論理的な文章を書くコツ[ライティングで避けるべきNGワードと改善例]

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論理的な文章を書くコツ[ライティングで避けるべきNGワードと改善例]

ビジネスメールや企画書・報告書などのビジネス文書、小論文やレポートなどを書く際に、「論理性」は非常に重要です。論理的な文章は説得力があり、書き手の信頼度を高めます。

しかし、つい使ってしまいがちな「NGワード」があることで、文章の論理性が一気に失われてしまうことがあります。

この記事では論理的な文章にするために、どんな「NGワード」を避け、代わりにどのような表現を使うべきか次の3つを軸に紹介していきます。

 ✔ 1. 主観的な表現は排除する
 ✔ 2. 冗長な表現は排除する
 ✔ 3. 意味のないビッグワード・修辞は使わない

1. 主観的な表現は排除する

論理性、客観性が重要な文章では、根拠がないように感じられる表現や、読み手が内容を正確にイメージできないような抽象的な言葉はNGです。

例 文

先日出展した展示会についてご報告します。多くのお客様がブースに来場してくださり、うち数組のお客様とは具体的な商談まですることができたと思います。一方で、社員が他のお客様を対応している間に帰ってしまったお客様もいたので、ブース前で配布できるパンフレットや、持ち帰って検討いただける事例集のようなものを準備すると、機会損失を減らすことができると感じました

<NGワード①>
「多くの」「かなりの」「数名の」「一部は」など具体性のない数量表現

<代替表現>
「10%の」「8割の」「3名は」など具体的な数字に置き換える

解説
「多くの」「一部は」とはどのくらいなのか、という感覚は人によって異なるため、具体性のない数量表現は認識の齟齬や誤解を生みやすいです。

ビジネスの場面では、割合や費用などの数字の多寡が、意思決定に大きく影響することも多くあります。そのためにも、具体性のない数量表現は避け、「10%の」「8割の」など具体的な数字に置き換えるようにします。

<NGワード②>
「~と感じる」「~と思う」など根拠がないように感じられる文末表現

<代替表現>
「~と考える」もしくは、何もつけずに言い切る

解説
「~と感じる」や「~と思う」という文末表現は、特に根拠がなくても、「自分はそう感じる/思う」と主観で使うことのできる言葉です。

それゆえに、論理性の求められる場面で使ってしまうと、根拠がなく書いているように感じられてしまい、論理性を損なってしまうことがあります。

個人の日記やエッセイなどで使うのは何の問題もありませんが、論理性が求められる文章では、「根拠をもって推論している」ことを表す「~と考える」を使うか、文末にこういった言葉を何も使わずに、言い切りの形で書いてしまうほうが好ましいです。

代替表現を用いた改善例

例 文

先日出展した展示会についてご報告します。多くのお客様がブースに来場してくださり、うち数組のお客様とは具体的な商談まですることができたと思います。一方で、社員が他のお客様を対応している間に帰ってしまったお客様もいたので、ブース前で配布できるパンフレットや、持ち帰って検討いただける事例集のようなものを準備すると、機会損失を減らすことができると感じました

 ↓

改善例

先日出展した展示会についてご報告します。150組のお客様がブースに来場してくださり、うち3組のお客様とは具体的な商談まですることができました。一方で、社員が他のお客様を対応している間に帰ってしまったお客様もいたので、ブース前で配布できるパンフレットや、持ち帰って検討いただける事例集のようなものを準備すると、機会損失を減らすことができると考えます

2. 冗長な表現は排除する

論理的に感じられる文章は、端的かつ読みやすいことが必須条件です。なくても意味が通る冗長な表現は、読み手にストレスを与えるのでNGです。

例 文

私が御社を志望した理由は、「食を通じて社会に貢献する」という理念に深く共感したことからです。下記にその詳細を述べます
私は幼いころから料理をすることが好きで、おいしいものを食べた人が、笑顔になる瞬間を見るということも好きでした。大学時代には子ども食堂でボランティアをし、おいしいだけでなく、バランスのよい栄養を備えた食品を作ることが、子どもたちの生活の質を向上させるということも肌で感じました。

<NGワード③>
「下記にその詳細を述べます」「これから説明していきます」などの導入文

<代替表現>
言わずとも伝わるので、丸ごと削除する

解説
例文であれば、「志望理由」を書いていることは明らかなので、読み手は「下記にその詳細を述べます」などと言われなくても、志望理由が述べられることは当然予測しています。

