![校正記号のトル(削除指示)から起こる間違い集[例題で解説]](https://kousei.club/wp-content/uploads/2021/08/Mistakes-pick-up-proofreading_mark.jpg)
目 次
トルから起こる色々な間違い[例題から学ぶ]
「トル」は、校正記号の中でも、もっともよく使用される指示の一つです。
この「トル」の指示で、気を付けておきたいこと、よく見られる間違いを例題を交えて紹介していきます。
▼ トルの指示
「トル」は、文字や図版を削除するときに使う指示になります。「トルツメ」も同じ意味です。
次のようにしたいときに「トル」を使います。
トルと似た指示に「トルアキ」や「トルママ」がありますが、意味は違います。
トルアキやトルママは、次のようにしたいときに使います。
文字に対して、
削除してアキをツメル → トル or トルツメ
削除してアキはそのまま → トルアキ or トルママ
一方、図版等に対して「トル」を使うときは、削除後にツメルというニュアンスは弱まり、単純に「削除」だけの意味として使われる場合もあります。
▼ トルの基本的な使い方
1.範囲を指定し「トル」と入れます。「トルツメ」でもOKです。
2.打ち消し線だけで指示することもできます。
ただし、この場合、訂正範囲が曖昧になることがあるため注意が必要です。
3.打ち消し線の両端に斜め線を入れる場合もあります。
この場合も訂正範囲が曖昧になることがあります。意図せず句読点などに斜め線が掛かることがあります。
※記事内の例題で使用している文章や画像の出典は以下になります。
『Wikipedia_忍者ハットリくん』
『InRed 9月号(宝島社)』
トルから起こる間違い例 1
Q. 次の赤字の修正結果を見て、おかしいと思われる箇所を考えてみてください。
■ 赤字
■ 修正結果
A.
削除された後の文章を通しで読んだとき、内容がおかしいことがあります。
トルの指示があった場合は、その指示が反映されているかだけでなく、前後の文の繋がりにも注意する必要があります。
トルから起こる間違い例 2
Q. 次の赤字の修正結果を見て、おかしいと思われる箇所を考えてみてください。
■ 赤字
■ 修正結果
A.
削除された文中に「※」があるので、下の注釈文だけが残された状態になります。そのため、この文では、注釈文も削除する必要があります。
[POINT]
上の問題とは逆ですが、注釈文に「トル」の赤字が入ったときにも同じような間違いが起こります。
■ 赤字
■ 修正結果
文中に「※」だけが残された状態になります。記号が小さいので見落とされることも多いです。また、「※」は一つだけとは限りません。複数箇所に入っていることもあります。
トルから起こる間違い例 3
Q. 次の赤字の修正結果を見て、おかしいと思われる箇所を考えてみてください。
■ 赤字
■ 修正結果
A.
起こしのパーレンに対応する閉じのパーレンが削除されています。一文が短いとすぐに気づきますが、長くなる場合は見落とされやすいので注意が必要です。
この文では、閉じのパーレンを入れ直すのが適切です。
トルから起こる間違い例 4
Q. 次の赤字の修正結果を見て、おかしいと思われる箇所を考えてみてください。
■ 赤字
■ 修正結果
A.
4行目のアンダーラインの位置が間違いです。
削除されて文字は移動したが、アンダーラインは元の位置に残っているという状態です。
[POINT]
アンダーラインは、文字を強調する働きがあるので見出しなどでよく使用されます。次の例では、見出し部分(スカートの文字の下)にアンダーラインがあります。
● この見出し文に、トルの赤字が入った場合
● 次のような間違いが想定できます。
トルから起こる間違い例 5
Q. 次の赤字の修正結果を見て、おかしいと思われる箇所を考えてみてください。
■ 赤字
■ 修正結果
A.
次のように、「※1」を削除して、
「※2」を「※1」に繰り上げるという仕上がりも考えられます。
この状態でも間違いではありませんが、トルにより注釈文が1つになったため、1や2などで区別する必要がなくなります。そのため、「1」を取って「※」だけにします。
「※1」のままだと、「※2」以降もあると誤解を与えるかもしれません。そのため、数字を取っておくほうが無難です。
トルから起こる間違い例 6
Q. トルの赤字以外にも必要な赤字があります。不足している赤字を考えてみてください。
■ 赤字
A.
【2のフレアスカート】が削除されるので、それに連動する箇所を探していきます。
まず、❶のフレアスカートに対応するキャプションがトルになります。
次に、❷の合番を一つ繰り上げます。
トルから起こる間違い例 7
Q. トルの赤字以外にも必要な赤字があります。不足している赤字を考えてみてください。
■ 赤字
A.
(1)
トル指示により、商品が1種類になるので、❶の合番(2つ)がトルになります。
❷のキャプションもトルになります。
(2)
さらに、「各」や「ともに」も削除します(❸)。
複数商品がある場合は、「各」などを使いまとめて表記されることが多いです。「各」や「ともに」の他にも、「すべて」や「上下とも」「左右」など、色々な表現があります。
トルから起こる間違い例 8
Q. トルの赤字以外にも必要な赤字があります。不足している赤字を考えてみてください。
■ 赤字
A.
(1)
商品が1種類になるので、❶の合番(2つ)と、❸の「ともに」がトルになります。❷のキャプションも不要なためトルになります。
(2)
❹:コピー内に、削除される商品の説明があります。
文章を読まないと見つけられない間違いもあります。
この場合は、「要変更」「要リライト」などの赤字が必要になります。
トルから起こる間違い例 9
Q. トルの赤字以外にも必要な赤字があります。不足している赤字を考えてみてください。
■ 赤字
A.
見出し文と、その説明が対応していることは非常に多いです。どちらかに赤字が入った場合は、両方が対応しているか確認するクセを付けておく必要があります。
次のように、一部が変更されて矛盾を起こす間違いはよくあります。
トルから起こる間違い例 10
Q. トルの赤字以外にも必要な赤字があります。不足している赤字を考えてみてください。
■ 赤字
A.
(1)