校正チェックの効果的な方法:目線を変えて間違いを見つける

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目線を変えると見方が変わる

目線を変えるといわれた場合、大抵は頭を切り替えて別の角度から考える、もしくは客観的な考察みたいな意味合いで捉えると思います。

ここでいう目線を変えるとは、物理的に目線を変えるという意味です。

横組み(→)なら、縦目線(↓)で見る、
縦組み(↓)なら、横目線(→)で見るということです。

何度も同じ目線で見直すよりも、目線を変えて見直すほうが間違いには気づきやすくなります。

数字など連続して続く文字は、一つ文字が抜けていたとしても頭の中で勝手に文字が補完されてしまい、読み飛ばしてしまうことがあります。そのため、縦・横・斜めの目線を交差させるチェックが有効です。

校正では、文字を一字一字追っていくことで見つけられる間違いもありますが、色々な角度から文字を追うことで見つけられる間違いもあります。

同じような情報が並ぶもの・規則性のあるものは、目線を変えて見るのが効果的です。

1. 目線を変える

次の例をもとに見ていきたいと思います。
  同じ体裁で、似た情報が並んでいます。

 校正のやり方とコツ

最初は、文字組通りの方向、横目線(→)で見ていきます。

 校正のやり方とコツ
次に見直す場合に、どの向きで見ていくかがポイントです。
最初に見たときと同様、また横向きで見直しても目線が変わりません。

目線を変えるためには、縦向き(↓)で見ていきます。

縦向きで共通する項目として「座」「コロン」「ハイフン」があります。
これらを縦で通しで確認します。

 校正のやり方とコツ

・横向き(→)だと
 「漢字・記号・数字・記号・数字」の順でしたが、
・縦向き(↓)に見ることで、
 「漢字・漢字・漢字……」
 「数字・数字・数字……」
 「記号・記号・記号……」
 と同じ項目を通しで確認できるようになります。

ポイントは、目線を変えて再確認することです。
目線が横向きだけでもダメですし、縦向きだけでもダメということです。

続いて、「月」と「日にち」部分を見ていきます。

「月」は縦向きで見ると数字が連続していて規則性があります。
一方、「日にち」は縦で見ても規則性がないので斜めの軸で見ていきます。

・「月」と「日にち」部分の確認

 校正のやり方とコツ

日にちを斜めで見ると、当然重複することがなく連続した日にちになります。
左斜め下に「+1日」の規則性があります。

校正的な見方とすれば、「19、プラス1は、20」「20、プラス1は、21」のようにして、あえて一拍置くことで見方を変えていきます。「19、20」「20、21」……というようにテンポよく見ていくと読み飛ばしても気づかないことがあります。

【目線を変えて見るのに有効なもの

 1. 同じ体裁で似た情報が並んでいるもの
 2. 規則性があるもの

2. 目線を変える練習問題

この練習問題は、横組み(→)のもので、縦や斜めで規則性のある箇所を見ていく練習です。横で見たときと、縦や斜めで見たときの違いを実感してみください。※素読みは必要ありません。

1. 星座

【問題】間違いは2つです。

校正のやり方とコツ

【答え】「座」の抜け。「日にち」のダブり

校正のやり方とコツ
※日にちがダブっている場合はどちらかの日にちが間違っているということです。両方の日にちを再度確認する必要があります。

2. 都道府県

【問題】間違いは1つです。

 校正のやり方とコツ

【答え】「県」の抜け

校正のやり方とコツ

3. 駅名

【問題】間違いは1つです。

校正のやり方とコツ

【答え】「駅」の抜け

校正のやり方とコツ

4. 電話番号

【問題】間違いは2つです。

校正のやり方とコツ

【答え】コロンとハイフンの体裁違い

校正のやり方とコツ

5. 住所

【問題】間違いは2つです。

校正のやり方とコツ

【答え】アキ幅が違う

校正のやり方とコツ

6. 氏名

【問題】間違いは1つです。

校正のやり方とコツ

【答え】アキ幅が違う

校正のやり方とコツ     

7. 文章

【問題】間違いは1つです。

 校正のやり方とコツ

【答え】文末が揃っていない

校正のやり方とコツ
※例文は『Wikipedia:ドラえもん』の一文を使用いたしました。


目線を変えて確認するといっても、実際にやってみると数秒あればできるこでます。簡単だったと思います。共通の項目や体裁を確認するのがメインになるので何も難しいことはありません。

3. カレンダーの目線を変える

カレンダーは媒体問わず目にするものです。カレンダーでも、横と縦の目線を変える見方は効果的です。

横向き

校正のやり方とコツ

横目線だけで数字を追っていくと、
「1、2、3、4、5……」と数字が連続するので、数字が抜けていたりダブっていたりする場合にどうしても読み飛ばしてしまうことがあります。

そこで目線の向きを変えて見ていきます。
カレンダーは縦で見ると「+7日」の規則性があります。

縦向き

校正のやり方とコツ

ここでの校正的な見方とすれば、
「7、プラス7は、14」「14、プラス7は、21」「21、プラス7は、28」のようになります。

カレンダーの校正をしていて、日付が抜けていたりダブっていたりする間違いを見たことがあるなら、このやり方は非常に有効です。

横向きの目線に縦向きの目線も加えることで、見落としの可能性を低くすることができます。

目線を変える練習問題

規則性のある部分を縦向き(↓)で見ていく練習です。
「+7日」のルールで確認してみてください。

【問題】

 2021年2月
校正のやり方とコツ

【答え】

 2021年2月
校正のやり方とコツ

【解説】

このような間違いが起こった原因

2021年1月のカレンダーは次のようになります。

校正のやり方とコツ

原因としては、この1月をコピペして2月に作り替えていく過程で、最後の部分を削除し忘れたということが考えられます。

校正のやり方とコツ

カレンダーを新規で一から作るときや、コピペで作成していくような制作現場ではよくある間違いです。

4. 見方が変わる

長々と説明しましたが、実際には目線を変えて見るのに数秒~数十秒あればできるものです。無意識に目線を変えて校正をしている方も多いと思います。

基本的には、文章の内容というよりは体裁の間違いを見つけるのに有効な方法です。練習問題では簡単だと思ったかもしれませんが、実際の校正では文字に集中するあまり、体裁系の誤りは見落とされがちです。

また横と縦の目線を意識して見続けていくと、横の向きと縦の向きをもっと大きな視野で捉えることができます。

たとえば、校正ゲラを見て、右の段落と左の段落の高さが違うといったことや画像やイラストの位置がおかしいなど瞬時に気づけるようになってきます。