漢字の「卜」とカタカナの「ト」|形が似ていても意味や成り立ちは関係ない文字

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漢字の「卜」とカタカナの「ト」|形が似ていても意味や成り立ちは関係ない文字

漢字の「卜(ボク/うらなう)」とカタカナの「ト」は、見分けるのが難しいほどよく似ています。しかし、両者の成り立ちは違います。形は似ていますが、同じ文字から派生して生まれたものではありません。

この記事では、漢字の「卜」とカタカナの「ト」がそれぞれどのように生まれたのか、意味や違いとあわせて解説します。

1. 漢字の「卜」とは?

漢字の「」は、古代中国で行われていた占いに由来する象形文字です。
(※象形文字 … 実際の物の形を線や点でかたどって描いた文字のこと)

」の主な読み方は次のとおりです。

・音読み:ボク
・訓読み:うらなう

<成り立ち>

古代中国では、亀の甲羅や牛の骨に熱を加え、そこに生じた亀裂の形から吉凶を判断する占いが行われていました。

「卜」は、亀甲や牛の骨に現れた亀裂の形をかたどった文字とされています。縦に伸びる線と、そこから枝分かれするように伸びる線が、占いに用いた亀裂を表していると考えられています。

この亀裂から吉凶を判断したことにより、「卜」は「占う」「占い」という意味を持つようになりました。

また、「卜部(うらべ)」の「卜」も、この漢字です。「卜部」は、古代日本で占いを職務とした人々や、その集団を指した名称に由来します。

2. カタカナの「ト」とは?

カタカナの「」は、漢字の「止」の一部を取って作られた文字です。

カタカナは、漢文を読むための補助として、万葉仮名に使われた漢字の全体または一部を用いて(字形を簡略化して)成立しました。「ト」もその一つで、「と」の音を表した漢字「止」の一部から生まれたとされています。

つまり、漢字の「卜」が変化して、カタカナの「ト」になったわけではありません。両者は、異なる由来を持つ文字です。

成り立ちを簡潔にまとめると次のようになります。

漢字の「
→ 亀甲や牛の骨に生じた、占いの亀裂の形に由来する

カタカナの「
→「と」という音を表した漢字「止」の一部から成立した

漢字の「」は「占う」という意味を持つ文字です。一方、カタカナの「」は、日本語の音節「と」を表します。形はよく似ていますが、「」は意味を表す漢字、「」は音を表すカタカナという役割の違いがあります。

3. カタカナの「ト」と平仮名の「と」の関係

カタカナの「」と同じく、平仮名の「」も、漢字の「止」をもとに成立したとされています。ただし、作られ方は異なります。

・カタカナの「」は、「止」の一部を取った形に由来する
・平仮名の「」は、「止」の全体を草書体で崩した形に由来する

どちらも漢字の「止」をもとに、それぞれ異なる方法で成立した文字です。

4. 漢字の「卜」とカタカナの「ト」はコンピュータ上でも別の文字

」と「」は、コンピュータ上でも別の文字コードとして登録されています。

・漢  字の「」→ UnicodeのU+535C
・カタカナの「」→ UnicodeのU+30C8

使用するフォントによっては、画面上でほとんど同じ形に見えることがあります。しかし、文字コードが異なるため、検索、入力、並べ替え、データ処理などでは別の文字として扱われます。

たとえば、「卜部」と入力すべきところで、カタカナの「ト」を使って「ト部」と入力すると、見た目が似ていても正しい表記にはなりません。

人名、地名、歴史用語などを入力するときは、どちらの文字が使われているかを確認する必要があります。

5. 漢字とカタカナの形が似ている例

」と「」のほかにも、漢字とカタカナの形がよく似ている例はあります。

(コウ)      
(ちから・リョク) 
(くち・コウ)   
(ゆう・セキ)   

ただし、これらは「」と「」のように、単に異なる文字が偶然よく似た形になった例とは限りません。

たとえば、
」は「加」の一部である「力」に、
」は「多」の一部である「夕」に由来します。
そのため、漢字とカタカナの形が似ている理由や成り立ちは、組み合わせごとに違います。

これらの文字も、漢字とカタカナは区別されており、コンピュータ上でも別の文字として扱われています。

おわりに

漢字の「」とカタカナの「」は、形こそよく似ていますが、成り立ちは異なります。

漢字の「」は、亀甲や牛の骨に生じた占いの亀裂をかたどった象形文字です。そこから「占う」「占い」という意味を持つようになりました。一方、カタカナの「」は、「と」という音を表した漢字「止」の一部から成立した文字です。