聞く・聴く・訊くの違いと使い分け[例文解説]

聞く・聴く・訊くの違いと使い分け[例文解説]

「聞く・聴く・訊くって全部『きく』って読むけど違いは何だろう?」
「きくを漢字で書くときに『どの漢字を使えばいいのかな?』と迷う」
「よく似た場面で使われるけど使い分けの基準を知りたい」
「例文や熟語も教えてほしい」

このような疑問を感じたことがある方に向けて、「聞く」「聴く」「訊く」の使い分けを詳しく解説していきたいと思います。

※ポイントだけ知りたいという方は、最後の「まとめ」をご覧ください。

[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]

・国語辞典第十一版_旺文社
・明鏡国語辞典_大修館
・デジタル大辞泉_小学館

1. 聞く・聴く・訊くの使い分けの基準

「聞く」「聴く」「訊く」の使い分け

3つの「きく」の使い分けのイメージは次のようになります。

・聞く → 音や声が、耳に入ってくる 音・声
・聴く → 能動的に音や声に耳を傾ける音・声
・訊く → ある事柄について質問する、問う → 人

これらの使い分けのイメージを踏まえて、次の文中で使用される「きく」が、「聞く/聴く/訊く」のどの漢字が適切か考えてみてください。

Q.
1.  遠くから誰かの口笛がきこえる
2.  毎朝、ラジオで英会話の講座をきく
3.  警察官が容疑者からアリバイをきく

A.
1つ目の文は、誰かの口笛が遠くから聞こえてくる感じです。つまり、自然に耳に入ってくる音を「きく」ことから「聞く」が適切といえます。

→ 遠くから誰かの口笛が聞こえる

2つ目の文は、ラジオのスイッチをつけて、英会話の講座内容を理解しようと意識しているシーンです。講座内容に耳を傾けて「きく」ため、「聴く」になります。

→ 毎朝、ラジオで英会話の講座を聴く

3つ目の文は、警察官が容疑者へ、ある決まった日時の居場所について質問しています。どこで何をしていたかを問いただす「きく」のは「訊く」がよいでしょう。

→ 警察官が容疑者からアリバイを訊く

2. 聞く・聴く・訊くの解説と例文

耳で「きく」として広く一般的に使われるものは「聞く」です。「聴く」や「訊く」は、「聞く」に含まれる限定的な表現といえます。そのため、大抵は『』の漢字を使っておけば問題ありません。

共通する言葉の根本的な意義は「それまで存在を知らなかった物事を音や声で知る」ことです。

1.「聞く」の意味や例文

自然に耳に聞こえてくる音声を耳で感じる意で、「物音を聞いた」「叫び声を聞いた」「うわさを聞く」などと、使われます。つまり、意識せずに聞こえてくる音や声ということです。

例文

・誰もいないはずの部屋から物音が聞こえた
・遠くから雷の音が聞こえる
・喫茶店で、隣の席の会話に聞き入った。

熟語

「聞」の漢字を使った熟語からも自然に耳に入るというイメージがつかめます。

・伝聞 … 人を介して伝え聞くこと。
・見聞 … 実際に見たり聞いたりすること。
・外聞 … 他人に知られること。世間の評判。

聞くの英語

聞くを英語にすると「hear」が適切な表現になります。

I can't hear you very well.(ちょっと電話が遠いのですが)
Do you hear that strange sound?(あの奇妙な音が聞こえる?)

2.「聴く」の意味や例文

意思を持って念入りに聞く意で、「音楽を聴く」「市民の声を聴く」などと使われます。能動的に進んで耳を傾ける動作です。

例文

・レポートを書くために講義を聴きに行く。
・好きなアーティストの新曲をスマートフォンで聴いた
・市民の意見を聴いて対策を考える。

ただし、以下の場合は能動的であっても「聞く」を使う場合が多いです。
・複合語の場合 …「聞き耳を立てる」「聞き惚れる」「聞き入る」
・命令や忠告に従って受け入れる場合 …「いいか、よく聞け」「彼のアドバイスを聞いた」

熟語

熟語からも「聴く」の能動的に耳を傾ける表現がイメージできます。

・傾聴 … 耳を傾けて熱心に聞くこと。
・聴講 … 講義を聴くこと。
・拝聴 … 謹んで聞くこと。

聴くの英語

聴くを英語で表すと「listen」になります。「熱心に耳を傾ける」動きのある表現であることがわかります。

She was listening to the radio.(彼女はラジオを聴いていました)
I'm listening.(話してごらん)

3.「訊く」の意味や例文

ある事柄について「尋ねる」「問う」場合に使われます。
「訊く」は常用漢字表にはない読み方のため、公用文、新聞、放送では原則使いません。その場合には「尋ねる」に置き換えられます。「訊く」が使用されるケースは「尋ねること」にフォーカスして表現するときです。

例文

・事件の詳細について重要人物に話を訊く
・自分の胸に訊いてみた。
・先方の都合を訊く

熟語

「訊」は「尋」に置き換えて表現できます。

・審訊(審尋)… 裁判所が、民事訴訟の当事者や証人などに、書面または口頭で詳しく問いただすこと。
・訊問(尋問)… 問いただすこと。

訊くの英語

訊くを英語で表すと「ask」です。答えを求めて「尋ねる」「問う」単語になります。

Can I ask you a personal question?(個人的なことを訊いてもいいですか?)
I asked where she lived.(私は彼女がどこに住んでいるのか訊いた)

3. 聞く・聴く・訊くの使い分けの練習問題

前述の解説を踏まえ、以下の6つの文中の「きく」について、適切な漢字を考えてみてください。

Q.
1. 皆さんの意見をよくきいて判断します。
2. 先生の言うことをよくききなさい。
3. 鳥のさえずりがきこえる
4. 講義でわからないことがあったので、教授にききに行った。
5. 彼は深夜ラジオをききながら勉強するらしい。
6. ドラマで弁護士が容疑者に話をきいているシーンがあった。

A.
1. 皆さんの意見をよく聴いて判断します。(耳を傾ける)
2. 先生の言うことをよく聞きなさい。(耳に入ってくる)
3. 鳥のさえずりが聞こえる。(耳に入ってくる)
4. 講義でわからないことがあったので、教授に訊きに行った。(質問する、問う)
5. 彼は深夜ラジオを聴きながら勉強するらしい。(耳を傾ける)
6. ドラマで弁護士が容疑者に話を訊いているシーンがあった。(質問する、問う)

まとめ

以上、「聞く」「聴く」「訊く」の違いをみてきましたが、まとめると次のようになります。

「聞く」「聴く」「訊く」に共通する根本的な意義は、「それまで存在を知らなかった物事を音や声で知る」ことになります。

耳で「きく」として広く一般的に使われるものは「聞く」です。「聴く」や「訊く」は、「聞く」に含まれる限定的な表現といえます。

1.聞く→ 音や声が、耳に入ってくる音・声

自然に耳に聞こえてくる音声を耳で感じる意で、「物音を聞いた」「叫び声を聞いた」「うわさを聞く」などと、使われます。つまり、意識せずに聞こえてくる音や声ということです。

2.聴く能動的に音や声に耳を傾ける音・声

意思を持って念入りに聞く意で、「音楽を聴く」「市民の声を聞く」などと使われます。能動的に進んで耳を傾ける動作です。

3.訊くある事柄について質問する、問う → 人)

ある事柄について「尋ねる」「問う」場合に使われます。
「訊く」は常用漢字表にはない読み方なので、公用文、新聞、放送には原則使いません。その場合には「尋ねる」に置き換えられます。「訊く」が使用されるケースは「尋ねること」にフォーカスして表現するときです。