横書き数字の表記方法[文章内での書き方]

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横書き数字の表記方法[文章内での書き方]

数字には、年月日や数の幅、小数・分数、助数詞など多くの要素があり、表記のばらつきが起こりやすいです。そのため表記の方針を整理しなければなりませんが、その方針は「縦書き」と「横書き」の場合で異なります。

この記事では、横書き文章の数字の表記について紹介しています。

※縦書きの数字表記の方法については以下の記事をご覧ください

横書きの場合は、原則としてアラビア数字を使用します。
(※アラビア数字とは、インド数字に起源を持つ10個の数字)

 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9  」

横書き文章の数字表記は、次の8つのポイントを整理し方針を立てていきます。

  1.  位取り
  2.  訓読みの数字
  3.  順序数
  4.  ゼロ
  5.  分数の表記
  6.  数の幅
  7.  不確定数
  8.  熟語・成句など

[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]

 ・日本エディタースクール出版部
 『日本語表記ルールブック』
『原稿編集ルールブック』

1. 位取り

位取りについては、以下の4通りの表記方式があります。

4桁ごとに単位語(万・億・兆など)を入れる

4267
12億7349万3000

3桁ごとにコンマを入れる

4,267
1,273,493,000

3桁ごとに四分(全角の1/4)あける

4 267
1 273 493 000

位取りを入れない

2022年
03-1234-5678

一般の書籍では、4桁ごとに単位語を入れる方式が、数が大きくなってもわかりやすいため好ましいです。このときは位取りのコンマは入れません。

また、単位語のうち、十・百・千は入れないほうがよいとされます。それに対し、理工学書では四分アキとされる例も多いです。なお、本文ではコンマを入れない方針でも、表組についてはコンマを入れるという方針が取られることもあります。

2. 訓読みの数字

訓読みの数字には「1つ、2つ、3つ……」「1人、2人、3人……」などがあります。

1つ、2つ、3つ……
1人、2人、3人……

表記の方式としては、すべてアラビア数字とするものと、数量の意味が強い語はアラビア数字・そうでない語は漢数字と書き分けるものがあります。

3. 順序数

1、2、3……nと進む順序数は、一般的にはアラビア数字が使われますが、漢数字を使用する表記方式もあります。

第1に / 第2次 / 第3回
第一に / 第二次 / 第三回

4. ゼロ

ゼロ・レイの表記には、アラビア数字の「0」を用います。

5. 分数の表記

分数の表記には、以下のような方式があります。

横書き数字の表記   4分の3

文中では「3/4」の形が使われることが多いです。なお、このときの斜線は全角ではなく半角のものを使用します。

6. 数の幅

数の幅を示すときは、「25–30歳」「64–88ページ」のように、二分ダーシでつないで前後をベタ組にします。西暦で3桁目以上が同じときには、「1985–98年」「2020–22年」のように後者を省略して後ろ2桁とする書き方もあります。

25–30歳
64–88ページ

1985–98年
2020–22年

数の幅については、二分ダーシではなく「~」(波形)を用いる方式もありますが、アラビア数字の場合は字の幅が狭いので二分ダーシが好まれます。

25~30歳
64~88ページ

1985~98年
2020~22年

7. 不確定数

1桁の数の場合、アラビア数字で表記してコンマでつなぐか、漢数字表記でコンマなしとします。

2, 3人 5, 6日
二三人 五六日

2桁以上の数の幅は、漢数字を使用します。

十二三世紀
三四百円

※この場合、「12, 3世紀」「3, 400円」といった表記は誤読の可能性があるため適切ではありません。

概略の数は横書きでも漢数字とします。

十数人
百余円
数百回
何千メートル

※「10数人」「数100回」のようには表記しません。「100円余り」は使用されますが、「100余円」は不適切とされます。

なお、メートルやパーセントといった単位は「何十メートル」「十数パーセント」のようにカタカナ表記が望ましいですが、「何十m」「十数%」のように記号が用いられることもあります。

8. 熟語・成句など

熟語や成句、固有名詞中の数字は漢数字とします。

紙一重
二酸化炭素
二兎を追う者は一兎をも得ず
三権分立
四六時中
六法全書
八幡宮
九州
十八番
二十四節気
千差万別 など

ただし、熟語のように見えるものでもアラビア数字で表記できる場合もあります。「ほかの数字に置き換えられる場合はアラビア数字、置き換えられない場合は漢数字」と考えるとわかりやすいです。

たとえば「一種」という語の場合。
A:新種をいっしゅ発見した。
B:植物のいっしゅである。

Aの例文は「新種を2種(3種、4種……)発見した」と別の数字に置き換えても意味が通るので、アラビア数字で表記することができます。一方、Bの例文は「植物の2種である」などとは言えないので熟語であり、漢数字で「一種」と表記します。

A:新種をいっしゅ発見した ⇒ 置き換えられる ⇒ アラビア数字 ⇒ 新種を1種発見した
B:植物のいっしゅである ⇒ 置き換えられない ⇒ 漢数字 ⇒ 植物の一種である

おわりに

以上のように、数字に関してはさまざまな要素があり、漫然と表記するとばらつきが生じやすくなります。見やすさ・読みやすさに配慮し、方針を整理して表記するようにしましょう。

数字の表記方法は、『日本語表記ルールブック』『原稿編集ルールブック』で簡潔にまとめられています。数字の表記だけなく、文章表記に関するルールが網羅されているので持っていると役立つ書籍です。

日本語表記ルールブック
日本語表記ルールブック(日本エディタースクール出版部)

原稿編集ルールブック
原稿編集ルールブック(日本エディタースクール出版部)

<補足>
文化庁のサイトで公開されている「公用文作成の考え方(文化審議会建議)」に、少しですが横書き・縦書き数字の表記方法が紹介されています。

公用文作成とされていますが、ビジネスや日常で役立つ文章作成に関する表記方法が網羅されています。興味のある方はぜひご覧ください。

横書き数字
【出典】「公用文作成の考え方(文化審議会建議)」[PDF]『I-4 数字の使い方』より