校正・校閲の手順と流れ[初校・再校の確認ポイント]

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校正・校閲の手順と流れ[初校・再校の確認ポイント]

校正・校閲の仕方や回数は会社や媒体、案件等によってさまざまです。またスケジュールや予算によっても変わってきます。

書籍の場合は校正を複数回行うことが多いです。厳密さが求められるものほど校正の回数は多くなります。辞書の編集を描いた小説『舟を編む』(三浦しをん、光文社、2011年)では、辞書の出版までに校正を五回行う描写があります。

複数回校正するのは単なる多重チェックというわけではなく、作業内容や留意すべきポイントが異なります。

この記事では、初回の校正と二回目以降の校正について、それぞれのチェックポイントを紹介していきたいと思います。

初校時の確認ポイント

初回の校正を「初校」と呼びます。二回目は「再校」といい、三回目以降は「三校」、「四校」……と呼ばれます。初校での主な作業は、原稿との照合素読みファクトチェック(事実確認)です。

以下、それぞれの作業内容と留意点について紹介します。

1. 原稿との照合

原稿がある場合は、原稿が初校ゲラに漏れなく反映されているかを確認します。

手書きの原稿が主流だったころは、原稿の文字が正しくゲラに組まれているかを確認するため、原稿とゲラを一字一句突き合わせる作業を行っていました。近年では原稿の大半がデータの形になっているので、そうした一字一句の突き合わせをすることは少なくなっています。原稿がデータの場合に確認するのは、見出しの級数や行取り、図版の位置、ルビといった体裁面での指定であることが多いです。

原稿との照合は、素読みを始める前に行うことをおすすめします。たとえば、全体に一通り目を通すことで、ルビの付き方などの傾向をつかむことができ、素読みの参考になるためです。

2. 素読み(1回目)

素読みとは、原稿を参照せずにゲラだけを読んで校正することです。含まれる作業としては、誤字脱字や日本語表現のチェック、表記統一、整合性の確認などがあります。

どの作業も重要ではありますが、初校の際は整合性に特に注意を払います。校正者は、原稿を作るために何度も読み返している著者や編集者と違って、初めてその文章を読みます。より読者に近い立場で先入観を持たずに読むことができるため、著者や編集者が気づかなかった矛盾点にも気がつきやすいのです。

また、整合性に問題があった場合、ゲラ全体にわたって修正が必要になることがあります。出版間際になって大幅な修正が入るような事態を避けるためにも、なるべく早い段階(できれば初校の段階)で内容の齟齬を指摘しておくようにします。

3. ファクトチェック(事実確認)

ファクトチェックは初校のタイミングで行うことが多いです。初校でファクトチェックを行った場合、再校以降では重ねてのチェックは原則として行わないので、見落としがないように確実に確認します。

素読みと同時に行うとどちらも中途半端になってしまうため、素読みをする作業とファクトチェックをする作業はわけるのがおすすめです。どちらを先に行うかは校正者によって、また納期やファクトチェックの分量といった案件の性格によっても異なりますが、どちらかといえばファクトチェックを先に行ってから素読みをするのが賢明です。万一ファクトチェックをするべき箇所を見落としていても、後から素読みをした際に気づくことができるからです。

ただ校正・校閲の作業にファクトチェックが含まれない案件もよくあります。その場合でも、素読みで気がつく範囲でファクトチェック的な指摘を出すことがあります。

具体的には、西暦と和暦が併記されている場合はその対応が正しいか確認したり、固有名詞がゲラの中でばらついていたら正しいものを調べて、それに合わせるように指摘を出したりといったことです。ファクトチェックを依頼されていないからといって、書かれている内容の事実関係がすべて正しいものだとは考えないようにしましょう。

再校とそれ以降確認ポイント

再校以降の校正の作業は、主に赤字照合と素読みです。まず、再校の場合について紹介します。

1. 赤字照合

初校ゲラは校正後に編集者や著者のもとにわたり、校正の指摘の取捨選択や加筆などが行われます。こうして作られるのが赤字ゲラで、赤字ゲラの指示を反映させて再校ゲラが作られます。二回目の校正にはこの再校ゲラを使います。

再校では初めに、赤字ゲラの赤字が再校ゲラに正しく反映されているかを確認する「赤字照合」を行います。前述の通り、初校のもととなる原稿についてはデータの形であることが多いので、一字一句の突き合わせはあまり行いません。

しかし赤字ゲラの赤字は多くの場合手書きされており、修正の過程で入力間違いや読み間違いによって誤りが生じることがあります。そのため、正しく反映されているか一字一句突き合わせて確認します。文字が正しく直っているかどうかに加えて、修正位置が正しいかにも注意が必要です。特に近接して同じ文言がある場合などは、誤って違う箇所が修正されている場合があるためです。

また、どのような赤字が入っているかを意識しておくと、この後の素読みに役立ちます。たとえば、漢字をひらがなにしている、人物の一人称を変えているといった傾向が事前に読み取れれば、赤字の漏れがあった場合に気づきやすくなります。

2. 素読み(2回目)

再校でも初校と同じく素読みをしますが、注意すべきポイントは異なります。再校で重点的に見るべきは、初校で加筆・修正された部分です。文の一部が修正されることによって文全体のつながりがおかしくなっていないか、加筆部分と既存部分の整合性は取れているかといった点に特に注意して読んでいきます。

逆に初校から変更されていない部分については、原則として初校のときより指摘は控えめにするよう心がけます。もちろん、誤字脱字や日本語表現として明らかにおかしい箇所は指摘が必要です。

しかし、指摘を出すかどうか迷うような部分に初校担当者のチェックが入っていない場合は、その校正者はそのままでもかまわないと判断した可能性もあります。自分以外の校正者がすでに目を通したゲラであることを意識して、指摘を出すかどうか検討します。

大幅な加筆や差し替えがあった場合は、その部分は初校扱いとして、初校と同様の密度で素読みをします。内容によってはファクトチェックが必要になることもあるので、作業内容についてクライアントに確認するのがよいでしょう。

また、初校で却下された指摘は繰り返して出さないようにします。そのままでは事実関係が誤っているなど、よほど問題がある場合には例外的に再度指摘を出すこともありますが、その際は「初校で不採用とされましたが、念のため」といったような文言を補足するとよいです。

全体を素読みした後は、赤字ゲラをざっと見直します。再校で出そうとした指摘が初校と重複していたり、初校での修正の経緯を見ることで疑問が解決して、指摘が不要になったりといったことがあるためです。

再校に続く三校以降については、基本的に再校と同じく、前回の赤字ゲラとの赤字照合と素読みの繰り返しです。修正箇所を中心にチェックし、修正されていない部分については適宜前々回(三校であれば初校)までのゲラも参照しながら、重複する指摘を出さないように校正します。

おわりに

以上、初校と再校以降の校正作業の違いについて紹介してきました。

よほど大幅な手直しが入らない限り、初校・再校・三校……と工程を追うごとに修正箇所は減っていきます。それに伴い、校正の指摘も少なくなっていくはずです。自分がやっている校正がどの段階のものなのかを念頭に置き、それに合わせた校正方法を心がけましょう。