慣用読みと誤用の定着[文章校正の難しさ]

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慣用読みと誤用の定着[文章校正の難しさ]

漢字の読み書きは非常に難しいものです。一生かかっても、すべてを覚えきることは不可能に近いです。また言葉は時代によって変わるものなので、漢字の読み書きも時代の影響を受けて変化していきます。

以前は間違いだったものが、今は正しいということも起きてしまいます。言葉や漢字だけでなく、新しい発見によって、知識が塗り替えれることもしばしばあります。

慣用読みの意味とその例

慣用読みとは、漢字本来の正しい読み方とは違うが、習慣的に用いられている読み方のことをいいます。時代の流れとともに、世間に広く使われることで一般的となった読み方です。
※慣用とは「普通、使いなれた」という意味です。

その代表例としてよく取りあげられている漢字が「重複」です。

「重複」
本来の読みは、「ちょうふく」。
慣用読みだと、「じゅうふく」になります。

「重」の漢字は、音読みだと「じゅう」と読む場合がほとんどなので、その流れとして「じゅうふく」と誤用されるようになり、それが一般的となりました。

いつの日か、本来の読みである「ちょうふく」を使うと、誤用だと指摘されるぐらい「じゅうふく」が浸透しています。

慣用読みの一例

他にも、慣用読みが本来の読みより浸透してしまった有名なものがあります。

「早急」
本来の読み:さっきゅう   慣用読み:そうきゅう

「出生」
本来の読み:しゅっしょう  慣用読み:しゅっせい

「固執」
本来の読み:こしゅう    慣用読み:こしつ

次のように、慣用読みのほうが一般的になりつつある漢字は非常に多くあります。日常よく使う言葉が、慣用読みだったと知って驚くかもしれません。

No.漢字本来の読み慣用読み
1依存いそんいぞん
2堪能かんのうたんのう
3寄贈きそうきぞう
4矜持きょうじきんじ
5攪拌こうはんかくはん
6攪乱こうらんかくらん
7惨敗さんぱいざんぱい
8輸出しゅしゅつゆしゅつ
9消耗しょうこうしょうもう
10貼付ちょうふてんぷ
11重複ちょうふくじゅうふく
12捏造でつぞうねつぞう
13貪欲たんよくどんよく
14端緒たんしょたんちょ
15出納しゅつのうすいとう
16情緒じょうしょじょうちょ
17憧憬しょうけいどうけい
18漏洩ろうせつろうえい

【出典(一部):漢字辞典
※「漢字辞典」のサイトでは、漢字の豆知識や問題など色々と掲載されており、漢字のことで何か知りたいなら、まずは漢字辞典のサイトで調べみるのがおすすめです。

よくある誤用の定着

漢字にした場合によくある間違いが
「~にもかかわらず」。

これを漢字にすると、
「~にも拘らず」が適切です。
「~にも関わらず」「~にも係わらず」は適切とはいえません。

テレビのテロップや雑誌なんかでは「~にも関わらず」がよく使われているのを目にします。むしろ適切でないほうをよく目にするので、本来の漢字を知った場合には違和感を覚えるかもしれません。

漢字の読みと同じく、今は間違いだといえる語も一般的になる日がくるかもしれません。

 他にもよくある、文字に起こすと間違えやすいもの

んまりんまり
言えど
問い問い
散りばめるめる

間違いへの意識

今や文章はパソコンやスマホで入力する方がほとんどだと思います。入力する際に間違えても、予測変換で正しい漢字を出してくれます。さらに、その意味や使用例も教えてくれます。

Wordなどの文章作成ソフトでは、誤字や表現の間違いに対してはアラート表示されます。正しい漢字の読み書きを覚えていなくても、ソフト側から指摘してくれるので、間違いに対する意識も薄くなってきているのかもしれません。

また少々漢字がわからなくても実生活で困ることもありません。ビジネスでのお硬い文章も定型文が用意されている場合が多く、それを流用することも多いはずです。

おわりに

社内資料や社内メール、一日に何千文字にも目を通していれば、当然いくつか間違いに気づくことがあります。ですが、重大な誤りでなければ、間違いに気づいても指摘するほうが時間を取られ面倒です。

色々なツールで情報伝達が可能になり便利になった反面、情報過多となり処理することが優先されます。そのような状況では、細かい間違いへの指摘の優先順位が下がります。その状況の連続が、誤用を許容とし定着させる流れになっているのかもしれません。