目 次
校正の募集で未経験者が気を付けておきたいこと
校正・校閲でなくともどんな職種であれ、プロへの一番の近道は実務経験を積むことです。
近頃では、校正者の人材不足のせいもあり積極的に未経験者を採用している会社もあります。
未経験可の求人を探してみれば、契約社員・アルバイトなどでの募集は意外と多くあります。正社員などの募集も稀に見かけます。首都圏であれば、未経験者であっても校正・校閲の実務経験を積む場所を探すのにそれほど苦労しないと思います。
ただ校正だけに専念できる環境であるかどうか、募集要項をよく読んで確認しておかないといけません。
募集要項をよく見てみると、『編集+校正』『進行管理+校正』など校正が専業でないところもあります。こういった環境は、未経験者がプロの校正者を目指す場として相応しいとはいえません。
校正だけに専念できる環境であるかは、まず仕事を選ぶ際の大きな基準になります。
また未経験者でも在宅可能という募集もあります。ですが、これから本気でプロの校正者を目指すのであれば、最初から在宅という環境もおすすめしません。
校正・校閲の職場選びで気を付けたいこと
最初の数カ月の校正経験は、あとあとの自分のキャリア形成に大きくかかわってきます。
スタートダッシュの貴重な時間をムダにしてはいけません。
最初に働く職場環境は、慎重に選びましょう。
職場選びで気を付けておきたいポイントが次の2つです。
1. ちゃんと教えてくれる人がいるか
2. フィードバックされる環境にあるか
これらは当たり前のことですが、今やどの職場も人手不足です。教える人も他の仕事と掛け持ちしながら教えるということがほとんどです。
そのため、この2つの条件をクリアできる職場環境は多くありません。
条件1. ちゃんと教えてくれる人がいるか
校正の研修は、大抵マンツーマンに近いOJT(On-the-Job Training)が多いです。わからないことがあるときに、逐一教えてくれる人がいるのは安心です。教えるほうも教わるほうも、そのほうが効率がいいと考えがちです。
ただ校正の仕事においては、しっかりと基礎知識を身に付け、そこに実務経験が加わることで応用力が備わってきます。OJTが悪いわけではないですが、実務重視だと知識に偏りが出てくる恐れがあります。そのためにも基礎から校正を教えてくれる人がいるかが、会社選びの重要な条件となってきます。
ですが、校正を教える担当がいる会社は意外と少ないです。
・人員不足で研修に人を割けない
・そもそも研修のノウハウがない
・校正は見よう見まねでできると思っている
など、会社によって事情は様々です。
『いきなり見よう見まねで、実務に入ることなんてあるのかなぁ……?』
と、疑問に思う人もいるかもしれません。
さらっと説明されて「あと、お願いね」という話なんかはよく聞きます。
わからないことがあっても、そういう環境では、
・周りの誰かに聞く
・自分で調べる
・わからないまま放置する
ということになります。
わからないまま校正していても誰の得にもなりません。
ちゃんと教えてくれる人がいるということは、教わる人にとっては当然ですが、その会社にとっても利益になることです。そこを疎かにしている職場であるなら避けたほうが賢明です。
条件2. フィードバックされる環境にあるか
研修期間が終わって、やがて独り立ちする時期がやってきます。数週間後か数カ月後です。簡単な校正なら、何らかの仕事をすでに任せてもらえている状況にあるかもしれません。
ただ自分が本当に成長できるかどうかは、ここからが一番大切です。
独り立ちしたといっても、あくまでスタートラインに立ったにすぎません。
研修を受けたからといって、最初のうちはわからないことが出てきたり見落としたりすることがあります。
そこで「フィードバックされる環境にあるか」が重要になってきます。
自分がしたミスに対して、一緒に考えてくれて、次への改善のアドバイスをしてくれる人がいるかどうかです。
- 何を見落としたのか?
- なぜ、それに気付けなかったのか?
- どうしたら、それを気付けるようになるのか?
自分が見落としたものなので、自分では当然気づきようもありません。
自分ではできていると思い込んでいても、実は " 穴だらけ " ということもあります。
大きなクレームになって、やっと知らされるという悲しいケースもあります。そうならない前に、日々フィードバックされる環境にあるかは大切です。
自分の見落としを指摘してくれる人がいるか、もしくは見落としを共有してくれる環境であるかです。起こった間違いや、起こりやすい間違いの「勉強会」や「共有会」などがあれば尚効果的です。
校正・校閲に適した環境が整っている会社
『ちゃんと教えてくれる人がいる』『フィードバックされる環境にある』という条件が整っている会社は、次のような傾向にあります。
長期的な人材育成を考えており、研修や教育を大切にしている。
そのため、品質が安定し、全体のスキルも高い。
校正者になるための最初の選択
前述した2つの条件は、校正・校閲の仕事に就く前にはわからない部分が多いです。募集要項からも判断することは難しいかもしれません。
そのため面接の際に次の質問をしてみることです。
1.過去に未経験者を採用したことがあるか
2.その校正者が働いていた年数
1の答えが「いいえ」なら、研修体制が整っていない可能性があります。
2の答えが1年未満なら、人が育たない職場環境にあるかもしれません。
面接の際や職場見学をさせてもらって「あれ、何か違うかな……」と思った場合は、別の現場を見て比較したほうが自分にとっていい結果につながります。
ずっと校正を続けて行きたいというのであれば、最初の職場選びは妥協しないことです。
たくさんの校正者と一緒に仕事をしていると、その人が基礎を教わっているかどうかはすぐにわかります。
最初の選択は自分で決めることができます。
自分のキャリア形成は、大切に計画しましょう。