文章校正の実力テスト[校正力UPの練習問題]

information

文章校正の実力テスト[校正力UPの練習問題]

文章校正の練習問題です。問題文には、校正の観点から指摘を出すべきポイントがいくつか含まれています。いくつ指摘を出すことができるか、実際に校正をして力試しをしてみてください。

お時間のない方は、解説に目を通すだけでも大丈夫です。どのような間違いがあるかを知ることも校正力UPにつながっていきます。

[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]

『文化遺産オンライン』(文化庁)/『日本の世界遺産一覧』(文化庁)/
『五重塔』(聖徳宗総本山 法隆寺)/『世界遺産』(コトバンク)/『地中海料理』(コトバンク)/
『世界遺産』(外務省)/『各駅の乗車人員 2022年度』(JR東日本ウェブサイト)/
『特集1 ユネスコ無形文化遺産への登録が決定!大切に伝えたい。わたしたちの「和食(washoku)」(1)』(農林水産省)/
『和食文化の保護・継承に向けた事業の紹介』(農林水産省)

文章校正の練習問題

<問題>

ユネスコの世界遺産条約に基づいて登録される世界遺産には、文化遺産、自然遺産、複合遺産の3種類があります。文化遺産とされるのは歴史的な建造物や遺跡など、自然遺産は自然景観や絶滅の恐れがある生物の生息地などで、複合遺産はその両方の要素を併せ持つものです。

日本で最初に登録されたのは、1993(平成5)に4件が登録されたのが最初です。このうちの1件が、現存するものとしては世界最古の木造建築物群であり、自然遺産に認定されている「法隆寺地域の仏教建造物」です。飛鳥時代に建てられた五重塔などが今も残り、数百年前の建築様式を伝えています。

建造物や自然景観などの不動産を対象とする世界遺産に対して、芸能や伝統などの文化活動が登録されるのが「無形文化遺産」です。こちらも国連教育科学文化機関によって選定されます。

2013(平成27)年、「和食」が無形文化遺産として登録されました。「新鮮で多様な食材の使用」や「自然の美しさや季節の移ろいを表現した盛り付け」などが評価されたものです。和食以外に無形文化遺産に登録されている食文化としては、次のようなものがあります。

・フランスの美食術
結婚や誕生日のような大切な出来事を食で祝うという、伝統的な食文化。食材の選び方や食器のセッティングなどが含まれます。
・地中海食
スペイン・イタリア・モロッコ・ベネズエラなどの、地中海沿岸地域の料理文化・食文化。オリーブオイルやハーブを多用することなどが特徴です。
・トルココーヒーの文化と伝統
トルコで作られる「ケシケキ」と呼ばれる麦がゆは、結婚式などの儀式の際に食べられる宗教的な食事です。「ケシケキの伝統」として無形文化遺産に登録されています。

間違い箇所

<間違い箇所×7つ>

ユネスコの世界遺産条約に基づいて登録される世界遺産には、文化遺産、自然遺産、複合遺産の3種類があります。文化遺産とされるのは歴史的な建造物や遺跡など、自然遺産は自然景観や絶滅の恐れがある生物の生息地などで、複合遺産はその両方の要素を併せ持つものです。

日本で最初に登録されたのは、1993(平成5)に4件が登録されたのが最初です。このうちの1件が、現存するものとしては世界最古の木造建築物群であり、自然遺産に認定されている「法隆寺地域の仏教建造物」です。飛鳥時代に建てられた五重塔などが今も残り、数百年前の建築様式を伝えています。

建造物や自然景観などの不動産を対象とする世界遺産に対して、芸能や伝統などの文化活動が登録されるのが「無形文化遺産」です。こちらも国連教育科学文化機関によって選定されます。

2013(平成27)年、「和食」が無形文化遺産として登録されました。「新鮮で多様な食材の使用」や「自然の美しさや季節の移ろいを表現した盛り付け」などが評価されたものです。
和食以外に無形文化遺産に登録されている食文化としては、次のようなものがあります。

・フランスの美食術
結婚や誕生日のような大切な出来事を食で祝うという、伝統的な食文化。食材の選び方や食器のセッティングなどが含まれます。
・地中海食
スペイン・イタリア・モロッコ・ベネズエラなどの、地中海沿岸地域の料理文化・食文化。オリーブオイルやハーブを多用することなどが特徴です。
トルココーヒーの文化と伝統
トルコで作られる「ケシケキ」と呼ばれる麦がゆは、結婚式などの儀式の際に食べられる宗教的な食事です。「ケシケキの伝統」として無形文化遺産に登録されています。

解説

<1つ目>

ユネスコの世界遺産条約に基づいて登録される世界遺産には、文化遺産、自然遺産、複合遺産の3種類があります。文化遺産とされるのは歴史的な建造物や遺跡など、自然遺産は自然景観や絶滅の恐れがある生物の生息地などで、複合遺産はその両方の要素を併せ持つものです。

