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[色々な媒体の校正ポイント]文字情報のあるところに欠かせない校正の仕事
書籍・雑誌・カタログ・パンフレット・チラシ、Web記事など様々な媒体がありますが、これらのすべてに欠かせないのが校正作業です。校正は、校正者だけがやっているものではなく、編集者やデザイナー、進行管理など色々な工程で行われています。
文字情報があるところに校正は欠かせない作業ですが、一口に校正と言っても媒体によって作業内容や考え方が変わってきます。
この記事では、それぞれの媒体ごとのポイントをわかりやすく紹介していきます。
1. 紙媒体とWeb媒体の違い
まずは大きくわけて紙媒体かWeb媒体かの違いがあります。最近では、両方の媒体を行う校正者も多いです。
紙媒体では、原稿との照合作業(原稿突き合わせ・赤字照合)を行うことが多い一方、Webメディアでは照合作業がなく、最初から素読み校正のみの場合が多いです。
(※一般的にWebカタログやWebチラシなどは、商品名や価格などのスペックを大元の原稿と照合する作業が発生します。)
Web媒体では、紙媒体と違って、校正者に「リライト」や「編集」まで求められるケースもあります。Web専門の担当者には、校正記号や校正用語がうまく伝わらない場合もあるので、紙媒体よりもわかりやすい赤字入れ、疑問出しを心がけることが大切です。
このように紙媒体とWeb媒体では、求められる校正の作業内容に差異があるため、事前にクライアントや担当者と作業範囲のすりあわせをしっかりと行うことが重要です。
紙媒体しかやったことのない校正者が、Webの校正にシフトしても比較的スムーズに馴染んでいけますが、逆にWebの校正しかやったことのない校正者が、紙媒体の校正を行うと戸惑うことも多いでしょう。慣れるまでに覚えることが多くあります。
以下、色々な紙媒体について取り組む際の心構えやポイントを簡単に紹介したいと思います。
2. 書籍の場合
書籍には色々なジャンルがあり、その種類によって校正の視点を変える必要があります。
たとえば小説の場合は、著者の書いた原文を尊重することが強く求められます。著者の文体や表記方法(送り仮名、漢字と平仮名の使い分けなど)を理解したうえで、指摘を入れなければいけません。また登場人物や時系列なども十分に把握し、作品の整合性を確認する必要があります。基本はほかの媒体の校正作業と共通しますが、「原文尊重」に重きが置かれることが、大きな違いと言えます。
また実用書では、たとえば医学や法律関連書籍の場合、専門的な部分は専門家がファクトチェックを行い、それ以外の部分を校正者が担うケースがあります。そのため、クライアントが何をどこまで校正者に求めているのか、作業内容・範囲を事前によく確認することが大切です。
3. 雑誌の場合
ファッション誌や旅行雑誌、求人情報誌など様々な雑誌がありますが、書籍に比べてスケジュールがタイトであることが雑誌校正の特徴と言えるかもしれません。特に週刊誌は毎週校了があるため、短時間で校正してすぐに担当者に戻すということもあり、見るべきポイントを絞りスピード感を持って校正することが求められます。
また複数人でチームを組んで行うことも多く、周囲とのコミュニケーションも重要になります。
4. カタログ・パンフレットの場合
商業印刷物の中でも製品カタログやパンフレット、チラシなどの校正を手がける機会は比較的多いと思います。それぞれ情報の正確性を求められるという点は、どれも共通しています。中でも作業量が多く、もっとも時間のかかるのが厚物カタログの校正です。(※厚物…ページ数が多いもの)
身近な例でいうと、アスクルやたのめーる、通販カタログなどは誰もが目にしたことがあるでしょう。厚物カタログは、商品やサービスの内容が網羅されており、情報量もページ数も非常に多いものです。また厚物カタログには、一般の方が目にしないようなBtoB向けのカタログも多くあります。医療機器、工作機械、建材商品などメーカー側が使用するものです。
