「うだつが上がらない」の「うだつ」とは?意味・由来をわかりやすく解説

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「うだつが上がらない」の「うだつ」とは?意味・由来をわかりやすく解説

「うだつが上がらない」という言葉は、出世できない、暮らし向きがよくならない、目立った成功を収められない状態を表す慣用句です。

「うだつ」は、もともと日本の伝統的な建物に由来する言葉とされます。ただし、意味や言葉の由来には複数の説があり、どれか一つに確定しているわけではありません。

この記事では、「うだつ」の意味や由来について詳しく紹介しています。

[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]

『デジタル大辞泉』/小学館
『広辞苑』/岩波書店
『明鏡国語辞典』/大修館書店

1.「うだつが上がらない」の意味と使い方

「うだつが上がらない」は、地位や収入、暮らし向き、周囲からの評価などが長い間よくならないことを表します。

例文
・長年真面目に働いているが、なかなかうだつが上がらない

使い方は、大体わかると思いますが、使用上での注意点は、一時的な不調には不向きなことです。たとえば、その日の体調が悪い場合や、一時的に売上が落ちた際に使うのは不自然です。

NG
・今日は体調が悪く、なかなかうだつが上がらない

一時的な不調の場合は、「うだつが上がらない」でなく、「調子が悪い」「売上が伸びない」などに置き換えたほうが自然です。

2. そもそも「うだつ」って何?

「うだつ」には、建築に関する主な意味が二つあります。

一つ目は、建物の妻にある梁の上に立て、棟木を支える短い柱のことです。「妻」とは、切妻屋根などの建物で、棟に対して直角になる側面を指します。下図の赤い部分が、この意味での「うだつ」です。建物の横方向に渡した「梁」の上に立ち、屋根の頂部を通る「棟木」を支えます。この意味での「うだつ」は、「」と書くことがあります。

【A】

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【引用元:小学館『デジタル大辞泉』「梲(うだつ)」掲載イラスト】

もう一つは、民家で、妻の壁面を屋根より高く造った部分のことです。また、建物の外側に張り出して設けた防火用の袖壁も「うだつ」と呼ばれます。この意味では「卯建」「宇立」「卯立」などと表記されることがありますが、現在では平仮名で「うだつ」と書くのが一般的です。

【B】

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【引用元:小学館『デジタル大辞泉』「梲(うだつ)」掲載イラスト】

民家が密集する地域では、火災が屋根を伝って隣の家へ広がる危険がありました。そのため、建物の妻側の壁を屋根より高くしたり、外側に袖壁を張り出させたりして、隣家への延焼を防いだとされます。

うだつには、防火だけでなく、家の境界を示す役割もありました。後には、しっくいや瓦などを使った装飾性の高いものも造られるようになります。立派なうだつを設けるには多くの費用がかかったため、しだいに商家の豊かさや家の格式を示すものにもなったとされます。

3.「うだつが上がらない」の最もよく広まっている由来

一般に広く知られているのは、家に設けられたうだつが財力の象徴だったことに由来するという説です。これは、【B】で紹介した、妻の壁面を屋根より高く造った部分や、防火用の袖壁としてのうだつに関係する説です。

裕福な商家は立派なうだつを設けられましたが、経済的な余裕のない家には困難でした。そこから「うだつを上げられない」ことが、暮らし向きがよくならない財産を築けない出世できないという意味になったとされています。

ほかには、【A】の意味から、梁の上に立って棟木を支える短い柱が上から押さえられているように見えるため、上に伸びられない、つまり出世できない状態のたとえになったという説があります。

ただし、どの意味から「うだつが上がらない」という表現が生まれたのかを示す明確な根拠はありません。そのため、「家のうだつが財力や家の格式を示していたことに由来すると一般には説明されているが、ほかにも説がある」とするのが適切です。

4.「うだつが上がらない」の反対の「うだつが上がる」という言葉もある?

「うだつが上がらない」は否定の形で定着している表現であり、「うだつが上がる」は、その反対の意味を表す慣用句として現在ではあまり使われません。人の出世や生活の向上を表したい場合は、「出世する」「成功する」「暮らし向きがよくなる」などと言い換えるのが一般的です。

一方、岐阜県美濃市には「うだつの上がる町並み」と呼ばれる観光地があります。ここでの「うだつ」は慣用句ではなく、町家の屋根の上に設けられた防火壁などの建築物を指します。そのため、「うだつの上がる町並み」は、うだつを備えた歴史的な家並みという建築・景観上の意味で使われている表現です。

つまり、「うだつが上がる」は人物の成功を表す言い回しとしては一般的ではない一方、「うだつの上がる」は建築や町並みを説明する言葉として用いられることがあります。

【参考:[うだつの上がる町並み|美濃市観光協会]】
https://minokanko.com/seeing/category/history-culture/p5973/

おわりに

「うだつ」は、もともと建物に関する言葉です。一つは、建物の妻にある梁の上に立て、棟木を支える短い柱を指します。もう一つは、民家で妻の壁面を屋根より高く造った部分や、建物の外側に張り出して設けた防火用の袖壁を指します。

「うだつが上がらない」の由来は一つに確定していません。ただし、立派なうだつを設けるには相応の費用がかかり、うだつが財力や家の格式を示すものになったことから、出世できない、暮らし向きがよくならないという意味が生まれたとする説が広く知られています。