文章を早く書くコツ[時間効率的な文章術]

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文章を早く書くコツ[時間効率的な文章術]

ビジネスシーンは、メールをはじめ企画書、稟議書、営業資料など、文章を書く場面にあふれています。そんな中で「文章を書くスピードが速い」というのは、仕事の効率上大きなアドバンテージとなるでしょう。また文字単価で記事を書くライターの方は、速く書ければ書けるほど、時間当たりの報酬額を大きくすることができます。

しかし、速く文章を書けるようになりたいと思っても「とにかくたくさん文章を書いて経験を積むこと」というアドバイスばかりで、「もっと即効性のある方法はないのか」と頭を抱えている人が多いと思います。

この記事では、今の文章スキルのままで、できるだけ効率よく文章を書く「時間効率的な文章術」を紹介します。

時間効率的な文章術:5つのフェーズ

2つ以上の物事を同時並行で進めていくと効率が落ちたり、注意が散漫になったりするというのは、経験的に納得いただけると思います。

実は、文章を書く作業とは本来、

「内容を考える」
  ↓
「どのような順で書くか整理する」
  ↓
「実際にタイピングする/書く」
  ↓
「誤字・脱字がないか校正する」

など、いくつものタスクを同時並行で進める作業です。

しかし「時間効率」を考えて文章を書くときには、この一つ一つのタスクをなるべく切り分けてそれぞれに集中することをおすすめします。

ここでは文章作成のフローを以下の5つのフェーズに分け、1つずつのフェーズでやるべきことに専念しながら書き進めることを提案します。

5つのフェーズ

1. 構想を練るフェーズ
2. 素材を集めるフェーズ
3. 構成を決めるフェーズ
4. 文章を書くフェーズ
5. 文章を整えるフェーズ

1. 構想を練るフェーズ

まずはどんなテーマで、誰に対して、どんな目的で文章を書くのかを考えます。ここでもっとも重要なことは、自分と読み手の情報レベルの差がどの程度あるかを明らかにすることです。

自分はベテランで読み手は新入社員である場合や、自分はイベントの主催者だが、読み手はまだ概要も知らない参加者であるという場合は、情報レベルの差が大きいといえます。情報レベルが大きいほど、丁寧にわかりやすく説明しなければならず、文章の「完成度」が求められます。

実は文章を「情報を伝える手段」と捉えれば、常に完成度100%のものを書く必要はありません。60%の完成度で正しく情報が伝わる場面なのであれば、60%の労力で書き上げたほうが「時間効率」上は良いことになります。

自分と読み手の情報レベルの差を明らかにするステップを通して、自分が何%の完成度の文章を書かなければならないかを初めに決めておきましょう。

2. 素材を集めるフェーズ

ここではとにかく「書くための素材をできるだけ出し切る」ことに集中します。できれば最終的に文章を電子端末で作成する場合でも、A4ほどの大きめのメモ用紙を用意しましょう。まずはテーマについて「知っていること」「書きたいこと」をざっと列挙していきます。自分で見て内容をイメージできるのであれば、キーワードを書き留めていくだけでも構いません。キーワードの間は十分にあけて、あとから書き込みができるスペースをとります。

列挙したものを眺め、内容が足りないと感じたり、内容の正確性に自信がないと感じたりする場合は調査を行います。調査は時間を決めて、必要以上に深く行わないようにします。調査してわかったことは、またメモ用紙の余白に書き込んでいきます。

調査も終わったら、メモ用紙を眺め、「これは同じような種類のことを言っているな」「これはこのキーワードの具体例として使えそうだな」などと、情報同士を線で結んだり、丸で囲んだりします。ここまでできれば、このフェーズも完了です。

3. 構成を決めるフェーズ

ここでは集めた素材を使ってどのように文章にまとめ上げるかを考案します。文章を書くときに、ここを決めずに書き出すことで、途中で自分が何を書いているかわからなくなってしまい、時間を浪費するパターンが非常に多いです。

