校正の「校」の意味とは?[語源や由来をわかりやすく解説]

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校正の「校」の意味とは?[語源や由来をわかりやすく解説]

この記事では、「校正」で「校」の字が使われる理由を、語源や由来からわかりやすく解説しています。

[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]

・普及版 字通_平凡社
・新漢語林 第二版_大修館書店
・新漢語辞典_岩波書店
・新漢和中辞典_三省堂
・漢和辞典_旺文社
・精選版 日本国語大辞典_小学館「説文解字」

「校」の漢字の意味

まず「校」の漢字の意味から見ていきたいと思います。

音読み … コウ・キョウ
訓読み … くら(べる)

【意味】
・かせ(罪人の手足や首にはめる木製の刑具)           
・まなびや(例:校舎・学校)
・くらべる/しらべる/考え合わせる(例:校正・校閲)
・馬上の柵、動物を囲む柵
・陣営で将軍の居所にめぐらした木の垣根。転じて、指揮官。(例:将校)
 など

この他にも「校」には色々な意味がありますが、どうして「校」の漢字がこれらの意味を持つようになったのかは、「校」の漢字の成り立ちを知ることで理解できます。

「校」の漢字の語源や由来

「校」という字について、中国最古の字書である『説文解字』(後漢の時代、西暦100年成立)では「木囚なり」と説明されています。「囚人に対して用いる木の刑具」という意味です。

「校」の漢字は、意味を表す文字音を表す文字を組み合わせて作られた形声文字です。(※形声文字とは、意味を表わす部分〔例,「言」〕と発音を表わす部分〔例,「吾」〕とを組み合わせて作られた漢字〔例,「語」〕出典:新明解国語辞典_第八版_三省堂『形声』)。

「校」でいえば、左側の「木」が意味を表し、右側の「交」が音を表しています。

「木」には「木材」、「交」には「組む」「まじわる」という意味があり、「木を組む」の意から、「校」の字は罪人の手足や首を締めつける木製の刑具・「かせ」という意味を持つようになったわけです。 

 
出典(イラスト):精選版 日本国語大辞典『足枷

また「木を組む」という意味でいえば、「校倉(あぜくら)造り」にも「校」の字が使われています。校倉造りは、交互に木を組んで建物を造る方法です。

  

【出典:左/日本大百科全書_小学館『校倉の校木の組み方』、右/Wikipedia『校倉造の外壁』】

「校」は、木材を交差させた垣根の意味や、知識の授受が交差して行われる建物(学びの場)の意味も持ちます。前者は、陣営で将軍の居所にめぐらした木の垣根、転じて指揮官・「将校」となり、後者の意味としては、まなびや・「校舎」「学校」となります。

知識の授受が交差する場所である「まなびや」(人々が知識を交換し合う場)では、生徒たちが先生の指導のもと、文章や詩文を書き、それを先生が添削・修正するという過程が行われていました。この添削・修正の作業が、現代の校正の元になったとされます。

また「校」の持つ意味、交互に木を合わせて組むという行為が、2つを交互に比べるという行為につながり、そこから原稿とゲラの2つを交互に見比べる「校正」という作業に「校」が用いられたともされます。

「校」が持つ他の意味

「校」は、「くらべる」以外にも「しらべる」といった意味も持ちます。これは「校閲」をイメージするとわかりやすいです。

「校正」は、元の原稿通りになっているかくらべる、「校閲」は、内容が正しいかどうかしらべると考えられます。

・校正 → くらべる
・校閲 → しらべる

以下の熟語で使用される「校」もこれらの意味で使われています。

校勘」(複数の写本などをくらべて、本文の異同を正しく定めること)
校訂」(書物の文字や誤りをしらべて正すこと)
「校刻」(字句をよくしらべ合わせて出版する)
「校注」
(古典などの文章の異同や正誤をしらべて、注釈を加えること)

おわりに

以上のように「校」は色々な意味を持つ漢字ですが、「校」の字に「まなびや」「くらべる」「しらべる」といった意味があることから、「校正」の「校」として使用されるようになった経緯があります。