校正記号のトル(削除指示)から起こる間違い集[例題で解説]

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トルから起こる色々な間違い[例題から学ぶ]

「トル」は、校正記号の中でも、もっともよく使用される指示の一つです。
この「トル」の指示で、気を付けておきたいこと、よく見られる間違いを例題を交えて紹介していきます。


トルの指示

「トル」は、文字や図版を削除するときに使う指示になります。「トルツメ」も同じ意味です。
次のようにしたいときに「トル」を使います。

 校正のトルの使い方と例題

トルと似た指示に「トルアキ」や「トルママ」がありますが、意味は違います。
トルアキやトルママは、次のようにしたいときに使います。

 校正のトルの使い方と例題

文字に対して、
削除してアキをツメル  → トル  or トルツメ
削除してアキはそのまま → トルアキ  or トルママ

一方、図版等に対して「トル」を使うときは、削除後にツメルというニュアンスは弱まり、単純に「削除」だけの意味として使われる場合もあります。

トルの基本的な使い方

1.範囲を指定し「トル」と入れます。「トルツメ」でもOKです。

 校正のトルの使い方と例題 
 校正のトルの使い方と例題

2.打ち消し線だけで指示することもできます。

 校正のトルの使い方と例題

ただし、この場合、訂正範囲が曖昧になることがあるため注意が必要です。

 校正のトルの使い方と例題

3.打ち消し線の両端に斜め線を入れる場合もあります。

 校正のトルの使い方と例題

この場合も訂正範囲が曖昧になることがあります。意図せず句読点などに斜め線が掛かることがあります。

 校正のトルの使い方と例題


※記事内の例題で使用している文章や画像の出典は以下になります。
  『Wikipedia_忍者ハットリくん
  『InRed 9月号(宝島社)

トルから起こる間違い例 1

Q. 次の赤字の修正結果を見て、おかしいと思われる箇所を考えてみてください。

 赤字
 校正のトルの使い方と例題

修正結果

 校正のトルの使い方と例題

A
 校正のトルの問題解説

削除された後の文章を通しで読んだとき、内容がおかしいことがあります。

トルの指示があった場合は、その指示が反映されているかだけでなく、前後の文の繋がりにも注意する必要があります。

トルから起こる間違い例 2

Q. 次の赤字の修正結果を見て、おかしいと思われる箇所を考えてみてください。

 赤字

 校正のトルの使い方と例題

修正結果

 校正のトルの使い方と例題

A.
 校正のトルの使い方と例題

削除された文中に「※」があるので、下の注釈文だけが残された状態になります。そのため、この文では、注釈文も削除する必要があります。

[POINT]

上の問題とは逆ですが、注釈文に「トル」の赤字が入ったときにも同じような間違いが起こります。

 赤字

 校正のトルの使い方と例題

修正結果

校正のトルの使い方と例題

文中に「※」だけが残された状態になります。記号が小さいので見落とされることも多いです。また、「※」は一つだけとは限りません。複数箇所に入っていることもあります。

トルから起こる間違い例 3

Q. 次の赤字の修正結果を見て、おかしいと思われる箇所を考えてみてください。

 赤字

 校正のトルの使い方と例題

修正結果

 校正のトルの使い方と例題

A.
 校正のトルの使い方と例題

起こしのパーレンに対応する閉じのパーレンが削除されています。一文が短いとすぐに気づきますが、長くなる場合は見落とされやすいので注意が必要です。

この文では、閉じのパーレンを入れ直すのが適切です。

トルから起こる間違い例 4

Q. 次の赤字の修正結果を見て、おかしいと思われる箇所を考えてみてください。

 赤字
 校正のトルの使い方と例題

修正結果

 校正のトルの使い方と例題

A.
 校正のトルの使い方と例題

4行目のアンダーラインの位置が間違いです。

削除されて文字は移動したが、アンダーラインは元の位置に残っているという状態です。

[POINT]

アンダーラインは、文字を強調する働きがあるので見出しなどでよく使用されます。次の例では、見出し部分(スカートの文字の下)にアンダーラインがあります。

校正のトルの使い方と例題

この見出し文に、トルの赤字が入った場合

校正のトルの使い方と例題

次のような間違いが想定できます。

校正のトルの使い方と例題

トルから起こる間違い例 5

Q. 次の赤字の修正結果を見て、おかしいと思われる箇所を考えてみてください。

 赤字

 校正のトルの使い方と例題

修正結果

 校正のトルの使い方と例題

A.
 校正のトルの使い方と例題 


次のように、「※1」を削除して、
「※2」を「※1」に繰り上げるという仕上がりも考えられます。

校正のトルの使い方と例題

この状態でも間違いではありませんが、トルにより注釈文が1つになったため、1や2などで区別する必要がなくなります。そのため、「1」を取って「※」だけにします。

「※1」のままだと、「※2」以降もあると誤解を与えるかもしれません。そのため、数字を取っておくほうが無難です。

トルから起こる間違い例 6

Q. トルの赤字以外にも必要な赤字があります。不足している赤字を考えてみてください。

赤字
校正のトルの使い方と例題

A.
校正のトルの使い方と例題

【2のフレアスカート】が削除されるので、それに連動する箇所を探していきます。

まず、のフレアスカートに対応するキャプションがトルになります。
次に、の合番を一つ繰り上げます。

トルから起こる間違い例 7

Q. トルの赤字以外にも必要な赤字があります。不足している赤字を考えてみてください。

赤字

校正のトルの使い方と例題

A.
(1)
校正のトルの使い方と例題

トル指示により、商品が1種類になるので、の合番(2つ)がトルになります。
のキャプションもトルになります。

(2)
校正のトルの使い方と例題

さらに、「各」や「ともに」も削除します()。

複数商品がある場合は、「各」などを使いまとめて表記されることが多いです。「各」や「ともに」の他にも、「すべて」や「上下とも」「左右」など、色々な表現があります。

トルから起こる間違い例 8

Q. トルの赤字以外にも必要な赤字があります。不足している赤字を考えてみてください。

赤字

 校正のトルの使い方と例題

A.
(1)

 校正のトルの使い方と例題

商品が1種類になるので、の合番(2つ)と、の「ともに」がトルになります。のキャプションも不要なためトルになります。

(2)
 校正のトルの使い方と例題

:コピー内に、削除される商品の説明があります。

文章を読まないと見つけられない間違いもあります。
この場合は、「要変更」「要リライト」などの赤字が必要になります。

トルから起こる間違い例 9

Q. トルの赤字以外にも必要な赤字があります。不足している赤字を考えてみてください。

赤字

校正のトルの使い方と例題

A.
校正のトルの使い方と例題

見出し文と、その説明が対応していることは非常に多いです。どちらかに赤字が入った場合は、両方が対応しているか確認するクセを付けておく必要があります。

次のように、一部が変更されて矛盾を起こす間違いはよくあります。

校正のトルの使い方と例題

校正のトルの使い方と例題

トルから起こる間違い例 10

Q. トルの赤字以外にも必要な赤字があります。不足している赤字を考えてみてください。

赤字

校正のトルの使い方と例題

A.
(1)