間違い探し感覚で校正に挑む![校正って意外と難しくないかも!?]
校正の仕事に対して、固いイメージを持っている方は多いと思います。校正作業自体にも苦手意識を持っている方は多いかもしれません。
なので、今回は気軽に楽しく間違い探しのような感覚で取り組める問題にしてみました。
校正作業はよく間違い探しに例えられますが、ある程度予測できる間違いもあるため、間違い探しよりも簡単なことがあります。
今回はそういう問題がメインになります。
間違い探しの問題の出典元は、ファッション誌『sweet』11月号(宝島社)からになります。
>『sweet』11月号(宝島社)
1. 間違い探しの問題
Q. 次の画像からおかしな箇所を探してみてください。
※スマホでご覧になっている方は画像が小さくてわかりづらいかもしれません。
おかしな箇所は8つあります。
4つは、文を読まなくても見つけられる間違いです。残り4つは、文字にかかわる間違いですが、読み込まなくてもわかる間違いです。
2. 間違い探しの解答
【解答一覧】
❶ コピーの位置がおかしい(左寄せになっている)
❷ 画像の周りに白い枠がない
❸ 外枠の赤線とイラストが重なっている
❹ 外枠の赤線との間に余計なすき間がある(白い部分)
❺ 「POINT1」がダブっている
❻ 価格に、税抜き/税込みの表示がない
❼ サイズ表記に「約」がない
❽ 画像に商品画像以外のものが映っているがその旨の注記がない
3. 間違い探しの解説
A 1. コピーの位置がおかしい(左寄せになっている)
❶のコピーを、A・Bに合わせて、センターに収めるのが適切だと思うかもしれませんが、次のように考えることもできます。
B・Cが正しくて、Aを左寄せにする。
見た目的にはセンターにしたほうがキレイですが、A・B・Cの3つからは、どの位置が適切か判断できません。
ただ、このブロックは、他もすべて左右センターで収まっている(D参照)ので、❶も左右センターにすべきと導くことができます。
A 2・3・4
2.画像の周りに白い枠がない
3.外枠の赤線とイラストが重なっている
4.外枠の赤線との間に余計なすき間がある
このような体裁的な間違いは、「こういう間違いがある」ということを知っているだけで、見方が変わってきます。慣れてくると瞬時にわかるようになってきます。
A 5.「POINT1」がダブっている
「POINT1」がダブっていますが、この情報からでは、どっちが「1」か「2」かわかりません。
ただ、左側にある表紙のイメージから判断することができます。
仮に、この表紙のイメージの文字が小さい/つぶれているなどで読めない場合は、
「表紙のイメージと合わせる」
「ポイント1がダブっている」
「どちらかを2にする」
などと指摘しておきます。
■ 間違いの原因として
制作する側に立てば、この部分を作成するとき、まず「POINT1」を作って、それをコピペして「POINT1」の「1」の部分を「2」に変更します。そのことから、コピペした後に「1」を「2」に変更するのを忘れたということが原因の一つに考えられます。
A 6. 価格に、税抜き/税込みの表示がない
価格に対して、税込み/税抜きの表示がされていません。
実際の誌面では次のように記載されています。
このように価格の箇所に直接「(税込)」と入れる場合もあれば、価格が複数ある場合には欄外などに注記を入れるやり方もあります。
たとえば、次のような注記です。
※掲載価格は、すべて税込みです。
※掲載価格は、すべて税抜きです。
ファッション誌「InRed(宝島社)」では、誌面先頭のCONTENTSページで次のように記載されています。
『※本誌掲載商品の価格は、断りのある場合を除き、すべて消費税込みで表示してあります。』
同様に「sweet」でもCONTENTSページに、次のように記載されています。
『※本誌掲載商品の価格は、消費税込みで表示してあります』
A 7. サイズ表記に「約」がない
[誤]
サイズ:ヨコ28[最大]×タテ13.5×マチ13.5cm
↓
[正]
サイズ(約):ヨコ28[最大]×タテ13.5×マチ13.5cm
実際の誌面では次のようになっています。
・各数値に「約」を付けるやり方もあります。
[例]
サイズ:ヨコ約28[最大]×タテ約13.5×マチ約13.5cm
・同じような間違いとして、単位のヌケにも注意が必要です。
[誤]
サイズ(約):ヨコ28[最大]×タテ13.5×マチ13.5
↓
[正]
サイズ(約):ヨコ28[最大]×タテ13.5×マチ13.5cm
サイズ表記に、必ず「約」を付けるというわけではありません。精密部品などでは、少しの誤差も許されないので「約」を付けるのは適切ではありません。
A 8. 画像に商品画像以外のものが映っているがその注釈がない
画像に販売商品以外のものが映っている場合は、注釈が必要になります。
実際の誌面では、『※ポーチ以外は商品に含まれません』と明記されています。
他にも、次のような文はよく見られます。
※○○は別売です。
※○○はオプションになります。 etc.
■ 実際の『sweet』11月号 P.144に掲載さているものです。これと問題を見比べると違いがよくわかります。
おわりに
解答の6・7・8は、じっくりと読み込まないとわからない間違いにも思えますが、校正ではパターン化されたものです。慣れてくると条件反射的に目が行ってしまいます。
校正では意外とパターン化された間違いがあるので、間違いを探し出すというよりも、ここが間違っているかもという視点で見ることがあります。
また6と8に関しては、校正側だけでなく制作側でもテンプレート化されたものなので、入っていないという間違いは極めてまれです。