「言う」と「いう」の使い分け[漢字にする?ひらがなにする?]
この記事では「言う」と「いう」の使い分け方、漢字で書けばいいのか、ひらがなで書けばいいのかをわかりやすく紹介しています。
「言う」と「いう」の使い分け基準
次の3つの文にはいずれも「いう」という語が含まれていますが、ひらがなではなく漢字で表記したほうが適切なものがあります。どれを漢字にすればよいでしょうか。
1. 自分の意見をいう。
2. 人の気持ちというものは複雑だ。
3. そういうことをいうのはやめてほしい。
「いう」はさまざまな意味合いで使われますが、漢字表記するのが適切なケースはかなり限られています。「漢字で表記するのは実際に口に出して『言う』場合のみ。それ以外はひらがなで表記する」と考えるのがシンプルです。
文章で描写されている場面を思い浮かべて、口に出して「言って」いるかどうかイメージしてみるとわかりやすいです。
■ 文例の1つ目:自分の意見をいう。
この「いう」は「発言する」、つまり「口に出して言う」ことを意味しているので、漢字で表記します。
■ それに対して、2つ目の文例:人の気持ちというものは複雑だ。
ここでの「いう」は、口に出して言っているわけではないので、ひらがなにしておくのが適当です。この文のように「AというB」の形の場合は、「いう」という語自体にはあまり意味がなく補助的に使われていることが多いです。
■ 3つ目の文例:そういうことをいうのはやめてほしい。
「いう」が2か所使われています。前者の「いう」は実際に「口に出して言って」いるのではないので、ひらがなで表記されるのが通例です。「こういう」「どういう」なども同様です。後者の「いう」は実際に口に出す意なので、漢字にするのが適切といえます。
「言う」と「いう」の使い分けの練習
前述の基準を踏まえて、次の5つの文中の「いう」は漢字とひらがなのどちらが適切か考えてみてください。
Q
1. 場を和ませるため冗談をいう。
2. 夏目漱石というペンネームを使った。
3. これといった特徴がない。
4. 日本語は習得が難しい言語だといわれる。
5. 悪口をいわれて腹を立てる。
A
1つ目の文中の「いう」は冗談を「口にする」という意味なので、漢字にするのが適当です。
2つ目は「夏目漱石」と実際に言っているのではないため、ひらがなが相応しいです。3つ目も同様にひらがなです。
4つ目と5つ目はいずれも「いわれる」の形ですが、口に出して「言われて」いる=漢字表記が適切なのは5つ目だけです。4つ目のような伝聞・一般論などを表す「いわれる」は、原則としてひらがなで表記されます。
おわりに
「言う」と「いう」の使い分けは、実際に口に出して言っている場面かどうかイメージすることで判断できるので、比較的容易だと思われます。
それでも使い分けに迷うようであれば、ひらがなにしておけば間違いがないでしょう。
▼ まとめると次のようになります。
口に出していう → 漢字で「言う」
口に出していない/伝聞/一般論など → ひらがなで「いう」