目 次
踊り字の種類や名前・注意点から入力方法まで解説
1. 踊り字(おどりじ)とは?
踊り字とは、同一文字を繰り返すときに使用される記号のことをいいます。
「様々な問題」 「あゝ荒野」
などの「々」や「ゝ」の記号が踊り字にあたります。
踊り字は約物の一種で、「々」は一見漢字のように思われますが記号になります。
この踊り字の別名は多く、
「繰り返し符号」「反復記号」「重ね字」「送り字」「重字」「重点」「畳字(じょうじ)」などとも呼ばれ、他にも名称がいくつかあります。
ただ、一般的に踊り字といってもわからない方が多いです。
特に呼び方にこだわりがなければ、無難に「繰り返し符号」の使用を推奨します。字面からしても意味が大体つかめるので、コミュニケーションが円滑になります。
2. 踊り字の種類と名前
▼ 踊り字の種類
「々」「ゝ」「ゞ」「ヽ」「〃」「〱」 etc.
これらには、それぞれ使用する場面が決まっています。
1. 漢字につく踊り字
々
名称:同の字点(どうのじてん)、ノマ点(ノとマが組み合わさったように見えるので)など
2. ひらがなにつく踊り字
ゝ
ゞ ※濁点あり
名称:一の字点(いちのじてん)、一つ点 など
ひらがなの踊り字は、フォントによって形状がかなり違ってきます。
・ゴシック体
・明朝体
3. カタカナにつく踊り字
ヽ
ヾ ※濁点あり
名称:一の字点、一つ点(※名称はひらがなと同じですが、字形は違います)
4. 文章の繰り返し・連続する同じ語句を示す踊り字
〃
名称:ノノ点、ノノ字点、同じく記号
・表組での使用例
5. 二の字点・くの字点
■ 二の字点
主に縦書き文章の漢字に使用されます。漢数字の「二」を崩したもので、揺すり点(ゆすりてん)とも呼ばれます。現在では「々」で代用されるのが一般的です。
■ くの字点
縦書きで使用される踊り字です。二字以上の文字の繰り返しに使用されます。ひらがなの「く」を縦に延ばした形状のものです。
ただし、くの字点は環境依存文字になります。
・ワードの文字変換時の画面
そのため、くの字点を使わないで表記することも多いです。
その場合は次のように元の字を使用します。
6. 踊り字を使わない?
前述の1~5の踊り字のうち、1の「々」以外は通常の文章では使用しないのが一般的です(固有名詞は除きます)。
「様々」や「種々」など見慣れた語句も、公用文では「様様」「種種」と表記され踊り字を基本使いません。辞書を引いても、踊り字を使わず正式に表記されています。
踊り字を使う・使わないは、媒体の基準によるのでそれぞれのルールに従う必要があります。
3. 踊り字の入力方法(横書き・縦書き)
▼ 踊り字の入力方法(※以下はワードでの入力例です)
「おなじ」「くりかえし」「どう」のいずれかを入力し変換すれば、変換候補に踊り字が出てきます。
1.「おなじ」で変換
2.「くりかえし」で変換
3.「どう」で変換
「おなじ」で変換すれば、すべての踊り字が候補に出てきます。
「踊り字は『おなじ』を変換」と覚えておけば大丈夫です。
■ 二の字点の入力
「にのじ」と入力して変換すると出てきます。
※フォントによって形状がかなり違ってきます
■ くの字点の入力
「おなじ」と入力して変換すると出てきます。
以下のくの字点は、二文字から成り立っています。
そのため二文字分入力する必要があります。
1.「おなじ」と入力し、くの字点の上半分の記号を選択します。
2. 同様の手順で、くの字点の下半分の記号を選択します。
4. 踊り字の注意点
踊り字は行頭禁則に指定されていることが多いです。意図的に改行しない限りは、自動で調整されるので踊り字が行頭にくることはありません。
ワードでは、踊り字は標準設定で行頭禁則文字に指定されています。
※特に変更する必要はありませんが、何らかの事情で変更したい場合は、
【ファイル】タブ→【その他】→【オプション】→【文字体裁】→【ユーザー設定】から変更できます。
▼ 行頭禁則処理がされていない場合の注意点
[1]
この文の「様々」が二行に別れてしまう場合。
[2]
行頭禁則処理をしていないとこのような結果になります。
ですが、基本は踊り字を行頭に使用しません。
[3]
踊り字が行頭にくる場合は、繰り返す元の文字に置き換えます。
※(2)の状態が間違いというわけではありません。
[例外]
固有名詞の場合は、踊り字が行頭にきてもそのままにします。元の文字に直しません。
たとえば、
「野々村さん」「菜々子さん」「代々木公園」「等々力駅」などです。
▼ こんな間違いは起こらない
漢字につく踊り字、ひらがなにつく踊り字などと前述しましたが、
それらがテレコになって入れ間違うというような間違いはまず起こりません。
「色ゝ」
「あ々」
特殊な状況で一文字一文字入力しているのなら別ですが、普通に入力していればこのように誤って変換されることはありません。
おわりに
校正者としては、自身の環境にもよりますが、踊り字について深く掘り下げて勉強するよりも概要だけつかむ感じで覚えておけば大丈夫だと思います。
あとは、次の2点さえ覚えておけば十分です。
・「踊り字」よりも「繰り返し符号」と呼んだほうが伝わりやすいこと
・パソコンで入力する際は「おなじ」で変換すること