日本で最初に登録されたのは、1993(平成5)に4件が登録されたのが最初です。このうちの1件が、現存するものとしては世界最古の木造建築物群であり、自然遺産に認定されている「法隆寺地域の仏教建造物」です。飛鳥時代に建てられた五重塔などが今も残り、数百年前の建築様式を伝えています。

建造物や自然景観などの不動産を対象とする世界遺産に対して、芸能や伝統などの文化活動が登録されるのが「無形文化遺産」です。こちらも国連教育科学文化機関によって選定されます。

①正式名称と略称のばらつき

「ユネスコ」は「国連教育科学文化機関」の略称ですが、文中では略称と正式名称が混在しています。修正の方向性としては、主に次の2つが考えられます。

1. 全体で「国連教育科学文化機関」あるいは「ユネスコ」のいずれかにそろえる
2. 初出のみ「国連教育科学文化機関(ユネスコ)」と併記し、2回目以降は「ユネスコ」と略称にする

どちらが適切かはケースバイケースです。媒体等でのルールが定められていればそれに従い、特にルールがないようなら、ゲラ内での傾向や正式名称の長さなどを考慮して判断します。ゲラ内でどちらかが圧倒的多出であればそちらにそろえる、正式名称が長い場合は毎回正式名称にすると煩雑になるので2回目以降は略称にする、といった形です。

<2つ目>

日本で最初に登録されたのは、1993(平成5)に4件が登録されたのが最初です

②主述のねじれ

「日本で最初に登録されたのは~のが最初です」となっており、主述が対応していません。基本的な部分ですが、校正をする上では必ずチェックしたいポイントです。

<3つ目>

現存するものとしては世界最古の木造建築物群であり、自然遺産に認定されている「法隆寺地域の仏教建造物」です。

③文章内での整合性

「法隆寺地域の仏教建造物」は「自然遺産」ではなく「文化遺産」として登録されています。「法隆寺地域の仏教建造物」は名称に「建造物」が含まれており、直前には「木造建築物群」との記述もあります。1段落目の、自然遺産は「自然景観や絶滅の恐れがある生物の生息地など」であるという説明を踏まえると、自然遺産ではなさそうだと判断できるはずです。

文章全体での整合性は、校正における重要なチェックポイントの一つです。矛盾が生じていないか、丁寧に確認しましょう。

<4つ目>

飛鳥時代に建てられた五重塔などが今も残り、数百年前の建築様式を伝えています。

④数値の妥当性

「飛鳥時代」は6世紀末から7世紀にかけての時代なので、「数百年前」→「千数百年前」「千年以上前」などとしたほうが正確です。

事実確認(ファクトチェック)が作業内容に含まれない案件であっても、数値に関する表現が出てきたときは、それが妥当かどうか一考しましょう。たとえば、「JR新宿駅の1日の乗降客数はおよそ60人」(正しくは「およそ60万人」)というように、常識的に考えて明らかに多すぎたり少なすぎたりする場合はアラート出しが必要です。

<5つ目>

2013(平成27)年、「和食」が無形文化遺産として登録されました。

⑤和暦と西暦のずれ

2013年は平成25年に当たります。和暦と西暦が併記されている場合、一致しているかチェックします。ずれているときは、ファクトチェック等により和暦と西暦のどちらが正しいかわかれば、正しいほうに合わせる指摘を出します。わからない場合は、ずれていることのみ指摘すればよいでしょう。

<6つ目>

・地中海食
スペイン・イタリア・モロッコ・ベネズエラなどの、地中海沿岸地域の料理文化・食文化。オリーブオイルやハーブを多用することなどが特徴です。

⑥国名や地名の妥当性

ベネズエラは地中海ではなく、カリブ海に面する南米の国なので、「地中海沿岸地域」に含めるのは不適当です。国名や地名も、ファクトチェックを含まない案件でも留意が必要なポイントです。

<7つ目>

トルココーヒーの文化と伝統
トルコで作られる「ケシケキ」と呼ばれる麦がゆは、結婚式などの儀式の際に食べられる宗教的な食事です。「ケシケキの伝統」として無形文化遺産に登録されています。

⑦見出しと本文の不一致

見出しは「トルココーヒー」ですが、本文で説明されているのは「ケシケキの伝統」で、見出しと本文が対応していません。タイトルや見出し類については、その部分のみをチェックする時間を設けて、本文と対応したものになっているかどうか確認するのがおすすめです。

おわりに

以上、例文中に含まれる校正的なチェックポイントは7つありました。これらはいずれも、校正をしているとよく遭遇するものです。いくつ気がつくことができたでしょうか。

校正する文章はその時々で異なり、まったく同じ文章に出会うことはありませんが、気をつけるべきポイントにはある程度のパターンがあります。よくある誤りのパターンを自分の中に蓄積していくことで、初見の文章を前にしたときでも、特に注目すべき箇所が見えてくるはずです。