この厚物カタログは一人で校正できる分量ではないため、複数人で手分けして校正をすることになります。そのため、校正者間だけでなく他部門との密な連携も大切になってきます。校正前の作業方針や段取り、原稿の精度が悪いと、ページ数が多いだけに作業時間にも大きく影響してきます。少しのミスで数時間分の作業がムダになることもあります。
この厚物カタログの校正には、校正のすべての要素が詰まっていると言ってもいいぐらい確認する項目も量も多く、関与者との連携が必要になってきます。
カタログ校正における主なチェックポイント
1. 商品情報と元原稿との照合
2. 修正指示が正しく反映されているかの確認
3. 削除商品・追加商品の確認
4. 商品スペックと掲載画像との整合性の確認
5. 価格の確認(税込み・税抜き・△個あたり〇〇円など)
6. コピーやキャプションの確認
7. 目次・索引・柱・インデックス(ツメ)の確認 など
1. 商品情報と元原稿との照合
商品情報は品名・品番・注文番号・価格・サイズや色など多岐にわたります。中でも価格にミスがあると大きなクレームにつながるため、最も注意すべき箇所になります。原稿との照合の際には目視だけでなく、数字を一文字ずつ丁寧にチェックすることがミスをなくすコツです。位取りの「,」の有無や位置にも注意が必要です。価格のようなクレームにつながるような重要項目はダブルチェックが必須となります。
2. 修正指示が正しく反映されているかの確認
赤字通りに修正されていないことは頻繁に起こります。カタログは扱う商品数が多いうえに、似通った商品が多数掲載されています。そのため、単なる修正のし忘れではなく、近くに掲載されている似た商品を誤って修正してしまうことがあります。修正漏れがあった場合は、赤字周辺でほかの箇所が間違って修正されていないかを慎重にチェックすることが大切です。
3. 削除商品・追加商品の確認
カタログでは、一つの商品が複数ページに掲載されることがあります。そのため重複掲載されている商品が削除されることになった場合は、関係するページすべてで削除されているかを確認する必要があります。新しく追加される商品がある場合も同様です。
4. 商品スペックと掲載画像との整合性の確認
画像と商品スペックが対応しているか、トリミングが正しいか、画像に欠けがないかなどを確認します。5個入りなのに10個入りの画像になっている、などということもあるので、画像の細部までチェックする必要があります。
5. 価格の確認(税込み・税抜き・△個あたり〇〇円など)
原稿の赤字で価格の指示があれば、実際に電卓を叩いて計算します。軽減税率8%の対象商品かどうかという点にも注意が必要です。
6. コピーやキャプションの確認
よくある間違いが価格・品名・品番などの商品スペックに注力しすぎるあまり、周辺の間違いに気づかないというケースです。細部に集中しすぎると視野が狭くなるため、他の間違いを見落としやすくなります。周辺情報であるコピーや画像のキャプションなどもしっかりと確認しましょう。
7. 目次・索引・柱・インデックス(ツメ)の確認
目次や索引などの校正は、初校など初期の段階では通常行いません。商品のページ移動やページ数の増減が発生するため、後工程で通しで確認するのが通例です。厚物カタログの索引の校正は膨大な量になるため、十分な作業時間を確保しておきましょう。
8. その他
1. 本文中に参照ノンブルが記載されている場合(例:p. 50参照、50ページ参照など)は、該当ページに正しく掲載されているかを確認する作業も発生します。参照ノンブルは「飛ばしノンブル」「誘導ノンブル」とも呼ばれます。
2. カタログ校正(※新規制作ではなく改訂)の場合、基本的には前回の制作物(カタログ)が見本として用意されています。前回カタログを参考にして事前に全体の誌面構成を把握し、作業方針や校正作業に役立てます。
おわりに
媒体が変われば校正の取り組み方・作業内容も変わってきますが、記載内容や文章表現を正しコンテンツの品質を底上げするために校正があるという点は変わりません。
基本を押さえつつ、媒体ごとに作業内容や範囲を確認したうえで、校正に取り組んでいきましょう。