文章作成の時間効率を上げるには、回り道のように思えても、まず「書き出す前に構成を決める」ことが大きなポイントとなります。 

文章の構成の基本は、「PREP法」です。

P(Point)  :結論
R(Reason) :理由・経緯や背景となる情報
E(Example) :具体例
P(Point)  :結論 

メモなどに箇条書きにして、どの項目で何を書くか考案しておくとよいでしょう。ただし、文章の性質や場面によってはPREP法が合わない場面もあります。文章の構成を素早く決めるのにおすすめの方法は、手っ取り早く似たような文章から「流用してしまう」ことです。

例えばビジネスメールであれば、「交渉」「謝罪」など場面別に見本の文章を紹介しているサイトが多くあります。ビジネス文書も同様で、「挨拶状」「詫び状」などのテンプレートが多くのサイトで配布されています。

こういったものの文章を丸ごと流用することは避けたほうが良いですが、「構成」を流用することは大いに時間短縮に役立つので活用してみてください。

4. 文章を書くフェーズ

ここまで来たら、いよいよ文章を書き出します。

書くための素材が集まっていて、構成も決まっているので、比較的スムーズに筆が進むはずです。時間効率の観点で重要なことは、ここでは「多少の粗は気にしないで書く」ことです。細かい言い回しについてもその場で悩むくらいなら、「だいたいこんなことが言いたい」くらいのレベルで一度書いてしまうことをおすすめします。

多くの人は、文章を書きながら同時に誤字脱字や用語統一などの「校正」、もっとよい表現があるのではないかという「推敲」作業をしてしまいます。

しかし、このように複数の作業を同時並行しながら書き進めることは効率が悪く、注意も散漫になるので結果的に誤字脱字などのミスも発生しやすくなります。

「書く」フェーズでは、いったん書くことだけに集中し、校正や推敲の作業は一通り書き終わってからまとめて実施したほうが効率的です。

5. 文章を整えるフェーズ

文章を一通り書き終えたら、最後に読みやすい文章に整えていく作業をします。

ここにどの程度時間をかけるかは、場面や読み手との関係性にも左右されます。フェーズ1の「構想を練る」段階で、何%くらいの完成度が求められるかを明確にしていたと思いますが、100%に近い完成度が求められるならば、少し時間をかける必要がありますし、60%くらいの完成度でも良い文章なのであれば、このフェーズに時間を割く必要はほとんどありません。 

文章の完成度を上げていくためには、以下のような観点で校正・推敲をするとよいでしょう。

誤字脱字、主述のねじれ、用語の不統一などがないか
一文が長すぎないか(一文が60字を超えるようであれば、区切ることも検討)
冗長な表現、なくても意味の通じる表現はないか

文章の完成度を上げていくための視点は、下記の記事でも詳しく解説しています。

時間効率的な文章術:大事な心構え2つ

心構え1:考える時間と書く時間はできる限り分ける

時間効率的な文章術として5つのフェーズを紹介してきましたが、実際に文章を書いているのは後半2つのフェーズだけです。

それ以外のフェーズは、隙間時間を活用して進めていくことも可能です。構想を練ることは、歩きながら、お風呂に入りながらでも可能です。

文章の質を左右する「考える時間」はじっくり取り、いざ書き出してからは、スピーディーに書き進めていくようにします。

心構え2:常に完成度100%を目指さない

時間効率を最優先に考えるならば、過剰品質でも過少品質でもない、最適な完成度で文章を作成していくよう心掛けましょう。「伝わればよい」程度の完成度が求められる文章であれば、時間をかけすぎるのはかえってもったいないです。

おわりに

スキルや経験によらず、今すぐ取り組める「速く書く」ための文章術を紹介しました。文章を速く書くことができると、仕事の効率が大きく上がります。ぜひ、実践しながらご自身の文章作成スタイルを確立していってください。