。

〈1回目〉
※1回しか校正しない時もあるので担当に要確認

1. 基本テキスト原稿の流し込みなので、文頭文末・文字バケ・上ツキ・下ツキ・太字・斜体などに注意しながら原稿と照合する。ゲラはブルーマーカーでチェックを入れる。

※例外的に、流し込みではないページもあり。たとえば、■■■■■■■■の■■■■■の表などは、流し込みではなくスキャン変換しているよう。文字が間違っている時が多いので注意。

2. 原稿とレイアウトが違っていても、ゲラの中で揃っていて、おかしくなっていなければ基本的にはOK。

※■■■■■■など、見本が添付されている時はそれに従う。

3. 素読みは不要だが、明らかな誤字・脱字に気づいたら指摘してOK。

※この物件は疑問出しがあまり採用されないので、入朱した上で“(原稿ママですが入朱しました)”と鉛筆で補足すると採用されやすい。

4. 素読みは不要だが、次の2点は確認する。
・日付と曜日が対応しているかのカレンダーチェック。
・図表番号(図1・表1など)が文章内にあるか。ただし内容は見なくてOK。
※注番号の対応は特に見なくてよい。

5. 最後の方の■■■■などのページは(改訂などで変更があった時以外は)毎回同じなので、ごく簡単なパタパタでOK。

6. 照合がすべて終わったら、柱と目次の確認をする。(グリーンマーカーでチェック)
・ページ上部にある柱が合っているか。(■■■■が合っているかなど。目視でOK)
・目次の誘導ノンブルや各タイトルが合っているか。目次は表紙だけでなく、中面にもあり。表紙は誘導ノンブルが入っていなくても確認する。中面は誘導ノンブルが入っている目次のみでOK。

〈2回目〉

1. 1回目に校正したページは、赤字が直っているか確認しパタパタをする。ページの増減などによりノンブルが変更され、左右ページが入れ替わった時は、体裁のズレなどに注意。

2. 初めて校正する新規ページは〈1回目〉と同様のやり方で校正する。

3. 最後に柱と目次を通しで確認。

以上になります。

小規模な不定期物件だと、このぐらいがちょうどいい量かと思います。項目が多すぎても大変ですし、少なすぎても頭で覚えれば大丈夫だと思われてしまい形骸化される恐れがあります。

このような業務マニュアルは大なり小なりどこの現場でもあると思います。一つの校正媒体に特化しているならより詳しいものが必要になってきます。作業時のチェックリストなども作成しておくと便利です。

1. 業務マニュアルを作る効果

校正の業務マニュアルを作る効果としては、次のようなものがあげられます。

1. 伝達モレをなくす
2. 作業項目の再確認ができる(作業モレをなくす)
3. 作業基準を明確にする

これらにより、一定の品質を保つことが期待できます。

12は当然のことですが、校正の業務マニュアルでは、3の効果が一番大きいです。

校正は人の目で作業することがまだまだ多いので、個人の属性に左右されやすい仕事です。

たとえば、
作業項目がA~Dまであるとして、校正者に「AとBをしてください」と説明したとしても、AとB以外にCやDも校正するタイプの方もいます。

これは、作業内容を聞いていないというより良かれと思ってやってしまうことが多いです。経験が豊富でスキルの高い校正者は、色々と気づきが多いのでこの状況に陥ることがあります。

良かれと思ってやったことが仇となるパターンは多いです。時間や予算が限られていると、かなりのロスになります。そのため業務マニュアルを作成しておくと、こういったロスも防げます。

また校正を外注する場合などにも、業務マニュアルを添付して送れば、口頭での説明時間が省けるので役立ちます。他にも、繁忙期に来てもらう派遣スタッフなどへの説明が簡略化できます。特に短期の方には有効です。

2. 業務マニュアル作成基準

業務マニュアルの作成基準は、基本的には誰がやってもその業務ができるようになることです。ですが、校正においてはそんな理想的なマニュアルの作成は難しいです。

理想的なものを作っても形骸化されていくか、かえって業務量が増えて校正者の負担となるだけです。

作成する側は項目を盛り込もうと思えばいくらでも容易にできます。そのため実際に運用する側の立場になった場合に、それが予算や時間と見合っているのかどうかをまず念頭に置いて作成しなければいけません。

基準としては、

  • 複数人の校正者が関与する物件(大型物件)
  • 定期物件
  • 外部発注している物件
  • イレギュラーな作業項目がある物件
  • 作業内容をいつも誰かに説明している/誰かに説明されている物件

などを優先順位で作るといいと思います。

携わる校正の本数にもよりますが、業務マニュアルをすべての物件で作る必要もなく、一つ作れば応用できることも多いです。

何度か業務マニュアルを作っていると、他の物件にも応用できることがあります。最初は大変ですが、軌道にのればそれほど労力はいりません。

ただ校正側だけで業務マニュアルを作るのではなく、校正依頼者と内容を共有しておくことも大切です。もしかしたら、重要な項目が抜けていたり、やらないくていい項目が入っていたりすることもあります。

3. 業務マニュアルの作成で大切なこと

業務マニュアルを作るのも効果的ですが、校正済みゲラのコピーを取っておくと後から振り返りができます。赤字や疑問出しを直接見られるので、業務マニュアルと照らし合わせてみると理解度が深まります。

校正という仕事は、正解があってないようなものです。クライアントの担当者が変わると、校正のやり方も変わるということも珍しくありません。また、ほとんどの媒体が読者を飽きさせないように、定期的に誌面をリニューアルするので、規定を一から覚え直さないといけないこともあります。

そういう中で、実際の運用に則した業務マニュアルの作成が大切になってきます。

業務マニュアルは、ある程度ゆとりをもったものにしておかないと、作り替える頻度が高くなるだけで、業務マニュアルの作成がかえって効率を悪くすることになりかねません。