場面や文脈などから読み手が内容を予測できる場合には、親切心で書いた導入文がかえって文章を冗長にし、読み手にストレスを感じさせてしまいます。

<NGワード④>
「という」「こと」の濫用

<代替表現>
「の」で言い換えるか、丸ごと削除する

解説
「~という」「~こと」が一つの文章の中で何度も使用されていることがありますが、文章が冗長になり、言いたいことがスムーズに伝わりにくくなってしまいます。

「という」は多くの場合省くことが可能で、省いたほうがリズムがよくなります。また、「こと」も何度も使うとくどい印象を与えるため、「の」で言い換えたり、「こと」を使わずに書くように表現を変えたりしたほうがよいでしょう。

代替表現を用いた改善例

例 文

私が御社を志望した理由は、「食を通じて社会に貢献する」という理念に深く共感したことからです。下記にその詳細を述べます
私は幼いころから料理をすること好きで、おいしいものを食べた人が、笑顔になる瞬間を見るということも好きでした。大学時代には子ども食堂でボランティアをし、おいしいだけでなく、バランスのよい栄養を備えた食品を作ることが、子どもたちの生活の質を向上させるということも肌で感じました。

 ↓

改善例

私が御社を志望した理由は、「食を通じて社会に貢献する」という理念に深く共感したからです。
私は幼いころから料理が好きで、おいしいものを食べた人が、笑顔になる瞬間を見るのも好きでした。大学時代には子ども食堂でボランティアをし、おいしいだけでなく、バランスのよい栄養を備えた食品が、子どもたちの生活の質を向上させるのだと肌で感じました。

※「下記にその詳細を述べます」の文は削除

3. 意味のないビッグワード・修辞は使わない

聞こえの良いカタカナ語や、壮大な言葉は、一見多くのことを伝えられるようでいて、実は読み手に具体的なことを何も伝えられないことが多いです。またユニークな修辞も、文章の読みやすさの観点ではNGになることがあります。

例 文

社員のウェルビーイングを向上するために、オフィスのリニューアルを提案する。様々な椅子やテーブル、ベンチなどを配置し、その日の気分で好きな場所で仕事集中して業務にあたりたいときには個別ブースでテレワークができる時代に、あえて出社したくなるオフィスにして、輝かしい未来を実現したい

<NGワード⑤>
「ウェルビーイング」「輝かしい未来を実現」など、具体性の薄いビッグワード

<代替表現>
何を意味するのか具体的に書き換える

解説
聞こえがいい言葉ではあるものの、具体的に何を表しているのか、どうすることを指しているのかが曖昧な「ビッグワード」を使ってしまうと、文章の論理性が損なわれてしまいます。

「輝かしい未来を実現」といった抽象的な言葉や、「ウェルビーイング」など何を示すのか分かりにくいカタカナ語は極力避けて、何を意味するのか具体的に示しながら書いていくことが望まれます。

<NGワード⑥>
体言止め、倒置などの修辞法

<代替表現>
修辞は使わず、違和感なく読めるように書く

解説
論理性の求められる文章では、体言止めや倒置などの修辞法を使って書くのは不適切です。修辞法は、一般的な語順や文体をあえて破ることで読み手に違和感を持たせ、その部分を印象的にする方法で、言い換えればあえて読みにくい文章の書き方をしているとも言えます。

言うまでもなく、論理的な文章は読み手がスムーズに読み、理解できるように書くことが求められるので、修辞法は排して、読みやすさを優先して書きましょう。

代替表現を用いた改善例

例 文

社員のウェルビーイングを向上するために、オフィスのリニューアルを提案する。様々な椅子やテーブル、ベンチなどを配置し、その日の気分で好きな場所で仕事集中して業務にあたりたいときには個別ブースでテレワークができる時代に、あえて出社したくなるオフィスにして、輝かしい未来を実現したい

 ↓

改善例

社員の生産性を向上し、職場環境を改善するために、オフィスのリニューアルを提案する。様々な椅子やテーブル、ベンチなどを配置し、その日の気分で好きな場所で仕事ができるようにし、集中して業務にあたりたいときには個別ブースも利用できるようにするテレワークができる時代に、あえて出社したくなるオフィスにして、コミュニケーションを活性化し、働きがいを向上したい

おわりに

論理的な文章にするためには、冗長な表現や抽象的な言葉を避け、できるだけ端的かつ具体的に書いていくことが大切です。

今回紹介した「NGワード」を使いたくなったときは、本当にそれが最善の表現なのか、より良い代替表現はないかと考えてみるとよいでしょう。