校正知識を勉強できる学校
校正者になるための学校として「日本エディタースクール」は有名ですが、校正・校閲の勉強ができる大学・短大・専門学校も意外と多くあります。
学部のカリキュラムの一つとして校正に関する知識を学べます。中には、校正の資格取得までサポートしている学校もあります。
【参考サイト】> 校正者を目指せる学校一覧 (スタディサプリHPより)
校正・校閲の知識は、校正者や印刷出版業界に携わる人以外にも需要があります。
文章に携わることが多い職業に身を置くなら、知っておきたいと思う方は結構多いです。校正のセミナーに行くとわかりますが、幅広い職種の方々が参加されています。
1. 高校・大学・専門学校・短大、どれが有利?
高校卒・大学卒・専門学校卒・短大卒。
この中で、校正者になるために有利なのは「大卒」です。校正者の募集要項に大卒以上としている企業があるからです。
また、医学や芸術、科学系、学習教材など専門の分野に特化している企業なら、媒体に見合った学部から採用するためです。
大卒だと、校正者になるための道が他の学歴に比べて開かれています。ですが、校正者としての資質が大卒のほうが高いかどうかまでは誰もわかりません。
これは、校正という職種だけでなく他の職種にも当てはまることです。
2. 校正の資格や採用基準
企業の募集要項に高卒以上とあるなら、「高校卒・大学卒・専門学校卒・短大卒」どれも同じです。筆記試験や面接など個人の実力勝負です。
ここに、校正の資格が加わると違ってきます。
たとえば、日本エディタースクールの三級(現上級)の資格を持っていると少し変わります。校正者を採用する一つの基準として、校正の有資格者としている企業があるためです。
ただ資格を持っていると有利ですが、採用担当者が資格の内容を把握しているかにもよります。資格取得の難易度をどれだけ理解しているかです。
仮に高校卒の有資格者で、採用担当が資格の内容を把握しているなら、
高卒(+資格) > 大卒 = 専門学校 = 短大
という感じになるでしょう。
※ここでの資格は、日本エディタースクールの三級(現・上級)を想定しています。四級(現・中級)ではありません。
一方、大学・専門学校・短大などで校正に関する勉強をしていたなら資格同様に有利になってきます。
ここまでは、あくまで校正者になるための入り口の話です。資格も学校で学んだ知識も+αの要素に過ぎません。一般的にいえることですが、企業に入るまでは有利な傾向にありますが、入ってからは個人の能力次第です。
3. 校正の能力と学歴
校正の能力は運動神経みたいなもので、知識があるからといって、それを実践で活かせるかどうかは別だと思っています。
さらにいえば、個人の能力も重要ですが、それ以上に個人の能力を伸ばしてくれる環境が重要だと思います。校正者としての伸び率は、個人の能力と環境に左右されるものだと考えます。
よく校正者の視点の鋭さとしてたとえられる次のような指摘があります。
『○○年の何月何日の東京の渋谷区の午後の天気は雨だったので、この情景描写はありえない』
『○○年には、この車種は販売されていないから、この年代に登場してくるのはおかしい』
このような例は、今では校正のあるある的なことなので、ほとんどの校正者がこの視点を持っています。ですが、一番最初にこういう角度から違和感を抱いた校正者はすごいと思います。
誰もが普通にスルーしてしまう文に対しても、鋭い指摘をする校正者は稀にいます。長年、校正の現場にいる方なら、そういう上司や先輩に出会ったことがあるかもしれません。いい意味で、他人とは見ている角度が違うといった感じです。
そういう校正者の入れた赤字や疑問出しを見せられると感心させられることが多いです。「よくこういう疑問出しが思いつくな……」といった感じです。
何年かに一度はそういう校正者と出会うことがありますが、中には高校中退だという方もいました。
おそらく、色んな校正者と接していれば、校正の能力と学歴に関係性があるという考えには至らないはずです。
校正の募集要項で大卒以上としている企業も、校正の能力を測るのではなく、別の基準があってのことだと思います。
4. 校正に学歴って必要?
タイトルの「校正に学歴って必要?」の答えとしては、学歴があれば校正者になるための選択肢が増えるので、何が何でも校正者になりたいという人には必要だといえます。
ただ、校正者としてやっていく適性があるかどうかまでは誰もわかりません。たとえ、大学で知識を得たとしても、校正という仕事は知識だけでは測れないことが多いです。学んだ知識を活かせるかは不明です。
年々校正作業は、紙で出力された校正ゲラに向かってではなく、パソコンの画面に向かってする割合が増えています。
現在では校正の知識を学べる学部は文系が多いですが、いずれはPCをバリバリ使いこなす理系の校正者が主流になるかもしれません。
その頃には校正者の職域もきっと変わってくるはずです。
校正者として活躍していきたいなら、学歴や資格などの枠にとらわれず、起こりえる間違いにどう対処するか、また起こりえる間違いをどうやって取り除いていくかを考えて行くべきです。
前者は、従来型の校正者のイメージですが、後者はこれからの校正者に必要とされるデジタル系の能力です。