
着実に校正ミスを無くしていく、同音異義語の使い分け
同音異義語とは、発音が同じだが、意味の異なる語のことをいいます。
同音異義語は、意味が似たようなもの・見慣れているものも多いため、何の違和感も覚えず読み流してしまいがちです。そのため、変換ミスも起こりやすいです。
校正者は、同音異義語は間違いやすいものだと十分認識しているので、ある程度の単語は覚えている人も多いと思います。文章中に出てきても、常に注意を払っているので、見落す確率は少ないように思えます。
ですが、校正者以外では、同音異義語の使いわけができずに、赤字を入れてしまうことはよくあります。
オペレータの変換ミスによる間違いも多くみられます。
変換ミス多発の同音異義語
「でも、結局、校正側で見つけるのであれば問題ないんじゃないの?」
と思う人も多いかもしれません。
校正が赤字を入れて、オペレータが修正し、もう一度校正に出すという工程は、時間だけでなく人件費等の見えないコストも発生しています。
文章を作る人・赤字入れる人が、少しでも同音異義語を覚えていれば、その後の校正も含めて、2段階でチェックすることができます。
そのためには、校正側が率先して、
・間違えやすい同音異義語をピックアップして、
・分かりやすくまとめ、
・周りと共有していく必要があります。
間違っても、使う可能性の低い同音異義語を覚えるのはやめましょう。
まずやることは、自分の周りで起こった同音異義語の間違いをまとめていくことです。
次に、自分の周りで間違いが起こりそうな同音異義語をまとめていきます。
※市販の同音異義語を集めた辞書から、よく使うものだけをピックアップして、マニュアル化していくのも効果的です。
変換ミスのよくある同音異義語の例
以下の例は、どれも見慣れていて、普段よく使うものです。
よく使うからこそ注意が必要です。
これらを、実際に間違って使われていた文章の事例も添えてまとめていくことにしましょう。
無給 ⇔ 無休
定年 ⇔ 停年
消化 ⇔ 消火
人口 ⇔ 人工
非難 ⇔ 避難
異状 ⇔ 異常
依託 ⇔ 委託
移動 ⇔ 異動
意外 ⇔ 以外
意義 ⇔ 異義
以前 ⇔ 依然
改訂 ⇔ 改定
回答 ⇔ 解答
解放 ⇔ 開放
修正 ⇔ 修整
趣旨 ⇔ 主旨
紹介 ⇔ 照会
所要 ⇔ 所用
進路 ⇔ 針路
製作 ⇔ 制作
対象 ⇔ 対照
直観 ⇔ 直感
転嫁 ⇔ 転化
特徴 ⇔ 特長
明解 ⇔ 明快
要項 ⇔ 要綱
連携 ⇔ 連係
衛生 ⇔ 衛星
会場 ⇔ 開場
確率 ⇔ 確立
感心 ⇔ 関心
企画 ⇔ 規格
機密 ⇔ 気密
脅威 ⇔ 驚異
決済 ⇔ 決裁
原価 ⇔ 減価
指示 ⇔ 支持
自認 ⇔ 自任
受賞 ⇔ 授賞
償却 ⇔ 消却
施工 ⇔ 施行
前文 ⇔ 全文
占有 ⇔ 専有
体制 ⇔ 態勢
排水 ⇔ 配水
並行 ⇔ 平行
保険 ⇔ 保健
本位 ⇔ 本意
終了 ⇔ 修了
時期 ⇔ 時機
若干 ⇔ 弱冠
週刊 ⇔ 週間
年刊 ⇔ 年間
夏期 ⇔ 夏季
期間 ⇔ 機関
適格 ⇔ 的確
適正 ⇔ 適性
地味だが確実に報われる
このような同音異義語の使い分けは、自社もしくは制作媒体に合わせて、起こりやすいものを地道にまとめて行くと必ず報われるものです。
たとえば、ファッション系・不動産・機械メーカーなど、それぞれの業界で使われる同音異義語があり、ある程度はカテゴライズできます。
ファッション系 夏季 ⇔ 夏期
不動産系 保障 ⇔ 補償 ⇔ 保証
機械メーカー系 基盤 ⇔ 基板
媒体ごと、業界ごとに分類し、マニュアル化する作業は、正直面倒で地味な作業です。
ですが、この地道な努力は確実に実り、全体の品質向上につながってきます。